12話
天気は快晴、絶好の戦闘日和だ。
降り注ぐ日差しを浴びながら俺は思う。
すでに校庭には沢山の大人たちが良い人材をスカウトしようと駆けつけていた。
大人達の視線の先には
1年生から5年生までの予選を勝ち抜いた計50人に、6年生を抜かした前上位8人の俺、バン先輩、フィリーと後一人を入れて54人が集う。
下級生が震えているのを見た俺は、
優しくしてあげるから大丈夫だよ。心配しないでね☆という表情を作ってそれを振りまく。
下級生がさらに怯えた気がしたがまあ、気にしない。
「これより本選トーナメントを開始する」
校長の宣言と共にトーナメントが開始されることになった。
54人の人数の対戦をどうにかトーナメントで組んでいる。
俺に関しては3回勝てば、決勝まで進めるようだ。
決勝は勝ち抜いた8人を上位8席とし、それで再び席次を決めるようだ。
ぶっちゃけ運の要素も強い。
いきなり強いやつどうしで当たってどちらかが敗退するということもありそうだ。
そこはまあ、時の運として仕方がないと思ってトーナメント表を確認する。
しかし、そんなことはないようで下馬評が高い人どうしでは最初は当たらないようだ。上級生と下級生どうしで戦うように仕組まれている。
教員が考えてくれたのだろう。
俺の初戦は7回後で2年生の男子のようだ。
2年生には強そうなやつがいなかったので心配はしないが少し緊張してきた。
はあ、やべえまじチビりそうなんでけど~
今日の俺は出場者なので校庭で待機する。
ルイ!現在発進準備中です!
早速一組目の戦いが始まった。
あ~っと、これは上級生の炎魔法が炸裂しました!しかし、下級生が水魔法を繰り出し防ぎます!しかし、それを読んでいたかのように上級生の怒濤の攻撃です!決まるか?決まるか?
決まらない~下級生も意地で粘ります!ここまで彼をたぎらせるものは一体なんなんだ~!
おっとっと、失礼、少々興奮してしまいました。
実況はわたくし中二心を満載を搭載。ルイ・ウォルコットでお送りしております。
やはり、上級生と下級生には大きな差がある。次々と上級生が突破を決めていった。
てか、次俺の出番やん?
久しぶりの試合だ。パねえ、まじパねえ。
緊張してきたら尿意がこみあげてきた。一旦トイレに行くとする
「ふぅ~、すっきりキリキリマイ」
誰もいないと思ったのでしょうもないことをつぶやいた。そこに誰かが俺のとなりで用を足しにきた。
「よ~う、ルイ~やっと、この時が来たな、てめえを潰す事を考えると武者震いがしてきたぜ」
ドスの利いた低い声に聞き覚えを感じ隣を見るとバン先輩であった。
ションベンしながらそんな台詞を言うバン先輩の姿は少しまぬけで親しみを感じられた。
「お久しぶりです!先輩、先輩とは決勝でしか当たりませんが楽しみにしてます。」
「はっ、てめえをキリキリマイさせてやんよ!」
さっきの台詞を聞かれていたようだ。少しまぬけであった赤面する俺は足早にトイレを出る。
バン先輩はそこまで悪い人ではないと俺は思う。
先程の台詞もユーモアが感じられたし、ションベンしながら話しかけてきたのも親しみがある。フィリーに対しても力づくではなく、しっかり告白する熱意もある
さ~ていよいよ俺の出番だ。この3ヶ月は長いようで短かったな。いろいろな出来事が凝縮されてお届けされたし、3ヶ月まえの俺はこんなことになるなんて思わなかっただろう。
とにかく全力でやるだけだ、相手の2年生には申し訳ないが俺の踏み台になってもらう。
係りの人に呼ばれ、俺は校庭の中央へと向かう
「がんばってね!ルイ!」
フィリーの声援に背中を押される。
対戦相手の2年生は既にスタンバイできていた。
正面に向かい合い開始の合図を待っていると、ギャラリーが騒ぎ出す。
「重力使いのルイだ!」
「あれが、去年3年生で第3席になったルイ・ウォルコットか」
「やっとかよ!俺はルイを見にきたんだぜ!」
「楽しみだ!早く始めろ~!」
いろいろな声が響く、うるさいやつらだ。相手の2年生がびびってしまったじゃないか、
「少年!ギャラリーなんか無視しろ!お前の全力を俺にぶつけてこい!」
「はい!光栄です!ルイさん。がんばります。全力でお願いします。」
少年と会話を交わしたところで試合が始まった。
まず、少年が先制とばかりに炎魔法を繰り出してきた。それを軽くよける、少年までの距離が3m程になった所でルミナスを出す。
「うわぁ~あ~あ~、」
四方八方に魔法を放ってくるが、目の前に来た魔法を全て斬り捨てる。
結構な数を斬り、少年に向かってルミナスを強く突き出す。降参してくれるならなるべくとどめはさしたくない。
「まいりました…」
大きな歓声と共に試合が終了した
30秒ほどだろう、避ける感覚も斬る感覚も悪くなかった。
「なんだ?あの輝く剣は?」
「個性魔法は重力操作ではなかったのか?」
「強いが…しかし…」
「聞いたことがあるぞ!昔魔法を斬る剣の魔法があっそうだ!」
ギャラリーが沸くと同時に疑問をいだいている
当然だ、個性魔法は一人一つで、俺は重力魔法ということになっている。この世界の常識なら考えられないからな。
「おつかれさま!」
フィリーの隣に座ると周りの生徒に声をかけられる。
「なんだあれは?」
「魔法が効かないのか?」
「記憶失っても強いのかよ…」
始めて話しかけてくれたのでしっかり返事はしておく。
「記憶をなくして前の魔法が使えなくなりました。その代わり今の魔法、ルミナスが使えます」
「なるほどな、記憶なくして弱くなったお前は、この学校にはいらないと思っていたんだが…」
「それだけ強いなら全然構わないな!しかも前より丁寧になってなこれなら友達になってほしい!俺はバイスだ!よろしく!」
「俺はグリンだ!よろしく!」
「よろしくお願いします。」
そう言っていろいろなやつが握手を求めてきた。
しょうがないか。暴れん坊の成績上位者が記憶と魔法を無くしたら何も残らないからな。今までの俺は嫌われものの劣等生という形だったのだろう。
これを気に友達ができるなら悪くはない。
「かっこよかったよ!ルイ君!今度一緒に魔法の練習しよう!」
「あ、わたしも!」
その中には多数の女子もいて俺は少しウハウハだ。それを眺めるフィリーが少しにらんだ気がするがあえて気づかなかったことにする。
フィリーの番になった。
フィリーは下級生相手にもちゃんと全力を出していた。相手の魔法を全てよけ、四方八方から魔法を撃ち込む。
俺の水魔法や風魔法なんかとはわけが違う。しっかりと威力がある鍛えられた魔法だ。
しかし強いな、無傷だ。フィリーは心配ないだろう。反対のブロックだし決勝までは当たらない。
すべての一回戦が終わった。下級生はぼぼ全滅だ。一年生には土魔法で存在感を出していた彼が残っていた。そう、グイ・ドラゴンだ。
4年、5年に混じって1年生が残る、すごいことだ。
現在人数は28人になった。シードの人も次から出てくる、バン先輩の魔法が楽しみだ。
Aブロック14人、Bブロック14人を2回戦でA7人B7人にする。
Aにはフィリーとバン先輩、Bには俺と5年生の前7席デルタ・ハイルーフ先輩がいる。
その7人でブロック毎に準決勝をし勝った4人ずつを暫定上位8人とするらしい。先はまだまだ長い。
昼休憩になった
「はい、ルイ、お弁当作ってきたよ!」
フィリーが弁当を作ってきていた。
くっ……無念。俺は、2回戦を戦う前に敗退が決まった。フィリーの弁当を食べて午後を戦う自信はない。
この前のような惨劇は2度と繰り返してはならないので満面の笑みを作る。そして、
「すまない、フィリー。今日は妹が外に弁当をもって届ける事になっているんだ。フィリーの料理を食べたいが…俺のためにありがとう、そしてさらばだ。」
俺は、一目散に駆け出した。後ろは振り向かない、決して。嘘をついたのは心が痛いがこれは致し方ない。
校門を出ると沢山の大人が弁当を購入していた。
「おお、ルイ君!先程の魔法は一体どういうことだい?」
「一体なんなんだ!教えてくれ!」
「重力魔法はどうしたんだ?」
矢継ぎ早に質問が繰り出される。一つ一つ説明するのも面倒なので、全員を集め、俺のこれまでの事を説明した。
「記憶喪失か、そういうケースもあるのか。」
「重力魔法が失われたの痛い、」
「しかし、先程の魔法もかなりのものだ。」
みな、納得してくれたようで良かった。
俺は弁当を購入し、フィリーにばれない場所で素早くたいらげる。
2回戦の相手は5年生の女子だ。先輩なので本気で戦わなくては危ないだろう。
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