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気まぐれセカンドライフ  作者: 誰かの何か
第5章 学校に行こう
63/78

57 なんか、最下位です

 今週から文化祭等々で忙しいので更新が少なめになります…申し訳ありません



「それでは受験番号35374、始めてください」


 そう言われた次の瞬間、俺は試験官の背後に回った。


「はい、終わりっと」


 そして剣の柄で首もとを打ちつけ、気絶させる。ここまでの時間は1秒にも満たない。今まで強敵と戦ってきた俺からすれば、この試験官なんて一般人と似たり寄ったりだ。


「そ、それまで」


 呼び出し係がそう言い、気絶した試験官に駆け寄る。




「いやぁ、効果覿面こうかてきめんでしたよ。おまじない」


 通称筆記用具の天使の元に歩み寄りながらそう告げる。


「本当に強いんですね。実はトップギルダーとかだったりします?」


 彼女が苦笑気味に尋ねる。


「ギルドには入ってますけど、名前の知られてないただのギルダーですよ」


 嘘は吐いてない。俺が魔王だなんて事は極一部の人を除いて知らないからな。


「そうなんですか…そうなると、プロミネントギルダーの強さは人の範疇を越えてそうですね」


 俺もプロミネントギルダーの本気を見たこと無いから想像もつかない。実際に戦ったのは瞬息剣シリチナと魔天剣クラウだけだからな…あの2人も本気じゃなかったし。


「最早生きてる次元が違うんだろうね。そういえば、次は魔術の試験だっけ?」


「はい、何をするのかはまだ分からないですけど・・・あっ、ちょうど最後の受験者が終わって魔術の試験に移りそうですよ」


 見ると、いつの間にか気絶から復活した試験官が受験者を薙ぎ倒す場面だった。


「では、最終試験の魔術に移ります。試験方法は、このダメージ計に自分の持つ最高威力の魔術を使用するというものです。勿論特別魔法を使える場合には使って結構です。では受験番号35300から始めてください」


 試験官がダメージ計を切り株の上に置いて、そう告げる。

 まだ時間がありそうだから解説タイムにしちゃうか。

 ダメージ計っていうのは呼び出し係が右手に持っている球体を指してるみたいだ。よく分からないがダメージが数値化されたりするんだろう。

 ちなみに、魔術と魔法の違いについて話しておくか。魔術はいわゆる魔力を使用して発動するもの全てを指し、魔法はその中でも比較的最近に編み出された魔術を指すらしい。まあ、厳密な違いは無いから気にしなくていいだろう。


「受験番号35310~35319の受験者はそろそろ並んでください」


 見た感じ受験者は中級レベルの魔法を使ってるな。中級レベルの魔法については11話あとがきをチェック!


「受験番号35320~35329の受験者はそろそろ並んでください」


 今までの受験者の数値を見ると、だいたい平均して2800くらいだ。それが凄いのかどうかは知らないが、俺の場合8000くらいじゃないと筆記試験分を補えなそうだな。


「受験番号35330~35339の受験者はそろそろ並んでください」


 う~ん、俺の今の魔力量で最も高威力なのは黒鴉かな…最近では俺の腕も上がったのか、以前の数倍の威力をたたき出せるようになったし、大丈夫だろ。

 本当は試したい技とかあるけど、さっき魔力を同期させるのに大量の魔力を使っちゃったからな~。魔力量自体はそんなに多くないから限界は近い。


「受験番号35350~35359の受験者はそろそろ並んでください」


 段々近くなってきたな。


「魔術は得意ですか?」


 不意に横に座っていた彼女に声をかけられた。


「苦手じゃないって程度ですね。遠距離で使えるような魔術はあまり持ってませんし」


「私も遠距離はあまり得意じゃありませんね。最後の試験ですし、お互いベストを尽くしましょう」


「合格目指して頑張りましょうね」


「受験番号35370~35379の受験者はそろそろ並んでください」


 何だかんだで時間は過ぎていたらしく、俺たちを含んだ受験番号が呼び出された。


 35370番 テクノウィンドで2672ダメージ

 35371番 ファイアで897ダメージ

 35372番 テクノウィンドとサンダーの複合魔術で3712ダメージ


 次は彼女の番か。彼女の魔術は、ダークネスファイアとテクノウィンドの複合魔術だ。ダメージは…7963か。凄いな。テクノウィンドを使う人が多いのは何か理由があるのか?


 そして俺の番。剣の使用は認められていないので、剣の代わりに手をふるう。


「いくぜ、黒鴉っ!」


 黒い魔力の衝撃波がキィィィンという空気を切り裂く音を響かせながらダメージ計に衝突。


「ダメージは…20421か。上出来かな」


 何であれだけのダメージを受けて壊れないのかは謎だが、ちゃんと計ってくれる分には問題ない。




 その後、順調に試験が終わり、俺たち受験者は再び筆記試験を行った教室に呼び出された。


「試験お疲れさまでした。合格発表は明日の9時から17時の間、グラウンド横の掲示板に張り出されます。では解散してください」


 それだけ言って職員は教室から出て行った。


「お疲れさまでした。あとは結果を待つのみですね」


 隣りに座っていた彼女が話し掛けてくる。随分長い間一緒にいた気がしたけど、まだ出会って5時間位しか経ってないんだよな。


「ですね。お互いベストは尽くせましたし、期待しない程度に期待しておきましょう」


 俺の場合、筆記試験分を実技試験で補えたかどうかがかなり微妙なところだ。


「ふふ、面白い人ですね。そうだ、名前聞いてもいいですか?」


「是非とも、と言いたいところですけど、名前はお互い合格したときに改めてではダメですか?」


「そうですね・・・あっ、お母さんからメールが入っちゃったので先に失礼してもいいですか?」


 携帯を取り出してそう告げる。待ち合わせでもしてるのかな?


「どうぞ、俺はもう少しここにいるので」


 俺がそう言うと、彼女は一礼して教室から出て行った。

 もう少しここにいるとは言ったが、別に用があるわけではないので転移で帰ろう。




 その日は帰ったら疲れたのか部屋に着いた途端寝てしまい、目が覚めたときには翌日の午前6時になっていた。・・・夕飯食べ損なった。

 合格発表は9時からだよな。座標も覚えたから転移が出来るし、9時に出発で十分だな。


「二度寝する気にもなれないし、メイドさんに受験のこと聞いてくるか」


 俺は部屋を出てメイドさんを探しに行った。




「わたくしに何かご用でしょうか」


 メイドさんは割と簡単に見つかった。ってか俺の部屋の前を通りかかっていた。

 メイドさんは会いたいときに会いやすいのはいいのだが、会いたくないときの出現率が高すぎるのを何とかしてほしい。


「昨日の事ですよ。何で俺が受験したんですか?」


「ジュン様はこちらの世界の常識力が欠乏しております故、学校で学んでもらおうかと思った次第でございます」


 確かにこっちの常識はよく分からないけどな。筆記試験もボロボロだったし。


「それならそうと言ってくれれば良かったのに」


「どうせジュン様は受験だというと行き渋るでしょうから」


 大当たりだけれども、確かに受験だって言われたら行かなかっただろうけども!


「話はそれだけですね?では失礼します」


 もう話すことはないと言わんばかりにそう言って去るメイドさん。

 朝はやっぱり忙しいらしく、俺に構ってる暇はないんだろう。面倒くさい訳ではないと信じたい。




「結構人がいるな」


 あれからおよそ3時間後、9時を過ぎたので結果を見に来た。

 親子で結果を見に来ている人が多く、2人揃って結果に一喜一憂している。


「俺の番号は35374だったな」


 掲示板を見て番号を探す。縁起悪いから今まで言ってないが、35374は3《み》5《こ》3《み》7《な》4《し》と読める。そう、見込みなしだ。番号にこんな事言われるなんて悲しすぎる。


35368 35371 35373 35374 35379・・・


 おぉ、あったあった。通称筆記用具の天使も受かってるな。


「あっ、掲示板見ました?」


 噂をすれば何とやら、彼女が俺の横に歩み寄ってきた。


「見ましたよ。合格おめでとうございます」


「あなたもね。それじゃあ約束通り、名前教えてくれますよね」


 彼女は嬉しさを全面に出しながら尋ねる。


「潤です、ファミリーネームが羽山で名前が潤」


「ジュン君ですね。私はハルシエスタ・リアメントです。名前がハルシエスタなのでハルって呼んでくださいね」


 というわけでハルだそうです。やっと筆記用具の天使を卒業したね!


「それじゃ、早速手続きしちゃいましょう」





 はい、回想終了。のんびり回想してたおかげで入学式がちょうど終わったみたいだ。

 入学式を終えた生徒たちはA組から順に教室に戻っていく。クラス分けは受験の成績で決まり、成績の良い者からABCDEの順で決まっていく。俺は勿論E組だったが、ハルまでE組だったのには少し驚いた。あれだけ実技が良かったのにE組って事は、筆記で半分というのはどうやら平均より低いのだろう。




「お前ら席に着け~、ホームルーム始めんぞ」


 俺らが教室に入り、5分程したときに1人の職員が現れた。あれが担任か?


「席着いたな。じゃ、早速だが席を変えるぞ~」


 じゃあ何で座らせたんだよ!

 40代前半と思われるくわえ煙草をした胡散臭さ満点の男性は俺の心の声を無視して席順を発表し始めた。


「廊下側の前から順に、イリーナ、カール、ハルシエスタ、ヴァルカイナス、アレックス、」


 恐らく成績順に並べられていく。ハルは3位か、あと少しでD組だったが、鶏口牛後って諺もあるし、E組で良かったのかもしれない。


「フォンス、レイシス、ジュン。以上が1学期の席順となる。1学期末の成績で2学期はまた席順が変わるから勉学に励めよ、若者諸君」


 俺最下位かよ…まあ、筆記試験があれだったからな。受かっただけでも御の字だ。


「あと、前の黒板に貼っつけてある紙に個人の教科ごとの成績も出てるから適当に見ておけよ。んじゃ、解散にすっけど寮や時間割のことは教卓にある紙に書いてあるから1人1枚ずつ取っていくように」


 そういい残し、煙草をポイ捨てして教室から出て行った。

 おい教育者。少なくとも生徒の前でするなよ…


 何だかんだで綺麗好きな俺は煙草をゴミ箱に入れ、教卓にある紙を取っていった。



次回予告


潤「いや~、受かって良かったな。ここで俺が落ちてたら学園編は終わっちゃうもんな。さてさて、次回はいよいよ学園生活スタートって事で」

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