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再生1 復活するヒーロー

 21世紀半分を切った時代でも、未だプチサイズオーパーツに研究を磨く60代に近い超常現象研究家は、根強くそして図太く生きていた。

 倖田栓紋こうだせんもん、その人である。

 規模の小さいオーパーツ博物館館長を騙るが、それは自称であった。

 高校受験を控える孫娘の紗蓮されんが近所に孫の住む自宅があるせいか博物館が受験勉強の格好の場所にされていた。

「ここはな、図書館じゃないぞ。紗蓮いいか、勉強とは自宅でするものだ」

「嫌よ。ママがピーピー煩いんだもん」

「まあた┄┄テスト悪くて隠れ家にしてる訳か。ああ、なんと嘆かわしい」

 と言い、親代わりに忠告しだす栓紋。

「進学塾に行きなさい。ここはお爺ちゃんの博物館なんだから」

「あかんべーだ! 絶対ここが安静に捗るんだもん‼」

「往生際の悪い娘だ。父親そっくりだよ、も~」

「もういいわ。ウチで続きするから┄┄(お爺ちゃんのバカ)」

「何か言ったか?」

「ナ・ニ・モ・イ・ッ・テ・マ・セ・ン‼ (べぇだ)」

 この孫と祖父のやり取りは毎度同じ事を繰り返していてはこの応対に飽きていなかった。

「全くさ、今日で何回目よ。そろそろ飽き飽きしてきたわ」

 やはり紗蓮はいい加減同じ言い合いに堪忍袋が切れかかっていたという。

 そんなこんなでぶつくさため口吐いた紗蓮が帰宅するや否や、自宅門戸を彷徨うろいてる青年と出会った。

「キミ、ここの住人? 僕は大刃暝志おおばみょうじと言うんだ。よろしく。所で、倖田栓紋館長はここにおられますか?」

「(お爺ちゃんのお知り合い?)館長ならばそこの角を曲がって突き当たりに見える古風な洋館タイプの博物館にいます」

「お嬢さん、悪いけど、僕は地理が弱くて」

「あ┄┄気が利かなくてすみません。ただいま案内します。あたし、ここの一人娘で倖田紗蓮と言います」

「お嬢さん┄┄いいや、サレンさん、ありがとう」

 顔の形が整っている好青年なので思わず照れてしまった紗蓮だった。


 博物館に近づく暝志に突然耳鳴りが襲ってきた。まるで凶兆を匂わせる暗示がかかったのようにだ。

 極最近南極から持ち帰ったプチオーパーツの象牙らしきレガシーが急に光を灯し出したという。暝志と同調するかのような波長に似ていた。


 その同時刻の地球は日本とは物凄く遠い地方。その地表の裏側には大海原になっていて、そこの深い、更にもっとも深い深海部。

 壺らしい容器に封印のシールが剥がれていった。

 容器蓋が展開するや、プチオーパーツらしき象牙形態のレガシーと呼応し出した。

は長い間眠っていたか? 半身が固まっている⁉ これでは地表を覆うアレを始末できぬ。ならば、この動ける半身を分散して、我が幹部を組織させよう。アーツの破壊には最終的にこの『人質』の始末で終わらしてやる。待っていろ┄┄」


 地上から宇宙へ┄┄成層圏を超える距離よりも遠い遠方を通り越して、日本へと舞台は戻って┄┄。

 耳鳴りが止まるとそこは洋館風博物館だった。館内まで案内された暝志。

「お爺ちゃん、お客さまをお連れしたのでよろしくね。アレ? お爺ちゃん、いる?」


 妙に輝き出した象牙らしきレガシーに唖然とした栓紋は、展示室から離れなかった。

「お爺ちゃん‼ オ・キ・ャ・ク・サ・ン‼」

 象牙らしきレガシーを乗せた燭台に似せた飾り置き台に近寄ってきた青年、暝志だった。

 そんな時、レガシーの鋭利部『切っ先』らしい部分が成長するかのように急激に長く伸びた。

 その小物は、暝志の心臓をグサリと貫いてしまったのだった。

「ええっ~‼」

 中学3年生の紗蓮にはなんて際どいシーンを見せられたか┄┄この時になるまでは誰一人もが知る由もない事故だったという。

 少女は両膝を小刻みに震わせて気絶しそうになった。

「暝志┄┄さん‼」

 栓紋の耳に『暝志』の名が届くと、目を丸くさせて孫娘の両の肩をがっしり掴み出した。

「おいっ、今ミョウジとか呼んでなかったか? お爺ちゃんの昔通っていた大学の超常科学同好会のネット活動部部長に同名の学生がいるのだが、オオバなんたら┄┄ミョウジだった気が⁉」

「ええ、オオバミョウジ┄┄大刃暝志さんよ、お爺ちゃん」

「学校の後輩が学会に訪れていたのは覚えていたが、顔までは覚えてなくてな」

「あああ┄┄でも、あの人、象牙の尖った所に貫かれて死んじゃ┄┄⁉」

 貫通したピックのような尖端が体から抜けるや、『ソレ』は次第に消えていき光の筋に変貌。筋が青年の胸部に吸収されたようにも見えた。

 同時に貫通痕が徐々に消え、傷口が塞がれたという。

「お爺ちゃん‼ いったいどういう事なの⁉」

「ワタシにも知らんよ。たまげたわい」

 暝志が意識を取り戻し、二人の眼前に立って語った。

「説明は後回しです。どうやら、封印の壺が展開し出した。カリガリバスの息が感じ取れる。この地球が危ない‼ 二人とも、話は後で。今は緊急事態です。僕は、危機にさらさせている町へ出向きます。それでは」

 暝志は飛び出しては、この世にはないと思われる大変巨大な翼を持つ航空輸送機的な機体を召喚しだした。

「ブルージェッター‼ よし、飛び乗るぞっ」

 と、被害地にされた都市部へと大型の翼は舞っていったのだった。



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