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みんな憧れのお姉さん
子供のとき近所で美人で評判のお姉さんがいた。
美人で優しくて誰にも愛されて……
チートというやつだろう。
性能が人間を超えていた。
だけどお姉さんは20歳の時に運命が変わってしまった。
お姉さんは風邪で数日寝込んだ。
それはとんでもない病気だったのだ。
脳炎を発症し……
お姉さんは5歳に戻ってしまった。
一生元に戻らない。
同じ職場の同僚で婚約者の男性は数年は奇跡を祈って病室へ通った。
だがお姉さんの両親に泣いて謝られて来なくなった。
良いとか悪いとかじゃない。
誰も何もできず何も選べなかったのだ。
そんなお姉さんに残された時間は少ない。
あと何回春を迎えるのだろう?
医者に言われたリミットは過ぎている。
私は人でなしなのだろう。
どうしてもお姉さんに声をかけることができない。
所詮赤の他人の話だ。
でも、なぜか彼女を見るたびに私の胸は締め付けらるような感覚を覚えるのだ。
恐怖と絶望がないまぜになったあの感覚。
まるで子供の頃に死の先にあるもを考えたときのように。