伝記内録~00~
「お前はいつか、この国一番いや、この世界で一番の嫌悪の対象として忌み嫌われるだろう」
その言葉を聞いたときなんだかすべてが納得できたような気がした。
たまたま占ってもらった、ほんの気まぐれで試した占い師の一言だった、けれどその一言一句、徹頭徹尾すべてが脳に刻まれてしみ込んだ。
自身には確かに両親や婚約者への情愛や恋愛感情、恩、そんなまっとうな感情があると思っていた。事実それらは目には見えないが、相手からも帰ってくることもあった。
だが、そんな中でさえ時々胸を掬う、どうしようもない感情の奔流が渦巻く時がある。
だからだろうか、占い師の言葉を聞いた俺の行動は早かった。
表面上は普段道理に過ごしながらも、着々と計画を進めていった。
自身の痕跡となりうるものを少しづつだが、確実に消していき、そして結構は今夜となった。
「今夜は月がきれいだ、、、その分俺の姿も森の濃い闇に飲まれる、か、、、。
ありがとう、母さん、父さん、今まで育ててくれて、そして、愛しい人よ、どうか俺意外と幸せになってくれ」
そういって、俺は月明りでより濃い影を落とす森の中へと俺は消えていった。
この日、巨大な国土を誇り、その王自身が勇者の末裔である、王国{グローリア}。
その中で、歴代の中でも髄を見ないといわれた王子{レオン・ハート・グローリア}が姿を消し、間もなく死亡ということで王国に衝撃をもたらした。
享年 13歳だった。