無口な男
なかなか話が進みません
カチッーカチッー
カチッーカチッー
時計の音がする…
(あれ、俺は死んだんじゃ…?)
うっすらとまぶたを開けると
病的な程に真っ白な部屋のベッドに寝かされていた
壁の時計が直ぐに目につく
病的に白い室内に辺りを見回そうとするが身体がギシギシと筋肉痛に近い痛みが駆け巡り顔をしかめる
まるで20キロフルマラソンに出された後はこんだけ筋肉痛になるわな位痛い
(ここは病院か?)
ぼんやりした頭でぐるりあたりを見渡すが誰もいな………いや、居た
それはそれは美丈夫な野郎がベッドサイド近くのイスに座りこちらを凝視していた
まばたきをお母さんのお腹に忘れてきたのか?と思うほどに金髪な男は目を充血させこれでもかと見つめてくる…
見詰め合う二人はそこから俺たちの男同士のラブストーリーが…………始まるわけないだろぉぉっっ!!!
やめてくれよ、死んだと思って気づいたら、野郎にこんなに睨まれてるんだぞ!!
寒いぞ非常に寒いから!状況が!
目覚め一発目にホラーだろコレ
頭上からの視線が痛い
せめて何かしゃべってくれよ、なぁ、…ほら見ろ俺の鳥肌状態をよ、なにその目…睨むだけじゃ会話出来ないぞ、宇宙人じゃあるまいしテレパシーを使える訳じゃないだろ(汗)
仕方がない、俺から喋るか……
人間は歩み寄りが大切だと死んだじいちゃんが言ってたからな!
伊達に上司と部下のサンドイッチされてた訳じゃないやい
俺「あの…すいません…」
充血男「…。」
俺「ここは病院ですか?」
充血男「…。」
俺「あのー…」
充血男「…。」
俺「ハロー…」
充血男「…。」
俺「おーい…薄らハゲ~」
充血男「…。」
返事が無いただの屍のようだ。
駄目だこりゃー
そこで深く考えるのをやめて二度寝を決め込んだ。
この男に対話能力は皆無でリンボーダンス並みに激しい人見知りだと結論付け、深い泥のように眠りについた
決して現実逃避ではない
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