表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気まぐれセカンドライフ  作者: 誰かの何か
第3章 お城でお仕事
30/78

30 なんか、良い手触りです

いつの間にか30話


 あの後女神2人組は帰って、俺は部屋に1人になった。う~ん、暇だ。


「風呂でも入るか…」




 って事でやってきました大浴場(脱衣 場)。ちゃんと男湯だから心配すんなよ?


「さて入りますか」


 と服を脱ぎ扉を開けると…


「メ、メイドさん!?何で風呂入ってんの!?」


 普通にタオル1枚のメイドさんが入浴しておりました。


「失礼なジュン様ですね。わたくしだって入浴ぐらいします」


「いや、そうじゃなくって、ここ男湯ですよね?何で居るんですか?」


「掃除をしております」


 即答された。


「え?どう見てもただの入浴じゃ…」


「たった今、掃除が終わりましたので、入浴した次第ですが何か?」


「そんなに堂々と言われても…男が入ってきたらどうするんですか?」


「現に入ってきました」


 ごもっとも。って、そうじゃなくって!


「いや、俺は…」


「ところでジュン様、そのような所に立っておりますと風邪を引いてしまいます。入ってはいかがですか?」


「え?いや、それは…」


 ヤバい、完全にメイドさんのペースだ。


「わたくしが居ると入りづらいですか。では出て行くとしましょう」


 そう言ってメイドさんは出ていった。

 後に残された俺は、


「え?何これ…」


 とただただその場に立ち尽くしていた。




 何とも言えない気持ちで入浴を終えた俺は自分の部屋へと戻った。


「もう9時か…」


 寝るには少し早いかな。


「ちょっと外の空気を吸ってくるか」





「ほう、これはなかなか」


 このハリンガルは大都市にもかかわらず、この城の庭の空には満天の星が輝いていた。

 やっぱり科学の世の中じゃないからかな~。


「おにいさんもこの星空、綺麗だと思う?」


「あぁ、俺が生まれた所じゃこんな星空見えなかったからな」


「ふ~ん、星空が見えないって事はレーテルン辺りかな?」


「いや、もっと遠くの…って誰っ!?」


 自然な流れで会話しちまった!

 今俺の隣には血のように紅い髪を尻尾のように頭の後ろでまとめ、中学生くらいの顔立ちの少女が無邪気な笑顔でこちらを見ていた。


「遠い所?・・・ふ~ん、なるほどね。この世界の人はね、他の世界の人と違ってこの星空が当たり前になっているからね。もっとよく見れば新しい発見もあるかもしれないのにね」


 この世界?それに他の世界って、まさか俺の事を知ってる?


「何故その事を…」


「今時星空の見えない所なんてレーテルンの障気に満ちた渓谷ぐらいだからね~。そんな所に人は住めないし」


 なるほど。墓穴を掘ったってわけか。まぁ、バレてそこまで困る事じゃないんだけど。


「俺の事は分かっただろ?君は誰なんだ?」


「あたし?あたしは人狼族の……えっと、ヴェル。そう、人狼族のヴェルだよ」  

 何故名前で詰まった?何か裏がありそうだな…いや、今はそんなことより、


「人狼族!?って事は、み、耳とかあるんですか!?」


「何で急に敬語になったの?う、うん。耳は普通に付いてるよ?」


 ほら、と言って頭を見せてきた。

 あ、あった!頭の上には犬のような耳がちょこんと。


「さ、触ってみてもよかとですか?」


「今度は変な訛りがついた!?いいよ、触って」


「し、失礼しま~す」


 そう言ってゆっくり、ゆっくりと手を耳に近づける俺。


 ファサッ


 そんな感じの手触りだった。

 ・・・・・狼サイコ~!!この前(第3話参照)はキツネの方が良いなんて言ってごめんなさい!キツネ?ハッ、そんなのは時代遅れさ!狼こそ最も可愛らしい生物だ!


「あぁ、あぁ、可愛いなぁ。癒される~」


 そんなことを言いながらヴェルを抱き寄せて頭を撫でる。危ない人になってるって?この際そんな事どうでもいいさ!


「ちょ、おにいさん?流石にちょっと恥ずかしいというか、その…」


「あぁ、すまん。つい夢中になっちゃってな」


 そう言って少女を解放する。見ると、顔を真っ赤にして俯いている。女の子にあれはマズかったかな…


「いや、気持ちよかったから良いよ」


 ヴェルは赤い顔のまま俺を上目遣いで見ながら言った。

 やべぇ、めっちゃドキドキする。もしかして俺って上目遣いに弱いのか?


「あ、もう行かなくちゃ。またね、おにいさん。あたしは毎日此処に来てるからたまにはおにいさんも来てね。あとあたしの事は誰にも言わないでね」


「あぁ、分かった。またな」


 そう言うとヴェルは微笑んで、消えた。

 えっ!?消えた?どういう事?実は全部俺の妄想でした。ってオチじゃないよね?




「ジュン様でしたか」


 俺がそんな事を考えていると不意に後ろから声がした。


「メイドさん、どうしたんですか?」


 そこには表情のほとんど無い、いつものメイドさんが立っていた。


「いえ、庭から話し声がしたので謁見の間から来ましたが…どうやらジュン様お1人のようですね」


 謁見の間から聞こえたって、ここから謁見の間までかなり離れてるぞ?本当にこのメイドさん何者だ?


「ハリンテ城に仕えるただのメイドです」


 また心の中を読んだし…


「さっきからずっと1人でしたよ?何かの聞き間違えじゃないですか?」


「・・・そうですか。ではわたくしはこれで。ジュン様もお身体が冷える前に部屋にお戻り下さい」


 一瞬目を細めて、メイドさんは踵を返して城の中へと戻っていった。

 ばれたかな…秘密にしてくれって言われたから一応言わなかったけど。


「寒っ!もう戻るか」


 その事はとりあえず置いといて、夜風で風邪を引く前に部屋へと向かう。




 部屋へと戻った俺は、メイドさんから温かい紅茶を1杯もらって床についた。

 明日は何をするかな~。ギルド行って移籍届出して、戸籍移して…



次回予告


潤「一体あの娘は……俺の妄想じゃないと思うが…まぁ、いいか。さて、次回は予定通りギルドに行くぜ!最近戦闘がないな~。うん、平和って素晴らしい」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ