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今日は白いドレスに銀のパンプス。
赤いルージュを引いて、鏡の前でくるりと回る。
そう、完璧だわ。
準備は整った。
後は実行するだけよ。
この間の男達は使えなくなってしまった。
仕方がないから、私がこの手でやらなくてはいけないわ。
舞台もおあつらえむきに豪華なパーティー会場。
沢山人が集まるから、なにが起きたってわかりっこないわ。
神様が私に味方をしてくれてるのよ。だって、関係者しか入れないはずの招待状がここにあるんだもの。
だから決めたの。
このパーティー会場でその時を待つのよ。
あの幸せそうな、顔を崩してやるの。
傲慢な笑顔を、醜い素顔にしてやるの。
そうして消えてもらうのよ。
そう、大丈夫。
神様も味方してくれている。
私があの子の代わりに幸せと幸運を使うのよ。
あの子さえいなくなれば。
スパンコールの華奢なハンドバックにハンカチに包んでそっとそれをしまう。
そうして会場に足を踏み込む。
あともう少しで、ここの中心にいるのは私になるわ。
私は正しい。
これは正義。
今日から私は桜田 桃になる。
読んで頂きありがとうございます。




