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承(その二)
僕と彼女には共通認識がある、それは曇りの日は嫌いということだ。
でも、僕は曇り空から降り始める雨を感じると気分が良くなる。彼女は雲の隙間から日の光が降り注ぐ薄明光線、通称天使の階段を見るのが大好きだ。
その事で、僕と彼女は高校時代によく静かなケンカをした。互いに無表情になり、一言も喋らずにいつも通りの日常をおくるのだ。教室がすごく重い空気に支配されるので、最初のうちは耐えられなくなったクラスの誰かが仲を取り繕い、ケンカは終わっていた。しかし、そのうちなれたのか、誰もそんなことをしなくなった。
この冷戦は今でも時々発生している。