表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気まぐれセカンドライフ  作者: 誰かの何か
第3章 お城でお仕事
35/78

35 なんか、冥土、いや冥府に行きます

「ジュン、今日はお主に頼みたいことがある」


「嫌です」


「うむ。それはじゃな、ちょっと冥府レーテルンまで国書を届けて欲しいのじゃ」


「だから嫌ですってば」


「うむ。快い返事、感謝するぞ。なにぶ

ん、あの国の王がお主に興味があるらしくての」


「えっ!?俺の事無視?俺の意見は?」


「よいか?メイドよ」


「はい、問題ないかと」


「何でメイドさん!?俺の保護者!?」


「では頼んだぞ、ジュン。1人での旅路はつらいじゃろうがへこたれずにの」


「しかも1人で!?誰か連れて行っちゃダメですか?」


「城にいる者は皆忙しくての。セレンにも頼み事があるからダメじゃ。ギルドに仲間がいるならそやつを連れて行け」


「・・・・・セレンに危険な事はさせないで下さいよ?」


「分かっておる、引き受けてくれるかの?」


「はぁ、分かりました。行ってきますよ」


「そうか、これが国書じゃ。これを1ヶ月以内に届けてくれ」


「へ~い、じゃあ行ってきます」


 そう言って俺は謁見の間から出た。




「さて、準備するか」


 まずはセレンにこの事言っておかないとな。



「セレン~、居る~?」


 セレンの部屋をノックすると中からセレンが出てきた。当たり前か、これでセレン以外の人が出てきてもビックリだしな。


「どうしたのよジュン、部屋に来るなんて珍しいわね」


「いや~、実はかくかくしかじかで」


 そう言うとセレンはジト目で俺を見てきた。

 ん?もしかして、


「かくかくしかじかで通じるのは小説の中だけよ」


「え?だってこれ小せ…」


「ダメよジュン!そこから先は言ってはいけない気がする」


「あ、あぁ。作者を倒せばいつでもあっち(現実)に行けるんだけどな」


「そういうことも禁句よ!で、結局何の用なの?」


「そうだ俺、女王様に頼まれてレーテルンに国書を届けて来なきゃいけなくなってさ~、しばらく会えないからそのつもりで」


「べ、別にあんたなんか居なくても何とも思わないわよ!」


 久しぶりのツンデレだな。思わず微笑んじまうぜ。


「そっか、セレンにも頼み事があるそうだから頑張ってな。じゃ、行ってくる」


 そう言って俺は歩き出した。


「サッサと行ってきなさいよ」


 ヘイヘイ、と俺は手を挙げて応える。




「仲間を連れて行きたいところだけど、誰か居たかなぁ」


 案外俺って人見知りだったのかも…


「この国で城に仕えてない奴・・・・・ヴェルか」


 そうと決まればギルドへレッツゴー。




「ヴェルってギルダーは居ますか?」


 ギルドに着いた俺は受付に行き、聞いてみた。


「ヴェルさんですね、少しお待ち下さい」



「申し訳ありませんが、ハリンテ国ギルドには所属しておりません」


「そんなはずは、赤髪で獣人の…」


「やあ、おにいさん。呼んだ?」


 振り向くとそこにはヴェルが立っていた。


「お、おう。ちょっと頼み事があってな」


「あ、あなたはノル…」


「お、おにいさん!あっちで話そ!」


 な、なんだ?ヴェルが慌てるなんて珍しいな。受付の人も何か言ってたし。



 ヴェルにギルドの端っこまで連れてこられた。


「どうしたんだ急に」


「い、いや~、あそこで立ち話しても受付に用がある人に迷惑かなって」


「あぁ、そういうことか。気が利く奴だな~」


 そう言ってヴェルの頭を撫でる。


「や、やめてよ~、恥ずかしいよ~」


 ヴェルが顔を赤らめて言う。

 可愛い奴めっ!


「ハイハイ、んで、ヴェルを呼んだ理由だけど、付き合って欲しいんだ!」


 俺がそう言うとさっきよりも顔を真っ赤に染めた。


「そ、それは…」


「おう。ちょっとレーテルンに届け物があってな、一緒に来て欲しいんだ」


「お・・・」


「お?」


「・・・おにいさんのバカ~!!!!!」


 ヴェルが泣きながら俺を叩いてくる。

 え!?俺が悪いの?


「あぁ、え、えぇっと、その、ご、ごめん!何か気に障ったのなら謝るよ」


 ヴェルは依然泣きやまない。

 うぅ、周囲の視線が痛い…


「ちょっと失礼するよ」


 そう言ってヴェルを抱きかかえ、俺はギルドから逃げるように出て行った。




 俺は街の東側に位置する河原までヴェルを運び、降ろした。


「おにいさんの鈍感!無神経!でくのぼう!」


 早速すごい罵声が飛んできた。


「無神経とはよく言われるな」


 鈍感でもでくのぼうでもないと俺は思うが。

 人からの好意にはよく気付くし、セレンやヴェルが俺に親しみを持ってくれてるのも分かってる。


「おにいさんにあたしがどんな気持ちか分かってないでしょ!」


「ごめん」


「・・・・・はぁ、いいよ。おにいさん反省してるみたいだし、許してあげる」


「はい」


「で?あたしにレーテルンまで一緒に行って欲しいんだって?」


 ホッ、説教タイムは終了したか。少しは反省しろって?俺は無神経で有名だからな。そういうのは理解できないんだわ。


「おう。是非ヴェルに付いてきてもらいたい」


「そういう言動が勘違いをさせる元なんだけど…いいよ。一緒に行ってあげる」


「んじゃ、これから頼むな」


 俺がそう言って右手を差し出すと、ヴェルは俺に人差し指と中指を立てて、俺に見せてきた。


「あ、2つほど条件、っていうかお願いがあるんだけど…」


「俺に出来ることなら」


「1つは、もしも戦闘があった場合はあたしに全部任せること、もう1つは……その、移動中はあたしを隠して」


「ん?どういう事?」


「1つ目は特に気にしないで、もしもの為だから。2つ目は、ちょっと今ある人たちに追われてるんだよね。だから」


「追われてる!?大丈夫なのか?」


「直接接触はしてこないからね。暴力を使うような人たちじゃないし。おにいさんのローブの中に入れてあたしを隠してよ」


 あぁ、言い忘れてたけど俺はローブを着ている状態だ。剣とかは必要ないから身に着けてない。

 

「そんなんで大丈夫ならいいけど」


「大丈夫、監視されてたらわかるし」


「そっか…俺は準備出来てるけどヴェルはどのくらい掛かりそう?」


「旅の準備はいつでも出来てるから今からでも大丈夫だよ」


「んじゃ、早速行きますか」



 そうして俺たちはレーテルンへ向かうべく、ハリンテを出た。


「ところで、レーテルンってどっちだ?」


「しっかりしてよ、おにいさん。レーテルンはハリンテの北西だよ」



次回予告


潤「次回はレーテルンまでの旅路だな。何があるかは俺にも分からない。それが旅というものだ。・・・今の格好良くない!?え?そうでもない。さいですか」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ