26 なんか、出会っちゃいました
久しぶりの2話投稿(予定)
この羊羹、なかなか美味しいな・・・・・え?もう始まってんの?早く言ってくれよ、気付かなかったじゃん。
さてさて、現在俺たちは馬車に乗って移動中です。因みに既に旅は6日目に突入。前回出発したばっかりじゃないかって?そりゃ昨日までの5日間は何もなかったから作者がカットしたんじゃない?ひたすら街道を走り続けてて魔物に襲われる事も無かったし…
だが俺は1つ言ってやりたい。今日何かが起こると。じゃなきゃ今日もカットされてるはずだもんな。
どうせそのうち御者が盗賊だ~なんて言って…
「盗賊だ~!盗賊が来たぞ!」
ほらな。
外を見てみると、俺たちの馬車の周りを取り囲むように、馬に乗った連中10人ばかりが迫ってきた。
「盗賊を追い払う手段みたいなのってあるんですか?」
俺は窓を開けて外で馬を操っている御者に聞いた。
「い、いや、ない。普段ここは治安が良くて魔物や盗賊の類が出ない街道だからな」
んじゃ、やるしかないのか…俺としてもサッサとハリンガルに到着したいからな~
「そうですか。俺とそこにいるセレンって女の子は冒険者なんで、戦いますよ。ただ、危険ですので馬車の荷台に入って、窓から外を見ないようにして下さい」
実際の所は俺の悪魔の力とやらを見られたくないからなんだけどな…
「あれだけの人数を2人で大丈夫かい?」
そこには心配というより、下手に怒らせてこちらに被害が及んでも困るといった表情があった。
「はい、ご心配無く。さ、早く荷台に入って下さい」
苦笑いを浮かべて返す俺。度々思うけど、そんなに頼りなく見えるかな…
「分かった。頼むよ」
そう言うと、しぶしぶといった感じで御者は馬を止め、荷台へと入って来た。それと入れ替わりで俺たちは荷台から出て屋根の上に立った。
「さて、セレン、準備はいいか?」
「いつでも大丈夫よ」
そう言いセレンは剣(城で奪ったヤツ)を構えた。
「じゃとりあえず、俺は右の5人を倒すからセレンは左の5人を」
「分かったわ」
そう言いセレンは屋根から飛び降り、左の敵へと走り出した。
「じゃ、やりますか~」
とりあえず身体能力強化をかけて、黒刀を創り出す。
「んじゃ、黒鴉っ!」
俺は目の前に迫ってきた盗賊3人を殺さない程度の魔力で薙払った。
「続いて、闇針っ!」
俺の黒い魔力を見て呆然としている奴の四肢を闇針で貫いて無力化する。あと1人か…
そして今俺の前には最後の1人、盗賊の頭と思われる2メートルを超えようかというゴツいおっさんが斧を肩に担いでいる。
この雰囲気、出来る!
・・・言ってみたかっただけなんでお気になさらず。
「俺の仲間を倒すたァ、なかなか強いみたいだなァ」
あ、意外に声が幼い。声変わり前の声って感じだ。
「なら素直に退いてくれないか?」
「そいつは無理なお願いだ。このままじゃ俺等のメンツが保てねぇ」
でしょうね。斧担いでやる気満々だもん。ってか目で見た情報と耳で聞いた情報のギャップが激しくて脳が処理しきれないんだけど。
セレンは・・・まだあっちで戦ってるか…援護は期待できないな。
「何ボ~ッとしてやがんだァァァ!!」
ミスターギャップ(盗賊の頭)は隙を見せた俺に向かって斧を振り下ろした。
「危ねッ!」
と、ギリギリでかわす俺。攻撃が速いっ!
「おらぁ、まだまだ!」
いずれも急所を狙って連続で振り下ろしてくる。
なんつ~速さだ。身体能力強化した身体で避けるのが精一杯だ…
「避けてばっかじゃ俺に当たんねぇぞ!」
「分かっ、てる!」
チクショウ、反撃しようにも隙が…
「終わりだァァ!!」
盗賊の頭が頭上から斧を振り下ろす。ヤバッ!これは避けらんねぇ!
「爆散っ!」
どこからか声がして俺と盗賊の頭は吹っ飛んだ。た、助かった~。
にしても誰が…
声のした方を見てみると、騎士の鎧に身を包んだ人間がいた。声からして多分男だろう。
「間に合ったか…そこの少年、手荒な真似をして済まなかった」
騎士は俺に向かってそう言った。どうやら俺の敵ではないようだな…
「てめぇ、なにもんだ!」
盗賊の頭が騎士に言い放った。
「ハリンテ国宮廷騎士団長といえば分かるかな?」
「ハリンテだと!?てめぇ、追っ手か!」
「そういうことだ。大人しく投降してくれればこちらとしても助かるのだが」
「ふ、ふざけるなァァ!!」
逆上したミスターギャップが顔を怒りで赤くして宮廷騎士団長さんとやらに突っ込んでいく。
ってか俺蚊帳の外って感じだな…主人公なのに。
「聞いてはくれないか…」
そう言うと、宮廷騎士団長は腰に差した剣を抜いた。
「ウォォォォォオッ!!」
ミスターギャップが間合いに入った宮廷騎士団長を斬り殺さんと、大上段から振り下ろす。
「安心していいぞ、相手を殺す程オレは下手ではないからな」
何のこと?と俺が思った瞬間、ミスターギャップがズタズタに切り裂かれて吹き飛んだ。
俺には剣を振ったようには見えなかったんだが…どういう事だ?
「ジュン!大丈夫?」
セレンの方も戦闘が終わったようで、俺に駆け寄ってきた。
「あ、あぁ、危なかったがそこの宮廷騎士団長さんに助けてもらった」
未だにあの人がミスターギャップに何をしたのか分からないままだがな…
「君たち、盗賊団の逮捕に協力してくれてありがとう」
宮廷騎士団長が俺たちに礼を言ってきた。
「いえ、ハリンテに行く途中に襲われただけですし、むしろ助けてもらったので礼を言うのはこっちです」
「おぉ、君たちはハリンテに行くのか!オレはハリンテの宮廷騎士団長でギルダーでもあるシリチナっていうんだ。この先に馬を停めてあるんだが、よければ国まで一緒に行かないかい?」
シリチナ?どっかで聞いた名前だな…う~ん、思い出せん。セレンは・・・何か固まってるし…
「あ、はい。是非お願いします」
これから行く国の宮廷騎士団長様の顔に泥を塗るわけにはいかないからな。誘いは断れん。ってか断る理由が無い。
「そうか、来てくれるか!では行くとしよう!」
そう言って宮廷騎士団長は歩いていった。俺たちも乗ってきた馬車に断りを入れて、宮廷騎士団長について行った。
それにしても、シリチナ、シリチナ…
固まった状態から大分復活したセレンに聞くか。
「セレン、シリチナって名前に聞き覚えない?」
するとセレンは、信じらんない!という顔をして、
「兜をしてて顔が分からないけど、ギルダーでシリチナっていえば、プロミネントギルダーの1人、瞬息剣のシリチナでしょ!」
・・・ハハッ冗談きついぜ!プロミネントギルダーなんてそうそう会わないってセレン言ってたじゃん。こりゃ悪魔殺しと出会う日も遠くないな。ハハハハハッ………はぁ。
とりあえずハリンテに逝きますか…
いつもの3000分の1のテンションで歩いていく俺がそこにはいた。
次回予告
潤「次回?とりあえずハリンテ着いて城に行くんだろうな~。今から憂鬱でたまらないゼ☆」