12 なんか、シリアスです
何か最終回みたいになりました。
さて、前回は微妙なところで終わったから、ワームが突進している途中という気持ち悪い画からスタートする。
ってか早いとこどうにかしないと喰われそうだ…
「燃やし尽くせ!ファイヤーウォール」
俺の目の前に高さ10メートル横5メートルくらいの炎の壁が出来上がる。熱く感じないな。術者に対する安心設計か?
そういや俺気付いたんだけどさ、下手に長い詠唱するよりもささっと詠唱した方が上手くいくんだよね。たぶん俺の場合、ラノベとかゲームとかでこういうイメージは身近に有ったから、変に意識するとかえってイメージが霞んじゃうんだろうね~。
さて、そろそろ間合いに入ったな。
そう思い、俺は心の中で倒れろ~って念じた。
すると、炎の壁は俺の思い通り倒れ始めた。
・・・こっち側に…って、えぇぇぇッ!?こっち側!?何でこんな時にギャグ発動してんだよ!ちょ、まっ、や、やべぇ!
と、俺はどうすることも出来ず、あたふたと慌てる。
どうするどうする、と考えに考えて、俺はもう1つの防御にも使える魔法『ウィンドバースト』を唱えることにした。
「我を守りし聖なる風よ~マジで頼みます!ウィンドバースト」
ゴウッという音と共に俺の周りで風がうねった次の瞬間、凶悪なまでの風が周囲の草花とファイヤーウォールの炎を刈り取った。ワームも例外ではなく、動けはするものの、身体から体液が漏れ出してグロさ当社比2倍である。
・・・この魔法強過ぎだろ
そんなことを考えていたら、ワームがこっちに口を向けて何かこそこそと行動していた。無傷で。
って、無傷ゥゥゥ!?こっちの生物はミドリムシといいワームといい何でこんなに生命力が有り余ってんだよ!1発で倒せってか?
いいぜ、やってやろうじゃないか。
と言っても魔法はあと2回が魔力の限界ってとこだな。
どうするか…と考えていると、こそこそしてたワームの口から変な液体が俺に向かって飛んできた。
テンプレだな。この手の攻撃は酸か毒で、触れるのはもちろん発生した気体を吸ってもアウトってパターンだろ?
「見え見えだぜ!」
と、軽く飛んできた液体を避ける。
・・・移動した先に地面から出したワームの尻尾があると気付かずに。
俺はヤツのめちゃくちゃ重い一撃を食らってしまった。チクショウ、こそこそしてたあの時か…
その後もヤツは俺で遊ぶかのように尻尾で俺を木に叩きつけたり、空中に放り投げて尻尾で叩き落としたりしていた。
「やっべ、身体が動かねぇ…」
恐らく最初の一撃からあばらが何本かいってしまったのだろう。内臓ももうボロボロだ。思えばこっちの世界に来て初めて怪我したな…
はぁ、もうすぐ俺は死ぬのか~。思ったよりあっけなかったな…
ミドリムシと戦ったこと、盗賊と戦ったこと、実はギルドでマッチョなお兄さんにからまれたこと…あれ?こっちの世界来てからろくなことなかったな。
いや、まだあと1つやり残したことがあった。
「俺にはな…まだ死ぬわけにはいかねぇ理由があんだよ!!」
恐らくこの言葉はワームに対してじゃなくて自分自身に言いたいことだろう。
俺が死んだら誰がセレンをワームから、いやこの世界から守るってんだよ。へばってんじゃねぇぞ、羽山 潤。ってな。
そう考え俺は自分の身体に鞭打って無理やり立ち上がる。
「デカブツ、今から俺の最大の一撃を叩き込んでやる。・・・かかってきな」
果たしてワームがその言葉を理解したのかは分からない。が、ワームは俺に向かって突進してきた。ヤツも決着を付ける気だろう。
俺は口の中に溜まっていた血を吐き出して、全身に魔力を巡らせ身体強化を図る。どうやら魔力ってのは身体強化も出来るらしい。
そして残った魔力を右手に集めて刀のような形状をとる。魔力って黒かったんだな。実際に目で見たこと無かったから知らなかった。
さぁ、決戦の時間だ。
ワームが俺の目の前にまで迫ってきて、俺の身体の呑み込まんとして、何重にも重なった歯を持つ口を大きく開く。
俺はワームの頭と思われる辺りまでジャンプした。身体強化した俺のジャンプはワームから見れば瞬間移動にも見えただろう。
ワームは俺を見失い、一瞬混乱したようだが、すぐに俺の場所に気付いた。しかし、俺にはその僅かな隙だけで充分だった。
「食らいやがれえぇぇぇッ!!!!」
グチャッという擬音語がぴったりだろう。そんな音を立てて俺の魔力でできた黒い刀はワームの脳天から突き刺さった。
もう動かないし、さすがに殺せただろう。
けど俺も限界だ…全身に力が入らねぇ。
・・・ダメだ。意識が、遠の、く。
ごめん、な、セレン。お前の、事、世界から、、守ってや、、、れそ、、、うに、、、、、な、、、、、、、、
次回予告
転生の女神「どうもどうも、久しぶりね~。最近出れてなかったけど主人公が生死不明って事で今日は私が次回予告をしま~す。ってかヤバかったね~。潤君大丈夫かなぁ?最終回にならなきゃいいけど…とりあえず次回は潤君が生きてた場合は潤君視点で何かするんじゃない?とにかく、次回を見てみないと分かんないわ~」