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15話

会場中から怒号が飛び交う。


頭上から複数の岩が降り注ぐ、しかしそれをうまく避けたところでまた岩が襲いかかる。


俺の目の前に立ちふざかるのは前7席のデルタ先輩だ。


俺とデルタ先輩は現在上位の席次を求めて争っている。打つ手がないのが現状だ。


俺のルミナスは魔法にしか干渉しないので飛んでくる岩を防ぐ事は出来ないのだ。


デルタ先輩は俺と一定間隔を保ちつつ土魔法で沢山の土を作り、それを転移魔法で俺の上や前、後ろに投げつけてくる。


ええい、やけくそだ。


俺はデルタ先輩に向かって走り出す。


しかし複数の岩が頭上から俺めがけて降ってくる。

それをもろにくらった俺は、倒れた。


為す術がない、紛れもない事実だ。


負けても、俺は第8席以上の席次はもらえる。


しかも俺は世間的には記憶喪失から3ヵ月でここまできたことになる。


十分がんばった。うん、がんばった。


諦めよう。審判が俺に駆け寄って来たとき、すでに俺は戦意をなくしていた。


審判に棄権の意を告げようとする、





が、



頭の中にフィリーが浮かんできた。



そういえば俺はここで負けたらバン先輩にフィリーをとられるのか、


いやだ、拒否する。


フィリーは俺のものではないが失いたくはない。


また……大切な人を失いたくない。


審判の手を振り払い、俺は立ちあがる。


頭から血が流れている。まるで漫画のようだ。


「まだやるのか。けが人にこれ以上手を出したくないのだが、」


デルタ先輩が言った言葉が上手く聞き取れない。正直そろそろ限界だろう。


俺はワンチャン信じて走り出す。


が、そんな甘くはない。遠距離から岩を投げられそれを腹にくらう。


斬撃が飛ばせれば、遠距離でも戦えるのに……



無い物ねだりをしてもしょうがない

希望を信じて斬撃が出るイメージでデルタ先輩に向けてルミナスを振る。


まばゆい光の斬撃が飛んでいく。


出た、出たよ。斬撃だ。


直撃。デルタ先輩がうずくまる。


好機!


「うおぉー!」


デルタ先輩の元へ赴き2、3度斬りつける、デルタ先輩が倒れた。


審判が俺の勝利を宣言したところで俺も倒れた。


俺は、俺は勝ったのか?


少しの間、気絶していたようで横になる俺のそばでアイリが治癒魔法をかけてくれていた。


アイリによると俺は、30分も倒れていたらしい。その間治癒魔法をかけ続けてくれたアイリに感謝を述べる。


「気がついた?ルイ?」


「ああ、もう大丈夫だ。」


「斬撃も出るの?」


「初めてだよ!フィリーのおかげだ。ありがとう。」


「え、私なにもしていないよ?」


フィリーに覚えはなくとも事実フィリーのお陰で勝負を諦めることなく勝つことができたのだ。ここはひとつ礼をする。



勝ち進む4人が決まったようだ。フィリー対バン先輩。


俺と5年生のモール先輩だ。


ここで既に上位4席以内が決まった。俺もフィリーもだ。


デルタ先輩ならどうにか5席を勝ち取ってくれるだろう。


ぶっちゃけ俺より強かったし。最後斬撃が出なかったら負けたのは俺だった。勝ったのは奇跡といっていい。


軽く水分とり、中央へ向かう。


戦いは待ってはくれないのだ。


モール先輩はめっちゃごついラグビー選手のような体型だ。


モール先輩の個性はメタル化だ。


俺とはメチャクチャ相性がいい。近距離ならルミナスを使う俺が負けるはずがない。


遠くから苦し紛れに魔法を撃ってくる。そこそこの強度があるが俺には関係ない。


全てを斬り落としモール先輩に向けて斬撃を放つ、俺の勝利だ。


初めて相性のいい相手と戦えた。


モール先輩に申し訳ないが上位2席以内が確定する。


最後の相手はフィリーかバン先輩だが、ライバルが負けるはずはない。



相手はバン先輩だ。フィリーに申し訳ないがバン先輩で確定だろう。


フィリーとバン先輩の戦いが始まった。


バン先輩はフィリーに惚れているため、無闇に、傷つけたりはしないと思うがフィリーが心配だ。



フィリーはよく戦っている、バン先輩を翻弄しようといろいろな手段で攻撃をした。


しかし、早々とバン先輩の強烈な一撃でフィリーが倒れる。


倒れたフィリーをバン先輩が抱えてアイリの元へ連れていく。アイリが治癒魔法でフィリーを癒し始めた。


余裕の勝利だ。キザな野郎め。


早くバン先輩と決着をつけたいところだが、初戦敗退4人の5席~8席争いがあるそうで我慢してそれを見ることにする。


予想通りデルタ先輩は5席になった。


次にフィリーとモール先輩の3席4席争いだ。


フィリーはモール先輩のメタル化を通すほどの攻撃を持っていないため早々と棄権した。勝てない相手と戦っても怪我するだけらしい。

4席で満足なのだろう。


2連敗という形になったが、フィリーは大丈夫だろうか?


「フィリー、残念だったね。でも、4席おめでとう。」


「ありがとう。十分満足だわ!後は、ルイがバン先輩を倒したら終わりね。」


さあて、いよいよメインイベントだ。


俺は、フィリーがために剣を振る。


会場のボルテージが上がるなか、俺とバン先輩は向かい合った。


「本当にお前と決勝するなんてな~、去年のお前の重力魔法には勝てなかったが、今年は俺が勝つ。そしてフィリーをもらう。」


そうか、前のルイはバン先輩に勝っているのか…


戦いの前なので強気で応戦する。


「お前が俺に勝つことはない、残念だがフィリーは渡さねえよ」


「いいねぇ~、それでこそルイだ。去年を思い出してきたぜ~」


なんかテンションあげちゃったがいいだろう。


戦いがはじまった。


バン先輩が地面に触れる。地面をつたいながら俺に向かって爆発が襲いかかった。


後ろに飛び退きかわす。射程距離は10mといったところだ。一撃でももらったら危ない。


離れた所からルミナスで斬撃を出し様子を見ることにする。


しかし離れすぎているので簡単に見切られ、避けられてしまう。


すると、バン先輩が強烈な爆発をおこし、地面を隆起させる。


バン先輩の姿が見えない。


やばい…


咄嗟に後ろを振り向くが、バン先輩は射程距離に俺をとらえていた。


爆風の熱と強烈な一撃で俺は、倒れる。


直撃だ、今までに経験したことのない大ダメージを負う。


まだ、立ち上がることはできる。


必死にバン先輩から遠ざかるが、容赦のない追撃が襲いかかる。


強い、強すぎる。爆発なんて卑怯じゃないか!勝てっこないよ!


声を大にして叫びたいが我慢する。だって、主人公だもの。


この戦いに負けるわけにはいかない。俺の意地でもあり、これからの為でもあり、フィリーのためでもある。


どんな手を使っても勝たなければ、


俺は、目の前に落ちていた、石を思い切り投げつける。コントロールには自信があるのだ。


バン先輩が避けるであろう方向に斬撃を繰り出す。

連続して何度も斬撃を繰り出す。ひとつでも当たれば御の字だが、


かすりもしなかったようだ。


絶望的な状況に頭を抱える。


何か、突破口はないのか…


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