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気まぐれセカンドライフ  作者: 誰かの何か
第3章 お城でお仕事
32/78

32 なんか、大きな蛇がいます

久しぶりの1日に2話投稿



「じゃ…行くぞ!」


 俺は身体能力強化を使い、グランアスヤに突っ込んでいく。身体能力強化は魔力を身体中に巡らすだけだから目には見えないはず、だから問題なし!


「援護は任せた!いくぜ~、燃え尽きろ!ダークネスファイヤー」


 俺がそう詠唱すると、グランアスヤの下の地面から黒い炎の柱が形成される。

 蛇の表面を焦がすには至ったがそれまでだ。しかも蛇にこっちの存在を知らせてしまった。


 ギシャーッ


 と蛇は牙を剥いてこちらを威嚇してきた。


「・・・ファイヤーウォール!」


 今度はセレンの魔法が発動し、俺の前に炎の壁ができる。魔法は敵味方の区分ができるので俺は熱さを感じない。

 パチンとセレンが指を弾くと炎の壁が蛇目掛けて倒れていく。


「もう一工夫だ!ささやかな風よ!ウィンド」


 俺がファイヤーウォールに少し酸素を送り、より強力な炎にする。

 流石に危ないと思ったのか蛇は尻尾で自らの頭部を守った。

 頭部を守った尻尾は焼けただれていたが、動かすには問題なさそうだ。


 ギシャーッ!!


 再び蛇が威嚇し、焼けただれた尻尾を俺に振り下ろしてきた。


「当たってやるかよ!」


 俺は尻尾を避け、地面を打った尻尾を強化した脚で思いっ切り踏みつけた。焼けただれているおかげで物理的な攻撃にも効果が見られた。

 ギャーッと悲鳴のような咆哮を上げてのたうち回った。

 うんうん、火傷の傷に触ると痛いよね。


 そんな事を思っていたら蛇が何かしだした。


「長くなってる!?」


 セレンがそんな驚きの声を漏らす。


「いや、あれは脱皮だ!新しい皮膚と交換してやがる」


 俺がそう言い終わった瞬間、蛇が無傷で皮から出てきた。

 厄介だな…やっぱり火力不足か。


「仕方ねぇ!ヴェル、今から見ることは誰にも言うんじゃねぇぞ!」


「ん?うん、分かったよ、おにいさん」


 と、今まで空気だったヴェルが答える。


「んじゃ遠慮なく、闇針・捕縛!」


 そう言って蛇の上から闇針を出して蛇を地面に縫い付ける。やっぱり魔力を介した攻撃は効くみたいだな。


「新技だ、食らいな!黒桜」


 俺がそう言うと、蛇の周りに桜の花びら位の大きさの黒い魔力が大量に吹き荒れた。この花びらの1つ1つは鋭く、刃のようにしてあるので、今回のような巨大な敵には有効な手段だ。

 幾千、幾万の刃が蛇に襲いかかり、その皮膚を削っていく。だが、やはり決定打にはならない。

 しかし、今脱皮した蛇はもう出来ないらしく、傷だらけのままセレンたちに突っ込んでいった。

 あの蛇、いつの間に闇針を解いたんだ!?


「そっちにはいかせねぇぞっと!黒刀・黒鴉!」


 魔力の波は蛇の頭目掛けて飛んでいった。

 蛇の顔面に直撃する直前、蛇は口を開いて魔力を食った。

 って食った!?いやいやいや、反則だろ!ってそんな事考えてる場合じゃない。


「させるか!ファイヤーウォール!」


 無駄かもしれないが、試しだ。

 そう思い蛇の前に炎の壁を出現させる。

 すると今度は食うことはなく、尻尾で薙払った。


(よく見れば黒桜の傷も顔だけついてないな。純粋な魔力は食えるが、属性が付与された現象としての魔法は食えないのか?)


 と、1つの仮説を立てた俺はもう一度魔法を使ってみる。


「まずは魔力から、闇針!」


 俺の手から蛇の口に向けて闇針を飛ばす。

 その攻撃は蛇に突き刺さる事はなく吸収された。


「じゃ、次。燃え盛れ!ダークネスファイヤー」


 次は魔法であるダークネスファイヤーを蛇の口に向けて撃つ。

 この攻撃は吸収せず、炎の柱を避けた。


(やっぱりそういう事か。これじゃこの黒い魔力は決定打にはならないな)


 とりあえずさっきのファイヤーウォールでセレンたちから気を逸らし再び俺を目標にしたので結果オーライだ。


「魔力も残り少ねぇか…これで最後だ!黒桜」


 さっきと同じように顔以外を切り裂いていく。

 これだけ傷だらけになれば大丈夫かな…


「セレン!グランアスヤの四方にファイヤーウォールを!ヴェル、後は頼む!」


「分かったわ」


「オッケー」


 2人がそう返し、後俺に出来るのは見守るだけだ。


「邪なるものを聖なる炎縛の壁にて焼き尽くさん!ファイヤーウォール」


 あれが本当の詠唱らしいです。

 詠唱が終わった瞬間、蛇は四方が炎の壁で覆われ、一瞬動けなくなった。


「じゃあいくよ~、エクスプロード・フレア!」


 む、無詠唱ォォォ!?俺だって中級レベルを短縮詠唱しか出来ないのに、上級レベルを無詠唱だって!?

 ヴェルが魔法の名前を言った途端、蛇の頭上に巨大な魔法陣が現れ、そこから燃え滾る隕石のようなものが降ってきた。

 隕石が蛇にぶつかると急激に収縮を始め…


「あちゃ~、やりすぎた。2人とも伏せて!」


 ヴェルのそんな声が聞こえ、伏せるやいなや、


 ドォォォォォン!!!


 という地響きを伴った大爆発を起こした。

 熱風が俺たちの上を通り抜ける。

 うわ、背中がめちゃくちゃ熱い。


 一通り地響きも収まったので辺りを見てみると、


「なんだよ、これ」


 蛇が居た場所はクレーターができていて、蛇は骨まで溶けたのか姿はなかった。

 一面砂しかない砂漠なので目に見える影響はこれだけだが、街や草原で発動したら、その破壊力は計り知れない…


「2人とも大丈夫だった?」


「えぇ、私もジュンも大丈夫よ」


 セレンが答える。


「上級魔法って凄いんだな、中級魔法とはレベルが違いすぎるよ」


 これは俺の感想だ。


「上級魔法は発動が大変だからね~」


 嘘付け、お前無詠唱だったじゃねぇか。


「制御も難しいからセレンさんやおにいさんにも被害が及んじゃったしね~」


 そういえばそうだな。って、


「討伐対象が消え去ったわけだが、証明部位が無いってことは依頼失敗って事になるのか?」


「本来はね~、でもあたしのちょっとしたコネで何とかしてあげる」


 ちょっとしたコネって、ギルドにコネ持ってるって相当すごいと思うぞ。まぁ、とりあえずは


「サンキューな。じゃ、戻るか」


 と言って俺たちはハリンガルに帰って行った。

 帰り道なんて覚えてないのでヴェルについて行って、だが。



次回予告


潤「次回はゆっくりしたいな~。ギルドで仕事してきたから休んでもバチは当たらないだろ。ヴェルって娘が何者が分かんないけど、敵じゃなさそうだし、ヴェルってプロミネントギルダーもいなかったし、まぁいいか」

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