2/5
承(その一)
僕は雨の日が好きだ。
雨の匂いが好きだ。雨がコンクリートを叩く音に心を落ち着かせ、雨の日に傘を差して近所を気ままに歩くのを楽しみにしている。雨に濡れる町並を、家の中から眺めるのも好きだ。
そんな僕を、彼女は変だと小さく静かに断言する。
彼女は晴れの日が好きだ。
日の光が好きだ。晴れの日の太陽の匂いを感じながら、日傘を差して散歩するのが好きだ。散歩しながら、水溜まりに写る青空を見るのも好きだ。
そんな彼女を僕は変だと無情に断言する。
僕と彼女はどこもかしこも違うけど、きっと似た者同士なんだろう。