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5話

「前の俺は何回か家に入ったことがあるのか?あるならフィリーのお父さんとお母さんにも説明しなきゃな。」


そう話すと突然フィリーが謝ってきた。


「ごめんねルイ。実は記憶をなくす前のあなたと私は付き合っていないの。だから家に入れたことがないの」


動揺しては男が(すた)る気がしたので冷静を装い尋ねてみる。


「え、どうしてそんな嘘を?」


「だって前のルイは誰とも話さないし…女の子からモテモテだし…私のアプローチは無視するし…だから、だからルイと仲良くなりたくて嘘ついたの」


まあ、なんだ、乙女心ってやつか?


「おこってるよね?ごめんなさい。私のこと嫌いになったらこれからは無視してもいいから」


泣きながら話してくるフィリーは凄くかわいい。


こんな嘘なら全然許してあげるし、フィリーになら後ろから刺されても許しちゃうゾ☆


と、考えにふけっていると、フィリーが走り出そうとしたので手を取り抱きよせる。


「この2週間俺にいろいろ教えてくれたのもフィリーだし、助けてくれたのもフィリーだ。こんな嘘何とも思わないし、これからも一緒にいたい。」


これは、告白になっちゃうか?とりあえず86点のセリフで泣き止ませ、手を繋ぐ。



歩きながら前のルイとの話をしてくれた。


前のルイとは戦っている時に、怪我をしたフィリーにそっとハンカチを差し出し、治癒魔法をかけておげるという、無口でぶっきらぼうだが実は優しいというギャップにやられたそうだ。


イケメンで強くてギャップで優しいなんて、女子はイチコロだろう。以前のルイの手法に尊敬の念を抱きフィリー宅へ向かう。


「相変わらず立派だな」


「私の家はこの辺りの地主なんだ」


「そうなんだ。」


大体予想はできていたので軽くへんじをしておく。


「おかえりなさいませ、フィリア様」


フィリーと共に家に入ると、何人かの執事やメイドさんに出迎えられる。


「ただいま エバ、お父様とお母様は?」


「旦那様と奥様はまだ戻られておりません。」


「そう、MOを持ってきて」


「かしこまりました、ところでそちらの方は?」


「ルイよ、ルイ・ウォルコット」


「初めまして、ルイ・ウォルコットです。」


「おお、あなたがあの天才ルイ様ですか。ささ、こちらへどうぞ」


執事に連れられ大広間のソファへ案内される。


すると、奥からMOをつけたフィリーが歩いてきた。


「まあ、そんな急にあがらないか…」


なにやら呟いているが早く結果を知りたいので催促しておく。


「フィリー結果は?」


「うん、F-ランクよ」


ルミナスを覚えてもMPは大して上がっていないようだ。


前より少し強くなったようでよかった。


「そうか、まあ、あまり信用はしていないけどさ」


しばらくフィリーと談笑していると「おかえりなさいませ旦那様」と声がした。


親が帰ってきたみたいだ。挨拶とか苦手なんだよな。軽く挨拶して帰るか。


「ただいま、フィリー」


「おかえりなさい。お父様」


「そちらの少年は?」


「ルイ・ウォルコットよ」


「おお、噂の少年か。フィリーから話はよく聞いているよ。フィリーの父のロックだ」


「初めまして、ルイ・ウォルコットです」


なかなか優しそうな人で良かった。地主だから少し悪い人かと思ったけどそうでもなさそうだ。


「まあ、ゆっくりしてってくれ」


そういうとロックは奥の部屋へと行く。

長居するとめんどくさそうなので帰ることにする。


「フィリー今日はもう帰るよ」


「そう、じゃあ近くまで送るね」


一緒に家を出て少し歩く。


「ルイ、今日はごめんね。今まで嘘ついていたからモヤモヤしてたけどすっきりした。こんな私を許してくれてありがとう。」


「気にしてないよ。これからもよろしく」


「ありがとう。あと、私のお父さん地主だから裏で少し悪いことしてるみたいなの。あまり嫌いにならないで」


地主とは大変なもので多少は悪事に手を染めないとやっていけないのだろう。


「大丈夫。ここまででいいよ。また明日」


「うん。また明日」


フィリーと分かれ家へと向かう。


家で夕食をすまし家族との仲を深める。この2週間でみんなだいぶ馴れてくれたようだ。


サンドとは一緒に風呂も入ったりするし、レイラとも仲のいい母子という感じだ。


ルーファに至っては毎日一緒に眠っている。


順調な日々だ。順調すぎて怖いぐらいだがあまり気にしないでおこう。


家庭の暖かさと安心感に包まれ俺は今日も眠りにつく。




「よう、渡嘉敷。おい、渡嘉敷匠おい、渡嘉敷匠

ったくどんな夢見てやがんだ、こいつは変な笑い浮かべやがって」


頭に強い衝撃をうけ俺は飛び起きた。


「痛っ」


「お前がとっとと起きないから悪いんだよ」


薄暗くてはっきり見えないが、ここは、あそこだな、あの男の場所だな。なら声はあの男のやつか。


「よう、久しぶり、順調そうだな」


「おひさしぶりです!あなたのおかげで良い世界にこれたと思ってます。」


「なら、良かった お前が順調そうだからとりあえず、話をしようと思ってな。ヴェルトイヴという宝石について聞いたことがあるか?」


「いや、聞いたことないです」


「そうか、この世界で6個存在するものだが全て集めると最強の力を手に入れられると言われている。」


「漫画とかでよく聞くやつですね?」


「ああ、だが、これは少し違っててな、6個集める頃にはそいつは自分で強くなってるって訳だ。」


なるほど冒険したりヴェルトイヴを争ったりしている内に勝手に強くなるって訳だ。


「なら、何で俺に集めさせるんですか?」


「理解が早いな。だがすまん、理由は言えない。

これは異世界のお前にしか頼むことが出来なかったんだ。だから転生させた」


すぐにというのは厳しい。もう少し今の生活を楽しみたい。家族がいてフィリーがいる。


「分かりました。俺も目標が欲しいところだったんで構いません。ですが、学校を卒業して落ち着いてからでも?」


「ああ、まあいいだろう。どうせ、お前はすぐに旅に出るはめになるからな」


「え?どういう意味です?」


「いや、何でもない…後お前は本当は死んでいない。転生をさせる為に嘘をついた。お前の肉体は植物状態だが、まだ生きているぞ。ヴェルトイヴを6個集めたら元の世界に返してやる」


は?この男俺を騙してたのか!

いろいろ言いたいが夢を叶えてもらっているのでそこまで腹はたたない


「この世界好きなんで今さら怒りはしませんが、そこまで俺の力が必要だったんですか?」



「ああ、ごちゃごちゃ言わないでくれてありがたい。それより俺は、もうお前の元に来ることはない。これが最後だ、本当に頼んだぞ」



「え、あ、ちょっと待……


光に包まれて俺は意識が遠のいていった。

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