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気まぐれセカンドライフ  作者: 誰かの何か
第1章 はじまりはじまり
7/78

7 なんか、真面目です

何か纏まりの無い話になってしまった。


「おじゃましま~す」


 そう言って俺はツンデレさん(仮称)の家に入れてもらった。1人暮らしなのか生活感を感じさせる物はクローゼットとテーブルとイスくらいだった。キッチンはあるが料理はしないのかあまりにも綺麗だ…ってか未使用だろ~。ダメだぞちゃんと料理しないと、金はかかるし体に良くないものも入ってるし。


「何突っ立ってんのよ。さっさとそこら辺に座りなさい」


 では遠慮なく、とイスに座る俺。ツンデレさんも近くのイスに座る。


「ん?そういえば君って1人暮らしだよ

ね?何でイスが2つも…はっ!もしかしてこれが今回の話のキーポイントなんじゃ…」


「何1人で暴走してんのよ?イスが2つあるのは、このテーブルを買ったときに付属品として付いてきたからよ」


 バッカじゃないの、と言わんばかりに…


「バッカじゃないの?」


 言われました。


「ごめんなさい…それにしても生活感の無い部屋だな~」


 女性にこんな事言うのは失礼だと分かってはいるけど何か引っ掛かるものを感じたので聞いてみる。


「あ、あんたなんかに関係無いでしょ!」


 やはり無理か…ってか一切デレを見せないってどういうこと?このままじゃせっかくのツンデレがツンツンになっちゃうぞ?


「悪かった。そうだ、まだお互いに自己紹介してなかったよな?」


「え?えぇ、まだね」


 自己紹介は大切だからな。お互いの印象アップの為にも。


「俺の名前は羽山 潤。出身とかは…知りたかったら教えるけど…?」


 そう言ってツンデレさんを見る。


「珍しい名前ね。話すことが嫌じゃないなら教えて。犯罪者だとこっちが困るし」


 この世界って犯罪者が多いのか?ギルドでも似たようなこと言われたし…

 だが何て言うべきか、いきなり異世界人ですなんて言っても信じてもらえないだろうし。


「羽山 潤って珍しい名前だろ?それは俺が他の世界から来たからなんだ」


 って事で正直に言うことにしました。

 考えるのが苦手なものでして。テヘッ。


「何言ってんの!?確かにハヤマなんて名前は珍しいけど他の世界なんて…ふざるのもいい加減にして!」


 まぁ、こうなりますわな。


「今は信じてもらえなくていい。あと、俺の名前は潤の方。羽山はファミリーネームだよ」


「ふ~ん、まぁいいわ。言動は怪しいけど悪い人じゃなさそうだし」


 言動は怪しいけどって…ホントの事なんだけどな~。


「そりゃど~も、じゃ今度は君の名前を教えてよ」


「私?私はセレン。セレン・レイナンドよ」


「セレンね。セレンはギルドに入ってるの?」


 今更だがセレンの腰には西洋の剣がさしてある。

 生で剣をまじまじと見るのは初めてだが、意外とどうってことないな。ちょっと大きい包丁みたいな・・・いや、やっぱ包丁とは違うな。


「あぁ、この剣を見て言ってるのね。いいえ、ギルドには入ってないわ。ただの護身用よ」


 ふ~ん。日本じゃ剣なんて持ってたら即銃刀法違反で捕まるから遠い存在だったけど、こっちじゃこんなに一般的なのか。

 ってか護身用で剣を持つって…そんなにこの世界は危険なんでしょうか。


「そういえば、セレンの髪の色って珍しいけど、それって地毛?」


 物騒な話題なんてチェンジチェンジ。俺はセレンと出会ってから気になっていた疑問をぶつける。

 元の世界にこんな髪の色の人がいないのはもちろん、こっちの世界、といってもこの街だけど、こっちではまだ赤、黄、緑、青の4種類しか見ていなかった。

 そう言った瞬間、セレンの顔に影が差した。


 これが今回の話のキーポイントになりそうだな。


「えぇ、まぁね」


 と、さっきまででは想像もつかないほどその声は小さく、重かった。

 そんな重苦しくなった空気の中、俺は思った。


 あれ?俺ら(作者含む)が考えてた以上にシリアスだぞ。


「何か聞いちゃいけない事だったか…その、すまん」


 ここでふざけるのは少し違う気がするので素直に謝っておく。


「いいの。気にしないで」



 気まず~~~い!誰か助けて!

 ってかKY女神仕事入りすぎだろ!さっきから繋ごうとしてんのに繋がらねぇよ。電波が悪いのか?それとも着信拒否されてんのか?


 さて、現実逃避はここでやめにして、一体どこで選択肢間違えたんだ?あれ?ってか最初から選択肢のコマンドが下に出てないぞ?まさかこれはギャルゲーじゃなかっ…


「ちょっと長くなるわよ?」


「はいっ?」


 何のこと?選択肢のコマンドが出てない理由か?


「私の髪の色、珍しいって言ったでしょ?」


「あ、あぁ」


 そっちの話か~。コマンドが出ないことに関しては後でお客様サービスセンターにでも問い合わせとくか。


「私の髪のこのオレンジ色はね、この世界じゃ異端の色なの」


「異端?どうして?綺麗な色なのに」


「う、うるさい!黙って聞いてて!」


 こんなシーンでツンデレ発動させなくても。別に変なこと言ったわけでもないんだし。


「人が生きていく上で欠かせない太陽が沈み、闇が人々を包み込む直前の色。それは破滅の色と人々から恐れられてるの。それがこのオレンジ色よ」


「んなバカな」


 髪の色なんてどうしようもないだろう。俺たち日本人はほとんどが黒かそれに属した色だからそういうのはよく分からんな。


「そんな事を教義としているのが、この世界の人口の9割以上が信仰している《シャイネン教》よ」


 ドイツ語で《光る》か、如何にも闇が嫌いそうな名前だ。


「そうして私はこの16年間迫害され続けてきたの。どうっ?これであなたも私の事が嫌になったでしょ!?いいのよっ、もう慣れてるか…」


「今まで、辛かったんだな」


 そう言った俺は、いや、そうとしか言えなかった情けない俺はセレンの頭を撫でる。つくづく語彙の無い自分に嫌気がさす。


「な、なにを………ふ、ふぇ~ん」


 と、遂に限界がきたのか泣き出してしまった。

 涙は頬を濡らし、膝をも濡らす。破滅の色と呼ばれているオレンジ色の瞳から出たとは思えないような綺麗な涙が。


「泣くといいさ。その涙と一緒に今まで溜め込んできたもの全部流しちまえ」


 そうして俺は彼女が泣き止むまで頭を撫で続けた。せめて今だけでも幸せな時間であるように願ながら、な。


次回予告


潤「珍しく真面目度の高い話だったな~。こんなん読んでも面白くないっつ~の。次回は頼むよ?次回はどうやらセレンとお出掛けするらしいぞ?マジっすか?めっちゃ楽しみになってきた!」

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