7年間で7日
母に逢ってから、暫くは『来世』?……。
と思いながら、黄泉の世界での時を過ごしていた。
来世も「人間として蘇る」と思っていたが、黄泉での時間が経てばたつほど、
そして、人間以外の生なる物に逢えばあうほど、段々と私の心は揺らいできた。
「人間か~、ちっぽけだな?……」、
その場から一歩も動く事も出来ないが、人の手で切り倒されるまで、ガンとしている樹齢何百年もの大木が。また、蜉蝣の様に儚くも精一杯の時を過ごす様、……色々な現世での生き様を知る。
何が良くって良くないのか?
現世での自分を振り返ってみる。
何故人間は、死を恐れるのだろうか?
苦しみばかり多くて、ほんの小さな幸せに喜びを感じ、その小さな喜びのために生きている? のが現世の人類の大多数であろう。
そして、死が自分自身に迫って来た時、
「死にたくない」と、懇願する。
恐らくは、これからの世界をもっと見ていてみたい。我が子達は……?、などとも。
きっと、明るい未来が来るだろう。
死んでしまったら、何も『解らなくなる』の恐怖心なのであろうか。
もし、人間に輪廻転生が保障されていれば、こんなにも怖がらないものだと思う。
(しかし、その輪廻転生を解っていないからこそ、これまでの人類の発展があったのだろう……、善しにつけ悪しきにつけ、だが)
今こうして黄泉から現世を眺めていると、そんな事を思う。
もし、前世の自分の事が解っていれば、このまま、また人間に戻れば、いい訳だし……。
と、考えてしまう時もあり、時を過ごしていた。
そんな事を考えていた時、一匹のセミのじぃさんと出会った。
この黄泉でセミに逢うのは珍しい光景である。
私は、そのセミのじぃさんに、
「珍しいですね?、この黄泉でセミさんに逢うのは」と言うと
「なんでそう思う?」と逆に問いただされた。
「だって、現世では、夏の暑い盛りにたった7日間で死んでしまうんでしょう?。そして、あんなに一杯いるのに、もっと黄泉の世界でも逢えるかな? と思っていました」
「やっぱりな、前にもそんな事を人間に言われたセミがいたらしい、わしはもう寿命が来たから今こうして此処にいるが、セミというのは、7年間でたった7日間しか現世で飛び回っていないんだよ。
人類がもし、現世の時間で百年生きるのなら、セミは7年で7日、つまり1年で1日しか飛びまわれない。後の時間は、黄泉の世界には来ないが、運を天にまかせて地中でな……。わしももう人間の尺度で言えば、三千年以上生きたか? それでいいんじゃないか?、
でも、仲間達の中には、お前達人類のお陰で、埋め立てられたアスファルトの下で寿命半ばで黄泉にくる者も多くなった。お前が、さっき『珍しいね』と言っていたが、淋しいかな今では一杯いるよ。
わしは、幸運にも寿命まで生きる事ができ、今こうしているがな……
昔は良かった、自然災害、天敵にさえ気を付けていればよかったのに、ここ百年位か?、わしら仲間は、生まれ育った木を切り倒され追いやられ、地中にいる時には、周り中をコンクリートで固められてな……」
私は、ハッとした。
確かに現世の高度成長、自然を無視してのビルの乱立、高速道路、インフラ整備、・・・
そして、名ばかりだけの自然公園を残す。そんな時代である。
すると、そのセミは、
「もうすぐ、お前の来世を決める時が来るじゃろう? でどうするつもりなんだお前は?」
唐突の質問である。
私には、二の句も無かった。続けざまにそのセミは、
「また人間になるのもいい、でも人間として『よみがえり』をする時には、前世の記憶は全く無くなる。
ある意味、それが来世を人類として蘇る時のペナルティである、人類は、最も進歩した生き物だからな。
来世は自分で決めるもの、人間でもいいい。
でもな、前世での成功も失敗も記憶には無く、来世はまた一から始まる。
人類はよく、『来世もまた人間に戻る』というが、そんなに? いいのか?
わしは、そうは思わんがな……。人類として生きて何が良かった?……。
ただ霊長類のトップに君臨し、それだけだろう? それが幸せだったのか?……。
セミは、7年間でたった7日の現世であるが、眠っている間でもずっと覚えている。お前は百年生きたのか?、
わしらは、それよりもずっとずっと前からの事を覚えている。そうなんじゃよ、地中の中でもな。
僅かばかりの7日間でもその時の思い出は、ずっと覚えているんじゃよ。
そしてな、人間と同じように百年間生きたとしよう。お前は頭のいい人間だから解るだろう? 7年間でたった7日しか地上に出られないのなら、お前達の百年間はセミにとっては、何年になるのか?……。
もし来世でセミなる希望があれば、このわしの思いだけは、お前の心に残していて欲しい。セミは前世の記憶を引き継ぐ事が出来る。そしてな~……、
このままだと、いずれ地球上の生き物、人間も含め全てが無くなるじゃろう。もう手遅れかもしれないが……、
いや、少しでも延ばして欲しいんじゃよ。この豊かな星を、我々の子孫のためにも、そして、お前達人間の子孫のためにもな」
本稿で『49日』は終わろうとしていたのですが……。
すみません。終わらなかったです。
やっぱり、ダークな内容になってしまった様です。
次話では、終わりにします。
最初に言っていましたが、本稿は次話作品の前振りです。
もっと簡単に本稿は終了する予定でしたが、何か長くなってしまい、
次の投稿でこの『49日」は終わりにします。
本稿で書き過ぎると、次作品の内容も無くなってしまうので、
本『49日』は、次作品で終わりにします? かな?
次作品の前振りでしたが、……こんなに連稿してしまうとは?、
正直『反省』です。
でも、今考えている本作品は、この投稿『前振り?』の内容とは全く違うと思いますが、
(私自身が、もっと明るい? 楽しい? でも最後は…… そんな感じになるのかな?)
必ず 『前振り』まで投稿したのだから、本編を投稿したいと思っています。
本編投稿の際は、よろしくお願いします。
この前振りからの本編の題名は、まだ決めていませんが……
(まだ、フラフラしています)
その時は、活動状況? などで、
また、前書き等で記します。
すみません、この『49日」もう一回、執筆します。それが、前振りの最後です。