14.帰路&到着
「でね〜私たちは『ギルド』で出会ったんだ〜」
俺達は渓谷を出るために歩いていた。どこで知り合ったのか聞くとレイラが答えてくれた。
カーナ達とは新米冒険者の時に同じ初心者クエストで出会ったのだとか。
「最初はね〜とっても苦労したんだよ〜」
「パーティー内で意見が分かれて解散しそうにもなったな」
「そんなこともあったな」
「あったね〜。あ、そこはもっと優しさがあるといいよ〜」
「ワカッ タ」
俺はレイラに治療魔法を教えてもらいながら話を聞いていた。
「ウーン ムズカ シイ」
「そうだな〜治療魔法は優しさが基本だから〜ん〜…だれか大切な人に愛を届けるって感じの思いが大切かな〜」
「アイ？」
「そう！愛だよ！」
「タイセツ ナ ヒト…」
「大切なひとっている？」
この世界には大切な人なんて……いた。
「コノ パーティー ノ ミンナ？」
「ソル…」
「ソルちゃん…」
「ミンナ タイセツナ ナカマ ダカラ コノ キモチガ アイ？」
「ソルちゃんが私たちを思っているような気持ちが治療魔法の元になるの」
「ソウ ナンダ ワカッ タ」
治療魔法のコツがわかったような気がしてきた。
「コウ シテ コウ ヤッテ……コウ！」
レイラに組み上げた魔法をかける。
パァァァァ
「……すごい…すごいよソルちゃん！」
「デキ タ？」
「できてるよ！しかも初めてなのに上級魔法ぐらいの効果が出てるよ！」
「スゴ イノ？」
「すごいよ！普通は下級魔法でもいい方なんだよ！」
「ヨカッ タ」
どうやら俺は人より魔法の品質が高くなるらしい。
それに…
「あとね、このくらいの魔法の高さなら治療魔法は全部出来ると思うの」
「ゼン ブ デキ ル？」
「うん！多分だけど全部使えるようになると思うよ！」
「オボエ タイ」
「でも…治療魔法って用途ごとに違うから沢山あるよ？」
「ミンナガ タスカル ナラ タクサン オボ エル！」
「ソルちゃん…」
レイラは少しの間固まっていた。
「うん…わかった！私も頑張って全部教える！」
「大丈夫か？治療魔法って沢山あるけど…」
「私も一からやり直して思い出してみる！」
「オネ ガイ」
それからはずっとレイラに治療魔法を教わっていた。
しばらくして…
「そろそろだな…おーいみんなーもうすぐ出口に着くぞー！」
「やっと着くのか」
「沢山教えることができたよー！」
「やっと…休める…」
「お前は途中まで寝てただろ…」
「デグチ」
やっとのことで渓谷の出口に着くことができた。
出口には…
「おう！無事に帰ってきたな〜」
「ああ。途中でナイトスパイダーにあったがなんとか生きて戻れたさ」
「ナイトスパイダー！？A級モンスターじゃないか！よく無事だったな…」
「途中で助けが入ってな」
「ん？おい！そのスライムはなんだ！」
「この子？この子はねスラちゃんだよ〜」
「スラ チャン ジャ…ムゴゴ…」
「ん？何か言ったか？」
「何にもないよ〜」
「まぁいい。じゃあクエストお疲れさん」
「じゃあね〜」
渓谷前の衛兵に挨拶をしてから街へと進んでいった。
「ナンデ トメタ ノ？」
「いきなりスライムが喋ったら驚いちゃうでしょ？だから止めたの〜」
「アト スラチャン ジャ ナイ」
「普通モンスターには名前がないの。それに本当の名前を全て知られてしまうと呪術にかかってしまうこともあるの」
「ソウ ナンダ」
「だからスラちゃんって呼ぶことにしたの」
「ああ、それにモンスターが喋るとなると研究家達がうるさいからな」
「ワカッ タ ヒト マエデ シャベ ラ ナイ」
「でも、それだといざという時に何を伝えたいかわからなくないか？」
みんなが悩んでいる時に俺は思い出した。
「ジャ ア 『ネンワ』 ハ？」
「念話か…できればいいのだが…」
『できるよ』
「おおっ！？頭の中に直接流れてきたぞ！？」
『これが念話だよ』
「すご〜い！スラちゃんの声が流れてくる〜！」
「念話だと流暢に話せるのか…」
『これで大丈夫？』
「すごいがいきなりだとこれは驚いてしまうかもな…」
『じゃあ人前でしかこれは使わないし、使う前になにか合図を出すよ』
「それなら大丈夫だろう」
こうして問題を解決しながら歩いていると目的地に近づいてきた。
「さぁ、もうすぐ目的地だ。ソルは街は初めてだよな？」
「ウン ハジメ テ」
「じゃあ初めての街デビューだね〜」
「「さぁ！ようこそ！ウィールの街へ！」」
こうして俺達は街へと到着したのだった。
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