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さよなら私、愛すよあなた

作者: 米澤 紅葉

胸が痛い……痛くて仕方が無い……

別に身体が悪いわけでもないし熱がある訳でもない。ただ、ただ、締め付けられるように苦しい。

そうか、まだあの子の事が好きなんだ……

そう思うとなかなか寝れない。

私にはチャンスはないと知っているから、余計に忘れられないんだろうか

微熱のように身体中にまとわりついて離れることがない。

思い返せば私にとって「本気」で好きになった初めての相手だった。

夏の蝉の声が鳴り止まない7月

私はいつの間にかその子のことを好きになっていた。

小説をよく読む、少し病弱な女の子

特に秀でて可愛いとかじゃないしクラスの人

気者でもない。

そう言う自分もどこにでもいる顔の平凡な男子だ。

正直なんでこんなに好きなのかは自分でも分

からない。

何気ない仕草になのか愛らしさなのかわからないけど

文字通りいつの間にか……

端から私の思いは伝わらないし期待するだけ無駄だと思ってた。

すると片思いをしている人を察知する女子たちが現れる。

「お前ら心が読めるのか?!」と思うほど早い


そうして集団で尋問されるのは想像できるだろう?

教えないと怒り始めるし、次には教えない理由を聞き始める。まるで離婚裁判みたいに

「お前のこと信用してないからだよ」

とは言えない。嘘をいうと後のち面倒くさいから正直に言うと「応援してるからね!」

っていう。

応援してるなら本人にばらすなよって思うけどね……

私は叶わないって知っているから、その理由も知ってるから、私の問題だから口を挟まないでって伝える勇気が欲しかった。


あの子には好きな人がいた。イケメンで背が高くて面白い。勝てる要素が全くないんだ、

だからずっと独りで抱えて生きようと思っていた。

そうだ、私は片思いのままでいいんだ。

この言葉を何度も何度も復唱しながら時間が経ってその思いも雪のようにいつの間にか消えてなくなってしまうだろうと思ったのに。

なんであの子の笑った顔が頭からはなれないんだろうか、カメラで撮影したかのように鮮明にリアルに浮かんでくる。


時間が経って私の思いがあの子には伝わってしまう。その日を境に気まずくなり会話も全くしなくなっていった。

当たり前のようにあったものが急に無くなる喪失感といったらなんとも言えないような絶望に似ている。私には「笑顔」も「言葉」さえも向けられなくなり、あからさまに避けられるようになった。

『興味のない人に向けられる好意ほど、気持ち悪いものはない』

と何かの漫画に書いてあったのを思い出した。

相手にとって「私」という存在はただの一般人ってことなんだろう、誰もが相思相愛になるわけじゃないと分かっててもこの事実程辛いものはないんだね。


そうした日々が1ヶ月……2ヶ月と続いていく。

そうするとあの子がくれた温もりさえも砂時計のように流れ落ちていく、笑いあって過ごしていた日々さえも薄れて……

幾多の感情が交差していく。

少し時間を置いた方が……いっその事嫌いになれば……

けれど、どこかからか希望を探そうとする自分がいる。なんて哀れな姿なんだろうか、ありえもしない可能性に無駄に期待してすがってしがみついて離さない私は。


そんな事ばかりを考えているとあの子は私を「嫌い」になることに成功したようだ。

一般人から悪人へと堕ちた瞬間だ。

その日から視えない『拒絶』という厚く強固な壁がふたりを阻んでいく。その頑丈さは氷河のように厚くであり私への威力は核爆弾並だ。

壊そうとするとあの子は私に嫌悪の表情・態度で阻止する。

貶されようと馬鹿にされようと構わない

けれも、それは私にだけ向けられているわけで、他には通常運転なわけで、やるせない想いが積もっていく。


これだけされたら普通は諦められるはず……

なのに何故だか気持ちは消えないや。

白昼夢を見ているかのような感覚に囚われる

この想いを手放せない。まるで子供だ。

いい歳した高校生がお菓子を買ってもらえなくて駄々をこねる子供だ。親が諦めるまで欲しいと訴え続ける子供だ。

情けない……みっともない……どれだけ悲観しても嫌いになれない自分が嫌いだ。


それでも私は思いを伝え、拒否の言葉を聞き、悲しみに暮れた。 好きになった日からその返事を、答えを知っていた筈なのになんでこんなに悲しいんだろうか。あなたはどこにも行かないのに……関係は元に戻ったはずなのに何かが、どこかが決定的に違うんだ。

ずっとどこかをさまよっている気がしてならない。振られたから?気まずいから?

そうかもしれない。

踏み出してはいけない境界線を踏み越えてしまった後悔に囚われているんだ。

これで可能性は0になってしまった訳だ。

すがるものがなくなってしまったんだ

今までの生きる糧としていたものを自ら捨ててしまったんだ。

首に輪っかをかけて自ら自殺したのと同じ

後悔してももう遅い


そうやって無くしてきたものにしか目をやらなかったけれど、与えられたものにも目を向けてみる。

良い解釈かもしれないがあなたは私に『幸せな時間』をくれた『人を愛する苦しさ』を教えてくれた。それだけで充分さ


怖かったこと、辛かったこと、苦しかったことは時間がいずれ消すだろう。

鮮やかに輝いていたあなたもいずれ記憶から薄れていくでしょう。でも、あなたが居たから私も輝けたということだけは忘れたくはないんだな。


いつかまたあなたと出会うことがあるでしょう。その時はあの時のことが夢だったように、ただ仲が良かった時のように笑顔を見せてくれるだけ何度も何度も何度も何度も救ってくれた笑顔を見るだけでで私はそれだけで満

足さ。きっと魔法のようにまた想いが輝き始と思うから、今度は素直に生きたい

そして笑って分かれたい


どこかに行ってしまうあなたを忘れぬように未だに無い2人の写真を撮って昔を笑いたいから、今はただ、ただあなたの幸せを願う






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