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17話

俺は今エアル魔法学校に向かって食パンをくわえて走っていた。


吐く息が白くなる、季節は冬だ。


現在1月になり、俺がこの世界に来てから半年が経とうとしていた。フィリーがいなくなって、3ヶ月だ。


え?なぜ、俺は今食パンをくわえて走っているかって?


ふふっ、愚問だな。


食パンをくわえて走っていたら、角から出てきた女の子にぶつかって出逢いを果たすという、お約束があるではないか!


そんなことも分からなかったら、日本人として終わりだぞ!


誰に注意したのか分からないが、嘘ですすいません。


今日は入学式と始業式。俺も今日から5年生にあがる。


俺は第1席ということで入学式に挨拶しなければならないのだが、少し寝すぎた。


この世界に慣れてきてだらだらし始めている。


そのせいで俺は寝坊しご飯を食べる時間がなかった為に食パンをくわえて走っているという訳だ。



べ、別に出逢いが欲しかった訳じゃないんだからね。新しい子と仲良くなんかなりたくないんだから勘違いしないでよね。とツンデレる


遠くでフィリーが睨んだ気がするが、気がするだけなので気にしない。



魔法に関しては、風、水、炎を扱える程度になった。ぶっちゃけ戦力とは思っていない。


フィリーがいなくなってからの俺はもぬけの殻。

っていうか、セミの抜け殻みたいだった。



最初の1週間は毎日泣いていたし、ご飯も喉を通らなかった。


そんな俺を見かねたサンドが、父として初めて叱ってくれた。


正直とても驚いたが、しっかりと父親としての仕事を果たしてくれたサンドに感謝し、卒業したら旅に出るという事を了承してもらった。


威厳のない父だが、やるときはやってくれた。


ルーファも相変わらずのお兄ちゃんっ子でめちゃめちゃかわいい。


というかサンドのお陰ではなく、ルーファがいたから立ち直れた気がする。


すまんサンド。さっきの無し。やっぱルーファのお陰だわ


目の前にエアル魔法学校が見えてきた。


体育館に入り、何とか間に合ったぜ!と強がったが、普通に入学式は始まっていた、遅刻だ。


まあ、俺の出番はもう少し先なので慌てない慌てない


少しばつが悪そうに俺は自分の席へとつく。


「で、あるからして…えー、このようにですね

我が学舎は…で、あるからして、」


校長の挨拶だ。10秒に1回のペースでで、あるからしてを使っているが、あれが校長の個性魔法なのだろう。非常に強力だ。俺にはとてもできない。


校長が退くと、全学年主任になったミル先生の挨拶が始まる。


相変わらす立派な谷間だ。


小さくなる魔法とかあったら、絶対にあの隙間に入るだろうな、いや、意地でも入る!


待ってろよ!谷間!


俺の出番がやってきた。大勢の前で話したことがないので大変緊張する。


右手と右足が揃わないよう注意しながら壇上へと駆けあがる。


「あの人が第1席なんだ~」


「魔法無効剣っていうの使うらしいぜ!」


「すっごいイケメンね!」


10歳の少年少女や何歳か分からないもの達、様々な1年生がはしゃいでいる。


俺の顔ではないが、イケメンと言われるのは嬉しい。


「はじめまして、新入生のみなさん。先ほど紹介にあがりました、第1席のルイ・ウォルコットです。いきなりなんですが、僕は7ヶ月前記憶喪失になりました。そして、そのせいで魔法が一切使えなくなりました。しかし、3ヶ月で新たな魔法を頑張って覚え、第1席になりました。何が言いたいのかというと、人間の可能性は無限大です。努力をすれば報われることもありますが、報われないこともあります。それをひっくるめて可能性は無限大だと思います。あなた方1年生の学校生活が光輝くものであることを願い、挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました」



少し長いが決まった!これは決まったぜ!


100点満点の挨拶に酔いしれ壇上を後にする。


会場からは大きな拍手が起きた。成功だ。


新学期が始まると、1年生を中心に俺のファンクラブが出来たらしい。


50人程らしいが俺のファンクラブ。良いものだ


穏やかな日々が流れていくが事件もない、目標もない、やる事もない。


目標はあるのだが、それは卒業してからの事なので、現時点では特にない。


魔法の習得をしようにも4つ目からは期間がかかりすぎて萎える


魔法トーナメント以来、友達は増えたので、嫌な思いをすることはなくなったし、孤独という訳ではないが、なんか物足りない



フィリーがいてくれたら…


そんなことを思う日々だ。


渡嘉敷 匠にもどったような気分だ。


前の世界で高校生だった俺は、嫌われてるわけではなかったが、親友と呼べるやつはいなかったし、彼女はいなかった。どこにでもいるようなフツーの奴だった。


あの時の俺は、ただ強さが欲しくて剣を振るっているだけだった。


前の世界では、あまり役に立たないであろう強さ、抽象的なその強さを求めて日々を過ごしていた。


前世界にもどったような不快感を覚えながら今日も、平和な日々が過ぎていく


ひとまず、やれる事をやっておく、


まず、体力作り。


これは魔法の世界で、剣士として戦う俺にとって重要なことだ。朝晩のランニングに腕立て、腹筋、素振り。


腕立てと腹筋に関しては、この世界では珍しいようで、家族のみんなが好奇のまなざしで俺を見ていたが、ぼこぼこの腹筋には憧れがあるので、めちゃめちゃ鍛えておく。


次に世界の把握と知識だ。


東に人間の住む国が52

西に魔族や魔物の住む国が48


300年前の魔王の侵略で半分近く奪われてそのままの状態だ。


魔族は強いが弱点が多いため人間でも対抗できるので急に侵略してきたりはしないそうだ。


300年前は魔王の力があったからということだな。


次にヴェルトイヴについてだが、世界の前夜祭という別名を持つ宝石でそれひとつで小さな国なら買えるぐらいの値段らしい。


1個だけどっか人間が所持しているそうだが、残りの個は現存しているかどうかも定かではない。


しかし、宝石以外に集める理由が見当たらない。あの男の目的はなんなんだろうか?


考えるのもそろそろ疲れてきた。俺は集めるだけだ。


そして卒業までお金を貯めてながらこの世界の常識を蓄えておく。


なんだ、やる事はたくさんあるじゃないか!


再び、少しばかりの愛しさとせつなさと心強さを熱意に変える。






サンド side story



ちゃお!本日はこの俺、ルイの父サンド・ウォルコットがお送りするぜ☆


息子が記憶喪失になってから半年が経った。


息子が記憶喪失になるなんて話、いきなり信じられる訳がない。


倒れたと聞いて駆けつけると、そこには変わり果てた息子がいた。


※息子とは下の事ではありません



俺は小さい頃のルイが好きだった。優しくて思いやりがあってよ、めちゃめちゃヒョロくて弱かったが、そんなことはどうだっていい。


思いやりがある優しい息子。それだけで十分だった。


ある日、魔法に目覚めた息子が、エアル魔法学校に入りたいと言ってきた。この子を通わせて大丈夫だろうか?


とても不安だったが、家計に困っているわけでもないので試験を受けさせてみた。


するとどうだ、すごい才能があるらしく特待生で合格したぞ!やはり俺の息子だ!


※やはりといったがサンドは魔法は使えません


それからルイはめきめきと力をつけていく。だが、家に帰る時間は遅くなっていき、家族との会話を避けるようになっていった。


やんちゃになり暴力沙汰をおこしたりもしていた。


どうして、こうなった?


俺はただ、息子と楽しく過ごしたかった。


ただ、ただそれだけなんだ…


俺は日に日に、今の息子を否定し昔のように優しい子に戻れ!と祈っていた。


教会に祈りに行ったこともあるし、まじないをしに行ったこともある。


すると、俺の祈りが通じたのか、ルイは記憶喪失になって、昔のように優しくなっていた。


俺は奇跡を感じた!ルイが、あの頃のルイが戻ってきた。


ルイが記憶を失って半年が経つ。


首席になった。強くて優しい立派な息子になった。


※立派な息子とは下の事ではありません。


だが、そんな立派になっても子どもは子どもだ。


フィリーちゃんという好きな子に逃げられたらしくとても落ち込んでいた。


俺はそんなルイを見てられなかった。これを機にまたやんちゃに戻るかもしれない。不安だった


俺は初めてルイを強く叱った。


そんな俺の話をルイはしっかりと聞いてくれた。


卒業したら旅に出て探しにいくらしい。


多少心配だ。旅になんか出したくない。


しかし、強い決意をもつ息子を俺は笑顔で見送り出すとする。


立派なものだ。俺が父として教えられることは何もない。


卒業まで後1年ちょいだ。


さ~て、今日は何してルイと遊ぼうか…


今日も俺は家の中心で息子を愛する

自信ないですが、ルイのように目標がほしいのでOVL挑戦してみます!


少しでも応援いただければ幸いです!

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