13 なんか、生きてました
潤は爆発すれば世の中平和になると思う
「ん、ここは?」
俺が今居る場所は真っ白い部屋。
いや、壁が見当たらないから真っ白い空間か?
・・・あれ?この文章。それにこの空間。何か俺は知ってる気がするぞ?
「あっ、起きた~?」
そこには、セレンではない見知った顔がいた。
「お前はKY女神!そうか、ここは転生する直前の空間だ~」
でも何でここに居るんだ?
「転生の女神だけどね…あなたはワームと戦って死にかけてたから私が空間転移で運んで復活させたの」
ワーム、ワーム・・・っ!
「セレンは?セレンは大丈夫だったのか?」
「復活して早々に彼女の心配とは、ニクいねコノコノ~」
「そ、そんなんじゃねぇよ!で、どうなんだよ?」
こんな時に顔を赤くするのはセレンのはずなのに何故か今俺は顔が熱い。きっと顔が赤くなってるんだろう。
「彼女なら無事だよ~。誰かさんがいなくて泣いてたけどね~」
KY女神がニヤニヤしながら言ってくる。
そうか、俺がいなくなったことに泣いてくれたのか…申し訳ない気持ちもあるけど何か嬉しいな。
「で、そろそろ戻りたいんだけど」
「どっちの世界に?」
はい?どゆこと?
「今なら元の世界と異世界、どっちか好きな方に戻してあげ…」
「異世界だな。考えるまでもない」
俺がそう言うとKY女神は意地の悪い笑みを浮かべて、
「異世界には未練をたっぷり残してきたんだね~」
とか言いやがった。まぁ、ホントのことなんだけど。
「う、うるさいな、元の世界に未練が無さ過ぎるだけだ。そんなことより、早く転移してくれよ」
「ハイハイ、あ、あとこれはアドバイスね~。もっと強く、仲間を守れるくらい強くなったら古き神々の神殿って所に行くといいよ~。あなたの為になる何かが置いてあるから」
「おう、サンキューな。お前は今まで会った女神の中で1番の女神だ」
「ホント?ありがとう~。困ったら何時でも呼んでね~」
女神なんてお前以外見たこともないが、嘘は吐いてない。嘘は。
「って、お前呼んでもほとんど居ないだろっ!?」
転移が始まったのか俺の身体が薄くなってきた。
「嘘は吐いてないわよ。嘘は」
コイツ…俺の考えまで読んでやがった。プライバシーの侵害で訴えてやろうかな。
そんなことを考えていたらいつの間にか異世界に着いていた。
「ここは…ワームと戦った場所か」
そこにワームの死体はもう無く、俺がウィンドバーストを使った痕だけがぽっかりと残っていた。
((着いた~?))
この声はKY女神か。
((おう、着いたぞ。セレンはキルファ村に居るのか?))
今は一刻も早くセレンに会って安心させたい。
((うん。村に居るよ~))
((分かった。じゃ切るぞ。・・・覗き見るんじゃね~ぞ))
くぎを差しとかないとやりかねないからな。
((ソ、ソンナノアタリマエジャナイ))
分かり易っ!!女神酷く分かり易っ!!絶対覗き見るつもりだ!
さて、キルファ村に入ったはいいが、セレンがどこにいるのか分からん…なんせこの村に入ったことなんて無いからな。
片っ端から行きますか。
村自体は広くないので1人目に尋ねたらセレンがどこに居るかすぐに分かった。どうやら宿屋に居るらしい。
宿屋2階のセレンの部屋の前まで来た。第一声はどうしようか、セレンは怒ってないだろうか。そんな余計なことばかり頭に浮かぶ。
(しっかりしろ!羽山 潤!何を怖がってるんだ)
自分を叱咤激励して部屋へと入る。中にはイスに座ってどこか暗い表情で床を見つめているセレンが居た。
「セ、セレンさ~ん?セレ~ン?セレン?」
なかなか気付かないな…
「セレンってば」
少し強めに言ってみる。
「?、!!」
あ、気付いた。セレンはまるで幽霊でも見たかのように口をパクパクさせている。いや、金魚にも似ているな…いやいや、よく考えてみれば口をパクパクさせるのはなにも金魚に限ったことじゃない。魚であればあの行動はみんなやっている。だとすれば魚のようにと言うべきか?いや、それは抽象的過ぎだろう…
おっと、セレンの心理戦で危うく思考の深みにはまるところだった。セレン、恐ろしい娘っ!
「ジ、ジュン?」
あ、あれ?もしかして忘れられてる?いやいや、まだ数日しか経っていないはずだぞ?
「俺のこと、ご存知ですよね…ほら、数日前まで一緒に…」
「ジュン~!!」
そう言って(叫んで?)セレンは俺に抱きついてきた。俺はビックリしておもわず、
「は、はい。確かに潤は俺のですよ」
という変なことをいってしまった…本当は「潤は俺の名前ですよ」って言うはずだったのに。
「今まで何処行ってたのよ!バカッ!」
グハァッ、涙目+上目遣いは反則!審判、早く反則とってよ。このままじゃ俺の心臓に良くない!
「と、とりあえず一旦離れて、お、落ち着こうじゃ、じゃないか」
まず俺が落ち着け!と思わず自分に突っ込んでしまったのは秘密だ。
「っ!!ご、ごめんなさい。つい」
いいって、と言って一回落ち着く。すーはー、すーはー。よし。
「今まで何処行ってたかだけど、友達に拉致られて、しばらく療養してた。おかげですっかり元気になっちゃって」
ハハハ、と笑って誤魔化す。女神に拉致られたなんて言えないからな。
それに対してセレンは、
「まったく、私がどれだけ心配したと思ってるのよ!ま、まあ、無事ならいいわ」
と言っていた。
その後、俺たちは気絶した後どうなったかそれぞれ話し、その日はもう遅いということで、宿で寝ることにした。
か、勘違いしないでよね!ちゃんとお金は払ったんだからね!
う~ん、俺にツンデレの才能は無さそうだな…
そんなことを考えながら俺は意識が遠のいていった。
次回予告
潤「次回予告に復帰したぜ~!あと誰だ前書きにあんな事書いたの!?どうせ作者だろうけどな…さてさて、次回からは、またいつも通りの日常にもどります。俺はこれからキルファ村でなにをしていくのかな~」