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三色団子

作者: ニジアメ

「空の上にいは誰かがいるのかもよ?」

そう言われたは私は、子供心にとても興味を惹かれた。

祖母はいつも私の想像を超える話をし、好奇心をくすぐった。

「雨を降らせたり、雪を降らせたり、晴れにして、風を吹かせて、空の上の誰かが私達に届けてるの。」

「凄い…!空の上の人達…!!」

と、私はキラキラした顔でワクワクしながら空を見た。

そして 二人で、空から落し物も落ちてきたりするのかな?そんな会話をした。


GWも残すところあと一日の今日、私は実家、福島での休暇を終え、千葉の家に帰っているところだった。

去年より暑い陽射し達を尻目に、冷房の効いた車をただただ走らせていた。

GW終了一日前だというのに、白河からの高速道路を走っているのは自分の他にいなかった。

「まぁ、福島だし?こんなものなのかしらね。」

なんだか少し寂しい様な気持ちになりつつ、そう呟いた。


暫く走らせていても、やはりここには自分一人だった。

その時、「ポツポツ」と雨が降り出し、ワイパーを起動させた。それはすぐに強さを増したため、更にワイパーの速さを二つ上げた。

「何だか不思議よね。」

車内から見た外の世界、晴れている空にキラキラと光る雨、天気雨。

「懐かしいなぁ、いつぶりかな。」

最後にこんな光景を見た日を思い出しながら、自然と笑みがこぼれた。


天気雨は5分もしないうちに止み、気が付くと目の前には、思わず「わぁ…!」と声が出るほど鮮やかで美しい虹が山と山に架かっていた。

こんなに綺麗な虹を独り占めしていたら、と思うと少し申し訳ない気持ちになるが、内心は嬉しかった。


トンネルに入り、再び出た時にはもう虹は消えていた。

残念、そんな気持ちになりつつ、少し速度を上げたまさにその時、「ドンッ」と鈍い音がした。

「エッ…!!」

何が起こったのか、思わず口が開いてしまった。

フロントガラスの丁度真ん中、ピンポイントに、まるでさっき見た虹のように鮮やかな着色の「団子」それも「三色団子」。

いや、何故?そしてどんなタイミング?天からの授け物?そう思考が三色団子に持っていかれそうになったが、直ぐに現実に戻り、とにかく次のサービスエリアで止まろうと前をしっかり見直した。

「あれ…。」

気が付くと周りには何台か車が走っていた。


車を降り、三色の団子をまじまじと見た。

「綺麗なお団子…フフッ、変なの。」

ここに来るまで、フロントガラスに団子をはりつけたまま走っていたことを思い出し、そして不思議とも奇妙とも思えるこの出来事に頬を緩ませた。


千葉に着いたら虹の様な三色団子でも買って帰ろうか、と考えながら、また車を走らせた。

「もしもし、おばあちゃん?久しぶり、私。」

久しぶりに聞いた祖母の声には、昔と変わらず柔らかみがあり、そして温かさを感じた。

「あのね、今日、なんだか驚く体験をしたの。それと、おばあちゃんにも見せたいくらいのすごい綺麗な虹を見たの。」

そう祖母と電話をしながら、私は微かに、昔の何かの記憶が頭をよぎった気がした。

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