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気まぐれセカンドライフ  作者: 誰かの何か
第4章 勇者が来るみたいだよ?
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51 なんか、どういう関係?

 人様にみせられるような文章じゃないなと思って書き直そうと思ったんですが、人様にみせられる文章なんて元々書けないのでそのまんま投稿…


 ~時は遡り、城1階広間にて~


 戦闘が始まり10分が経過したサナトスとクランは互いに肩で息をしていた。


「なかなかやるな。前回戦った時より腕を上げたか?」


 サナトスがクランに尋ねる。


「前回ってのはランク決めの大会のことか?あれは僕やあんたを含め、ほとんどのプロミネントギルダーは本気を出してないだろ」


 実際、プロミネントギルダーは国の切り札でもあるため、無闇やたらと本気を出すことはない。


「確かにな。皆本気は出していなかった。だがお互い本気を出していないとしてもお前がワシにひれ伏したという事も、また事実なんだがな」


 サナトスがあざ笑うように言う。


「ほざけ、今から現実ってやつを見せてやるよぉ!」


 クランはそう言うと加速した身体でサナトスに向かって走り出した。


「時の御剣、触れし者に永遠の苦痛をッ!」


 右手に握っていた剣が輝きだし、サナトスを斬らんと振りかぶられる。


「避けきれぬな…死の宴、這い寄る影に怯え苦しめ…」


 今度はサナトスの骨剣がクランに向けて放たれる。


「「バキッ」」


 2本の剣が何かを叩き斬る音を発する。


「グッ…」


 先に呻き声を上げたのはサナトス。見ると左腕の肘から先が斬られ無くなっている。


「苦しいだろう。この技は斬られた瞬間の痛みが永遠に続く一種の呪いだ」


 対するクランに大きな変化は見られない。

 サナトスの骨剣はクランの足元を突き刺していた。


「どんな技を出そうとしたのか知らないが、当たらなければ意味ないなぁ」


 勝敗は決したと言わんばかりににやけるクラン。


「そう決めつけるのは…まだ…時期尚早では…ないか?」


 痛みのせいで意識が薄れかける中、サナトスが言葉を紡ぐ。


「状況が分かってな、グハッ!!」


 クランは喋っている途中で吐血した。


「なんだ、これは…」


 クランが視線を落とすと、自分の左胸、ちょうど右胸の辺りが黒い何かによって貫かれている。


「やっと発動したか…それも呪いの一種で…対象の影を突き刺すことで…影が主の右胸を貫く。貫いた影は…徐々に大きさを増していき…最後には主を喰らい尽くす」


「ククッ、へぇ、お互い呪いにかかっちまったってわけか。それじゃあ、助かるのは1人。これからが本当の殺し合いってことだ」


 クランが笑いを漏らして言う。

 そう、呪いを解くには解呪ディスペルをするか、術者を殺すしかない。解呪ディスペルは失われた古き神々の時代の魔法。よって現代で呪いを解くには術者を殺す以外に方法がない。


「いいだろう。お前と共倒れなんてゴメンだ……一瞬でけりを付けるッ!」


 サナトスが2メートルという長いリーチの骨剣を横に凪ぐ。


「黄金の螺旋ゴールデンスパイラルッ!」


 サナトスの剣戟をいなしたクランがジャイロ回転した無数の黄金色のルーンを放つ。


「吸魔、漆黒の超重力」


 サナトスが魔法無効化のマントによってルーンを吸収する。


「グッ…限界が近いか…これで終わりだ!時間の歪み《タイムディストーション》ッ!!」


 クランが遠くの物が歪んで見えるくらいの時間の歪みを作り出し、部屋のありとあらゆる物の時を歪め、消滅させていく。


「ワシも…これが最後の1発だ…閻魔法、魔界招来ッ!!」


 今更直接的な攻撃はクランに届かない。そう判断したサナトスはクランのように、空間ごと破壊する魔法を発動した。

 サナトスの魔法は空間をも吸い付け、先ほどのマントとは比べ物にならない位の重力場を生成した。


 それらは互いにぶつかり合い、空間ごと消し去り、消滅した。






 ぶつかり合ってから10分は経ったであろうか…

 空間、と呼ぶことの出来ない『なにか』の中にクランとサナトスはいた。

 クランは寝そべった状態、サナトスは座り込んでいる。


「サナトス、どうやら…また僕は負けてしまった…らしいね…」


 どこか嬉しげに、それでいてどこか寂しげに語りかける。


「あぁ、お前の負けだ…クラン…」


 応えるサナトスはどこか寂しげだ。


「僕は…やっと自由に…なれるのかい?」


「あぁ、もうすぐお前は、自由だ」


「そうか。なあ、サナトス。この世界の闇は…思った以上に…深いよ」


「・・・・・」


「同じ人であるにも関わらず…姿形が違えば…人は憎しみあう」


「・・・あぁ」


「僕は…嫌だな…この世界を変え…たかった」


 クランが静かに涙を流す。


「ワシも、そうだ」


「幼いときに…君に教えを受けたことも…全く後悔してない」


「・・・そうか」


「どこで間違えちゃったんだろうなぁ…」


「お前は間違えてなんかいないさ」


「フッ、やっぱり…優しいんだね…そうだサナトス…僕が戦う前に言ったことだけど…あれ…本心から言ったわけじゃ…………」


 その言葉を最後に、クランは再び口を開くことは無かった。


「分かっておる。お前は誰より差別を嫌い、誰よりも優しい子じゃった…魔族のワシと一緒にいることで何度も人から迫害を受けたりしても、お前はワシから離れようとはしなかった」


 泣いているのであろうか、サナトスの声はどこかくぐもっている。


「ワシの下で修業してプロミネントギルダーになった途端、バーラン国が強引に専属ギルダーにさせ、見張られていたという事も聞いた。今回の魔王討伐には、ワシがいることを聞いて参加した。そうじゃろう?クランよ」


 独り言のように淡々と語り続ける。


「本当なら今すぐにでもバーラン国を滅ぼしてしまいたいが、お前はそれを望まないだろう?」


「ホント、この世界は狂っておる。何で若い者が死んでこんな年寄りが生き残ってしまうのか…ホント、どうなってるんだか」


「ワシはレーテルンに戻ってお前の成し遂げたかった事に尽力しよう。お前は…元の世界には戻りたくは無かろう。元の世界とは隔離されたここで葬ってやる」


 そう言うとサナトスは立ち上がり、骨をも溶かす火属性魔法、フレアをクランに放ち、2人だけの葬式が始まった。




 ~時は戻って現在~


「うぉ!?サナトスさん?どっから出て来てるんですか…」


 一通り気が済み、さっきの場所から戻ってきたサナトスはちょうど潤と鉢合わせた。


「あ、あぁ、ジュン。クランは…倒したから、先に帰らせてもらうわ」


「え、あぁ、はい、今日はありがとうございました」


 何でサナトスがこんなにテンションが低いのか知る由もない潤は間抜けな声を出しつつ、サナトスを見送った。


「さて、あとは俺たちが帰るだけか…」


 外を見ると、既に夕日が出ている。


「長い1日だったなぁ、うん」


 一通り仲間を見送った俺は優のいる場所へと戻って行った。


次回予告


潤「え~っと?一通り戦闘が終わったのかな?んじゃ、あとは帰るだけって事で、まったりとした帰宅風景とかだといいなぁ~」

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