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気まぐれセカンドライフ  作者: 誰かの何か
第4章 勇者が来るみたいだよ?
52/78

46 なんか、開戦します

 物語は進みます。進みます?



 さてさて、なんか久し振りの出番だよ~。えっ?誰かって?やだな~、KY女神こと転生の女神だよ?自分で言ってて悲しくなるけどね…

 ・・・今「あ~、思い出した」って顔をした人、まあ、あなたはギリギリ許す。けど「なんだこいつ。新キャラか?」って顔をした人は後で屋上に来なさい。


 あ、そんな事より仕事しないと。

 勇者パーティは今まさに魔王のいる城に入ろうとしてるところだね。

 ここからは生で見てもらうかな~?


「これが魔王城ですか…どうしますユウさん、早速入りますか?」

 全身銀の鎧に包まれた人が、対照的に軽装をしている紫っぽい色の髪をした娘に話しかけてる。

 あの全身鎧が守砦壁かな?

「うん、入ろ?」

 と言いながら城門に近づく。あの娘が勇者なんだね、きっと。

 城門に手をかけ今まさに開こうと・・・あれ?どうやら開かないらしいよ。押したり引いたり色々やってる。

「ちょ、ちょっと待ってて。今昼食を取ってるから」

 中からサナトスと思われる声がする。

 まったく、魔王パーティは空気読めないな~。

「「「「「・・・・・」」」」」

 ほら、勇者パーティが全員押し黙っちゃったじゃん!どうすんのよこれ。


~10分後~

 ギィィィ、と軋んだ音を立てて城門が開いた。

 ご飯食べ終わったのかな?

「さあ、入れ。3つの試練の後、俺が直接相手してやろう」

 ジュン君が無駄に凄んだ声を城中に響かせる。無理しちゃって~。

 勇者パーティが城に入っていく。


 城はジュン君の魔力で黒くなっていて、いかにも魔王城って感じになってる。

 勇者パーティは緊張しているのか、城に入って5分位経った今も誰1人として喋らない。

 あ、次の部屋はサナトスって人のいる広間だ。

「中から気配を感じる。気をつけて」

 勇者が扉に手をかけた状態で味方に淡々と伝える。


 そ~っと扉を開けるとそこには静かに寝息を立てるサナトスが…って寝息!?まさかの居眠り!?

「「サ、サナトス!?」」

 全身鎧の人と腰に剣を1本差した、これといった特徴のない男の声が重なった。って事はあの2人がプロミネントギルダーかな?

「ん?ああ、来たか勇者よ」

 今ので起きたサナトスがやっぱり凄んだ声で言う。

「サナトスってプロミネントギルダーの?」

 勇者っぽい人が全身鎧の人に話し掛ける。

「はい、そのサナトスです。危険な奴です」

 と、全身鎧が答える。

 ってえっ?ここでナレーター交代?何でよ!ねえってば……



 あれ?何かさっきと感覚が違う……ああ、ワシがナレーターになったのか。

 昼ご飯を食べて眠くなっちゃったワシだけど、守砦壁と時操師が叫んでくれたおかげで目が覚めた~。

 ええっと、ジュンから言われたのは、出来るだけ強そうに見せて各個撃破を目標とさせろ、だっけかな?

「いきなりワシと当たるとは運の悪い奴らだ。せめてもの情けだ、1人がこの場に残りワシの相手をするが良い。他の3人に至っては見逃そう」

 こんなんでいいかな?

「全員であなたを倒せば問題ない」

 あの娘が勇者か~、髪の色がジュンに似てるな~。

「独断は身を滅ぼすぞ?そこにいる時操師と守砦壁に相談してみろ。少しなら時間をやる」

 とにかく各個撃破がジュンの作戦みたいだからね。何としてでも時操師に残ってもらわなきゃ。

 向こうでコソコソ作戦会議をしている間に、歯に挟まった苺の種を取ろうと頑張るワシ。健気だな~。


「僕が残ろう。残りの3人を通してもらおうか?」

 時操師が1歩前に出て、ジュンのシナリオ通り自分が残ると言いだした。

「よかろう。ワシの気が変わらないうちにサッサと行け」

 そう言うと勇者パーティは余計な動きを見せることもなくワシの背後にある2階に繋がる階段を上がっていった。


「賢明な判断だ。だが良いのか?お前は死ぬことになるのだぞ?」

 実際は殺しは無しって言われたから死にはしないけどね。

「覚悟は出来てる。だがその前に一つ聞きたい。何故魔王に従う?」

 鋭い目つきでワシを睨んでそう尋ねる。

 そういえば、まだこの無駄に凄んだキャラを続けなきゃダメかな…慣れないから難しいんだよな~。

「ワシ等嫌われ者は嫌われ者同士仲良くしているだけだ」

 すると時操師は心の底から不思議そうな顔をして、

「何を当たり前な事を言っている。僕が聞きたいのはそんな事じゃない。お前の力なら魔王などには従わずに1人でやっていけるだろう」

 と言ってきた。

 何か…久し振りだな、こんな感情。

「当たり前、だと。ワシ等が嫌われ者という事が当たり前と言いたいのか?」

 あまり感情表に出さないよう、静かに尋ねる。握った拳がパキパキと音を立て始める。

「それ以外何がある。喋れるってだけで何か勘違いしてるんじゃないか?お前等魔国にいる者はみんな『魔物』だ」

 魔物魔物魔物魔物魔物魔物魔物魔物魔物魔物魔物魔物魔物…生まれてこの方900年間言われ続けた言葉が頭の中を巡る。

「貴様ァァァァァ!!!!!ワシ等が何をした!貴様等に害を加えることなど何一つしてない!!だがお前ら人間はどうだ!?ワシが魔族というだけで大切な人を!大切な物を!大切な全てを奪った!・・・・・お前がワシから何かを奪った訳ではないが、この感情を呼び起こした事が運の尽きだ。十二分に苦しんでから地獄へと落ちろ」

 恐らくワシは今、酷く醜い顔をしているのだろうな…ジュン、済まないが殺しは無しって約束、守れそうにない。

「魔物が調子づきやがる。それにあの魔王、ジュンって言ったか?あいつは人間だろう。いいのか?人間の下なんかについて」

 物怖じもせずによく喋る口だ。だが身体はそうではないらしいぞ?さっきから1歩も動けていないじゃないか。

「あやつは知っての通り別の世界から来た、良い意味で何も知らない。確かに最初は怖がっていたようだが今はそんな事微塵も感じられない。ワシをワシとして認めてくれたんだ」

「だがそれは何も知らないからだろう。全てを知った時、あいつはどうするかな?」

「ワシは信じるぞ。あやつはお前らみたいにはならないとな…さて、話し過ぎたな。ワシも全力でいく。覚悟は良いな?」

「さっきも言ったが覚悟は出来てる。サナトス、あんたを殺す覚悟がなぁ!」

 その声を合図に同時に動き出す。

「断罪、最後の審判」

 ワシの肩に魔法無効化のマントが掛かり、鋼より硬い2メートル程の骨の剣が手元に現れる。

「対象の物理速度を高めん、アクセラレーション」

 時操師と呼ばれる由縁となった時魔法で約70倍になった身体能力を駆使して走ってくる。

「「いくぞ!!」」



次回予告


潤「いよいよ始まったらしいな。1階に2人の魔力を感じる。ってか、もしかして次回も俺の出番無いとか?まさかな、ハハハハハ…」

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