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気まぐれセカンドライフ  作者: 誰かの何か
第3章 お城でお仕事
36/78

36 なんか、俺が空気です

何か気に入らない…


 是非ヴェルと一緒に行きたい、か。あっち(元の世界)に居た頃の俺だったら信じられない位の変化だな。まぁ、それが良いことなのか悪いことなのかは別として…


「どうしたのおにいさん?悲しそうな顔して」


 俺そんな顔してたのか。やっぱり変わったな俺。


「なあ、ヴェル。過去の罪って許されるのか?」


「えっ!?どうしたの急に?おにいさん疲れてる?」


「そうだな、俺らしくないよな・・・疲れたのかもなぁ、ここはヴェルを撫でて疲れをとるか!」


 そう言って俺は笑いながらヴェルの頭を撫でる。

 俺らしくない、かぁ、いつの俺の事をいってんだか。


「な、なによ急に~。や~め~て~よ~」


「フハハハハ!ローブの中にいる貴様に我の魔の手から逃れる術はないわ!観念するがいい」


「キャラ違う!それに自分で魔の手って言っちゃったよ!」


 つっこみレベルは3ってところだな。これからに期待。ってかつっこみレベルってなんだ?


「ふぅ、疲れがとれたぜ。で、ヴェルはレーテルンに行ったことあるのか?」


「ちょっとした理由があって、外国には行った事はないんだ。でもレーテルンの王様とは知り合いだよ?嫌な奴だけどね」


「へ~、大変なんだな。で?レーテルンの王様って誰なんだ?」


 嫌な予感しかしないが…


「えっとね、ここ600年位はサナトスっていう王様が国を治めてるよ」


「サナトス?どっかで聞いた名前だな…」


「邪神王って言えば分かるかな?」


「・・・・・はぁ、やっぱりプロミネントギルダーか。どんな人なんだ?」


 予想はしてたけどな…


「ハリンテのプロミネントギルダーはみんな温厚で平和主義なんだけど、レーテルンのプロミネントギルダーは2人とも好戦的なんだ」


「ヴェル、俺大切な用事思い出した。だからあとは頼ん…」


「ダメだよ!あたしだって行くの嫌なんだから」


 回れ右をして帰ろうとする俺の服を引っ張った。


「はぁ、じゃあせめてもう1人のプロミネントギルダーに出くわさないようにしなきゃな」




「もうすぐハリンテとレーテルンの国境だよ」


「ご都合主義だな」


「なにそれ?」


「いやいや、こっちの話だから気にするな」


「ふ~ん、・・・・・けて」


「え?何か言った?」


「避けて!!」


 そう叫ぶとヴェルは俺を蹴って30メートルほど飛ばした。

 直後、音もなく全長10メートルはあろうかという巨大な剣が、さっきまで俺たちが居た場所に突き刺さっていた。


「強者の気を感じると思ったらてめぇだったか、獣懐狼」


 声のした方を見ると、肌が黒く、充血なんてレベルじゃないくらい赤く染まった眼球。俗に言う魔族がそこには居た。


「何の事やら、獣懐狼なんてあたしは知らないけどね。そういうあんたは魔天剣かな?」


「クックックッ、てめぇ変わったな。一昔前なら誰かと行動するなんて事はなかったのにな。なんせてめぇは…」


「やめて!!それ以上言わないで!」


 魔天剣とかいうプロミネントギルダーがそこまで言ったところでヴェルが声を上げた。

 どうしたっていうんだ?


「ホント変わったよてめぇは。恋でもしたか?」


「うるさい!黙って!」


 何なんだ?そこまで聞かれたくないことがあるのか?


「力ずくで黙らせてみろよ」


「くっ!おにいさん、ちょっと待っててね。クローズ!」


 ヴェルが何か詠唱すると、俺は五感全てを消された。


「魔法?それもかなり上位だな」


 ヴェルは大丈夫なのか?あいつプロミネントギルダーだろ?確かにヴェルも強かったがプロミネントギルダーには適わないんじゃ…


「チクショウ、待ってるしかねぇのか」


───────────────────────────────────


 ヴェル視点


「さあ、いくよ!」


 あたしは魔天剣に向かって走り出す。スピードであたしを超える者は現在はいない。おにいさんも人の中じゃ速いけど、あたしには歩いているも同然のスピードだ。


「スピードは衰えていないようだな。・・・見えねぇぜ」


 一瞬で魔天剣に詰め寄り、殴り飛ばす。軽い一撃だから倒すにはまだ足りない。


「エクスプロード・フレア!ジェノサイド・アトミック!メテオ・ライトニング!」


 上級複合魔法を連続して発動させる。今はおにいさんが見てないから自由に魔法が使える。


 幾重にも魔法陣が重なって、物凄い光とともに衝撃が巻き起こる。


「岩に突き刺さりし覇者の聖剣、我が呼び声に応えよ!エクスカリバー!」


 マジックキャンセルしたのかな?魔法が巻き起こった場所には傷一つ無い魔天剣が立っていた。

 いきなり本気だねぇ。それにエクスカリバーって・・・ちょっとまずいかな…

 見ると、空から光り輝く巨大な剣が降ってきた。

 おにいさんに使った攻撃と同じかな?なら、


「三頭一対!地、海、空の魔獣よ、ここに具現せよ!ベヒモス、レヴィアタン、ジズ!」


 あたしは三頭の魔獣を呼び出した。ベヒモスは禍々しい角を持つ巨大な雄牛、レヴィアタンは鉄壁の身体を持つ巨大な海竜、ジズは銀色の羽を持つ巨大な鳥だ。


「ジズ!エクスカリバーを止めてきて」


 ギャァァオ!という鳴き声とともに、ジズはエクスカリバーの前で翼を広げた。

 キンッ!という硬質な音が響き、エクスカリバーはジズの翼に弾かれ、勢いを失った。


「なに!?ペットの鳥如きに弾かれただと?おのれ、大蛇に守られし神の剣!天叢雲剣!」


 魔天剣がそう叫ぶと、剣が1本出てきた。


「天叢雲剣、あなたの本気ってわけか」


「一振りで終わらせてやろう」


 そう言って、剣を掴んだ。


「ジズ、ベヒモス、レヴィアタンもういいよ。あとはあたし1人で大丈夫だから」


 あたしは呼び出した三頭を戻す。

 ・・・ベヒモスとレヴィアタンに至っては何もしなかったんだけどね~。


「ペットを戻すなんて、死ぬ覚悟でも出来たか?」


「いちいち五月蠅いなぁ、集中しないと命を落とすかもよ」


「ほざけ、魔獣のいない獣懐狼なんて、ただの獣人同然。食らえ!ジェットブラック・クロス!」


 魔天剣は天叢雲剣を袈裟切りを2回し、軌跡でバツの形を描いた。

 嫌な気配がする…

 そんな事を思ってた直後、軌跡から黒い刃が飛んできた。

 迫りくる刃をすんでのところで避け、刃の着地点を見てみると何か魔法陣が描かれていた。


「新技かな?」


「いいや、一撃必殺の奥の手さ。これを見て生き延びた奴はいないから情報が洩れてないんだろうな」


 だとすると、短期決戦にしないとかなり危ないと。


「突っ立てると奥の手の前に死んじまうぜ!ジェットブラック・クロス!」


 いつの間にかあたしの横側にきた魔天剣が再び黒い刃を出現させ、着地点に魔法陣を刻む。

 何なんだ?何をしようとしているの魔天険は?


「次いくぜ!ジェットブラック・クロス!」


 今度はあたしの後ろ側にきた魔天剣が技を放ち、着地点に魔法陣を刻む。

 今魔法陣はあたしを中心に一辺300メートルくらいの三角形を描いている。


「まさか!?」


「今更気付いたところで遅ぇ!魔天・断罪デモン・ジャッジメント!」


 すると、三角形内部の空間に、黒い歪みが生まれ、漆黒の剣が現れ、その空間を無に帰した…


次回予告


潤「はいは~い、何も感じない空間に独りぼっちの潤君がお送り致しま~す。・・・・・何もわかりません!ヴェルにでも聞いてくれ。俺は寝る!」

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