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気まぐれセカンドライフ  作者: 誰かの何か
第4章 勇者が来るみたいだよ?
53/78

47 なんか、同時進行です

本当に申し訳ありません

まだまだ続くんでどうか気長に待ってやってください…


 ふ~、なんとかナレーター取り返したよ~。

 さてさて、勇者パーティは階段を上がった後、2階を探索してる。


「何もありませんねぇ」

 今まで口を開かなかった中世の貴族っぽい格好をした男が2階を一通り見た後、やっと口を開いた。

「次は3階」

 その言葉に対する答えなのかどうかよく分からないけど、勇者がポツリと呟く。

 続く3階も最初の3部屋を見る限り、敵も居なければ宝箱も何もない。ケチだな~ジュン君は。

 残りの部屋を調べるべく、問題の空中回廊を歩き出す勇者パーティ。


「ομγεξχθνμκβνιτψ!!」

 ん?何か聞き覚えの無い言語が…

 それと共に勇者パーティの中に見慣れない文字列が出来上がる。

「これは、、、悪魔法っ!2人共、避けてください!」

 全身鎧の守砦壁が叫び、殿(しんがり)を務める守砦壁は後ろに、残りの2人は前に跳んだ。


 悪魔法だったのかぁ、じゃあ私が知らないのも当たり前だね。

 あぁ、悪魔法っていうのは古き神々の悪神ロキが創った魔法体系でね、普通の魔法はこれまた古き神々の智神オーディン、理神ゼウス、王神エールの3柱が創ったんだ~。え?何か聞き覚えのある神様ばっかり?そりゃあ神様は全ての世界共通だからねぇ。

 因みに私の上司はフレインって神様で、新しき神々なんだ。

 まあ、今神々について説明するのは面倒だからあとがきに書いとくよ。

 

「νλμζγλχτθφ、πψωαρσ!」

 再び悪魔言語が響き渡り、今度は文字列が爆発した。

 砂塵が舞い上がっちゃってよく見えないけど、どうやら橋の中央が落ちたみたいだね。

 守砦壁だけを取り残させたということは、この悪魔法を発動したのって…


「よう守砦壁。ガキどものお守りは大変だったろう?俺が今、楽にしてやるよぉ」

 砂塵の中から声がして、現れたのは魔天剣。

 潤君の作戦通りになったみたいだね。ってあれ?またナレーター交代!?え、えっ?ちょっと…




 ようやく俺の出番が回ってきたぜ。

「あなたの仕業ですか魔天剣。どうして悪魔法なんかを」

 状況が呑み込めたのか守砦壁がランスを俺に向ける。

「便利だからな、禁忌だろうが何だろうが関係ねぇ。目の前にあるものを壊す、それだけだ」

 とは言ってもあの術式が悪魔法だって見破られたのはマズいな…

 悪魔法が禁忌とされるのは被術者が悪魔法の知識がある場合必ず殺さなくてはならない、その掟を破ると術者に呪いが掛かるからだ。非倫理的であり滅びゆく魔法、それが悪魔法。

 俺たち魔族以外にこの魔法を知ってる奴が居たとはな、ジュン、てめぇには悪いがやっぱり殺さなくちゃいけなくなった。許せよ?

「外道が、守砦壁の名にかけてあなたを滅します。2人は速く次の場へ」

 守砦壁が勇者ガキどもに呼び掛ける。すると意外にもあっさりと背を向けて走り去って行った。

「あっはっはっはっ!!振り向きもせずに見捨てられちまったなぁ、オイ」

「彼女らは私を信じてくださっているのです。人の情も分からぬあなたには理解できない事かもしれませんが」

 そう言った守砦壁は鎧に太陽の光が反射して、なかなか神々しいオーラを放っている。俺の大っ嫌いなオーラだ。

「昔っからなんだが、気に入らねぇなぁ、その目、そのオーラ。俺の存在を真っ向から否定してやがる」

「そう言うあなたも私が事を全否定するような雰囲気ですよ?そもそも私たちは相容れない関係、信じるものも違います」

 あいつから見れば俺もそう見えるんだろうな…

「なら話は終わりだ。これ以上話しててもお互い気分悪くなるだけだろ?」

 俺は目に見えるまでの黒いオーラを守砦壁に向かって放つ。

「そうですね。私もいいかげん気分が優れなくなってきました」

 奴も白いオーラを俺に向けて放ち、白と黒のオーラは俺たち2人の中央でぶつかり合った。


「ψυλβκεδλξοπαθλξπνεηονμεκχζ、δγβδεδνο!(差し出すは仇なす者の魂借り受けるは悪神ロキの御力、デモナイズ!)」

「ヘクト・レイストールの名の下に請い願う、守護天使カンヘルよ、今ここに来たれ!」

 同時に詠唱を終え、俺たちの姿が変化していく。


 黒い霧から現れたのは肌が黒く、鋭い角と翼を持つ、身長5メートル位のその名の通り悪魔。

 対して白い霧から現れたのは純白の鱗と翼を持つ、体長10メートル位のドラゴン。

「この姿を人前で見せるのは2回目だ。そしてこの姿を見て死ぬのも、、、2人目だっ!」

 俺は手から黒い波動を目の前のドラゴンに飛ばす。

「世迷い言を…死を見るのは、、、そちらですっ!」

 奴も白いブレスによって俺を滅さんとする。

「さて、パーティーの始まりだ!」




 

 あれ?またナレーターが私に戻ってる。まあ、いいや。

 勇者パーティ(といっても残り2人なんだけど)は階段を上り獣懐狼のいる広間の前まで来ていた。

「いよいよ残りはオレたちだけになっちゃいましたねぇ」

 そうへらへらと笑いながら言う貴族っぽい男の膝はガクガクと震えている。

「あなたに怪我を負わせるわけにはいかない。実質私1人」

 男の方を見向きもせずに呟く勇者。

 冷たい人だな~。

「冷たい人だな~、大丈夫ですよ。次に敵が出てきたらオレ1人で片付けるんで」

 うわっ、最悪!まさかあんな奴と考える事が同じだったなんて。


 これ以上話すことは無いと思ったのか、広間への扉に手をかける勇者。

 ギイィィィと、錆び付いた音を発しながら開いた扉の先には・・・って、誰もいない。何で?


「姿ってね…」

 どこからか声がする。でも姿が見えない。本当にこの部屋にいるの?

「気配を極限まで消すと目じゃ見えないんだよ?」

 すると突然勇者パーティの前に獣懐狼が現れた。いや、さっきの口振りからするとずっとその場にいたのかもしれない。

「あなた、ハリンテの女王が攫われたって言ってたノルティ」

 確認するかのような感じで尋ねる勇者。

「そうだよ、そのノルティだよ」

 どこか狂ったような笑みを浮かべる獣懐狼。名演技だねぇ。

「あなた、操られてる。目の焦点が合ってない」

 あんたも人の事言えないような目ですけどね…

 因みに獣懐狼の目は恐らく特殊なコンタクトレンズで細工してある。潤君がホントに操るとは思えないしね~。

「クックックッ、それはどうかな?さあ、勇者よ、1人で登って来い。お前が1人で来るならその貴族のお坊っちゃんと獣懐狼を解放しよう」

 獣懐狼が潤君の声で喋ってる!?どうやってんの?

「本当に私が1人で行けば2人には何もしないの?」

「疑い深い奴だ。では証としてまず獣懐狼を解放しよう」

 そう言うと獣懐狼が糸の切れた操り人形のように倒れ込んだ。

 でも私の目はごまかせないぞ?倒れ込んだ瞬間、獣懐狼がコンタクトレンズを外したのがバッチリ見えたよ。

「あなた、大丈夫?」

 勇者が獣懐狼に近づき確認をとる。

「うぅ、ここは?」

 種を知ってる私からすれば白々しいとしか思えないけど、勇者はそう思わなかったみたい。

「目がはっきりしてる。本当に解放したみたい」

 ほら、すっかり騙されてる。

「オレがこの娘を看てます」

 貴族っぽい男が提案する。まあ、勇者が1人で行くんだから当たり前だね。

「頼んだ。何が起こるか分からないから気をつけて」

 そう言うと勇者は1人走って進んでいった。



「ねえ、」

 勇者が完全に見えなくなってから獣懐狼が貴族っぽい男を呼ぶ。

「ん?どうしたんだい?」

 男もそれに応じて獣懐狼のそばによる。

「名前も与えられずにお役御免なんて・・・可哀相だね」

 そう言い終えた時には既に男の姿は無く、あるのは悪戯な笑みを浮かべた獣懐狼と転移魔法陣だけだった。

「結局あたしが1番弱い奴の相手だったみたいだね。さて、おにいさんの様子でも見に行くか~」

 そう言い終えたら今度は魔法陣も消え、獣懐狼の姿も見えなくなっていた。

 私も潤君を見に行こうかな~。




神々について


《古き神々》

 世界を創り、基本的な理を創りだした6柱の神々。7万年前の大崩壊、その後の暗黒時代でその存在は滅びたと云われている。

 オーディン、ゼウス、エール、アマテラス、ロキ、エリスとそれぞれ6使徒を従え、総計は42の神々と使徒で構成されていた。


《新しき神々》

 暗黒時代以降の黎明時代から現在までを治めている12柱の神々。

 この12柱の神々もそれぞれ6使徒を従えており、総計は84の神々と使徒で構成されている。


《悪神》

 悪戯好き、または破壊を司る神々の事。

 古き神々の中には悪神が2柱おり、ロキとエリスがそれにあたる。

 新しき神々には1柱のみ存在し、名をアウグロスという。



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