来世? それはセミ?
いよいよ、私の来世の選択の日が来た。
私は、長い列の中、その順番を待っていた。
「まだ、心は決まっていない、たとえ記憶が無くなっても 『人類』 に戻ろう、とも……。
一方、『人類』 に戻ってみても、僅かばかりの幸せを望んで苦しい日々を送るのなら……」
と悩んでいた。
あのセミのじぃさんが偶然にも隣の列に並んでいた
「おい、お前来世の『よみがえり』は決めたのか?
わしはなぁ、ちっちゃな生物になろうと思っている。いつ人類に殺されてしまうかもしれないがな」と、
(その言葉は、ある意味、前世が人間であった私に対するイヤミだったのかもしれない)
でもその言葉の奥には、私のそんな稚拙な頭で想像できる程、単純な物では無かった。
その言葉は、この星が、大好きだったからこその言葉だった。
私はその言葉で、やっと気が付いた。
「何が幸せなのか……」
そして、セミじぃさんの言っていた
『もし来世でセミになる希望があれば、このわしの思いだけは、お前の心に残してやろう』
の意味も……。
いよいよ、私の来世の選択の時がきた。
私は、
「来世はセミになります」と言うと、
「人間という選択肢もあるのですよ、セミは人間に比べればランクは下がります。今度黄泉に来た時には、なかなか人類には戻れませんよ、それでもいいのですか?」と言われた。
私の心は決まっていた。
人間なんて、ちっぽけで、父さんは来世を『岩』の選択とした、
また、母さんは、大好きだった『花』を選択していた。
岩、花……、いつ人類に葬られるかもしれない、そんな物に自分の来世の『よみがえり』として選択したのである。
そして、あのセミじぃさんが云っていた事を思い出し、結局は、
『人類が、そのバカさで作り上げ、そして、壊してしまう』 という事なのだろう。
そんな人類には未練など無かった。
現世であんな楽しい時代、「セミとり」、「カブトムシとり」、「クワガタとり」……、
なんでこんなに荒んでしまったのだろう?。
人類の私利私欲なのか?……。
人類は目に見る事ができる ある動物(いき物)の個体数が減れば、『絶滅危惧種』なるものとして、保護にまわる。
決して悪い事で無く、よい事の一端でもあると思う。
しかし、人類が知らない時間に、いくつもの命が無くなっている。
そう、この黄泉の世界で出会った命、
絶滅してしまった、と思うのは自分勝手に決めた人類なのである。
いや、人類も知りえない生物の死滅、その事実の大部分に気付いていないであろう。
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人間が勝手に決めた『絶滅種?』、『絶滅危惧種?』であったが、
黄泉では、すでに人類も……、
その『絶滅危惧種』のランクに入っていた。
何故……?
『49日』は本稿で終わります。
ここまで書いてしまうと、『しじゅうくにち』? のタイトルさえ変ですが、勘弁して下さい。
(私的には、次回作の前振りのつもりでしたので、 『しじゅうくにち』 の連稿は頭に無かったので……、違うタイトルが良かったかな? などとも)
最後まで読んで下さった方 『ありがとう御座いました』 です。
本稿の最終話を綴りながら、この前振りの次作品のタイトルは、『おろかな生き者達』 にします。
次作品の内容、タッチは、本稿 『しじゅうくにち』 とは全く異なると思います。
ジャンルは「ファンタジィ~」かな?……。
でも、恐らく最後のあたりでは、またダークになってしまうでしょう。
本当に、最後まで読んで下さった方、ありがとう。です。
できれば、次作の 『おろかな生き者達』 を投稿した時には、また読んでやって下さい。
ありがとう御座いました。(頭、ペコリ)