6
「ここテストに出るからなー」
言いながら先生が黒板をチョークでトントンと叩く。
その言葉で思い出したが、そういえば中間考査一週間前だった。
……まぁ、俺に怖いものはない。
何しろ隣の席は学年首位の才女。その思考を読ませてもらって怪しまれない程度に答えを真似すればお手軽にそこそこの点数は間違いないのだ。
勝ったなガハハ!
「(なんかバカなこと考えてるみたいだけど、あんたがそのつもりなら体調不良申告して別室で私は試験受けるから)」
勝ちを確信して思わず「計画通り」と悪い笑みを浮かべていると隣席からそんな思考がとんできた。
……なんでそんな酷いことするの?
「(みんな真面目にやってんのよ。あんただけそんなズルして良い訳ないでしょ)」
いや待て、その理屈はおかしい。
これは俺が生まれ持った能力なんだからその能力を使って点数を取るのはズルでも何でもない。
だからお願いします。カンニングさせてください。
「(カンニングって言ってるじゃない……。そんなにカンニングがしたいなら私以外からしなさいよ)」
それは困る!だってみんな天羽さんよりアホじゃん!
「(一番のバカはあんただけどね)」
心底呆れたような天羽さんの心の声。
それきり授業に彼女の意識は寄っていく。
マズい。これは非常にマズい。
なんとか起死回生を図ろうと机をコツコツと叩いて天羽さんの意識を引く。
「(……なに? バカな話だったら聞かないから)」
いや、違うんだって。
俺の学力が低いのは天羽さんのせいでもあるんだよ。
「(は? 言うに事欠いて人のせい?)」
いや、だって天羽さんが授業中に延々と愚痴聞かせてくるから全然授業に集中できないし。
「(……むっ。それは……)」
あーあ、それがなかったら俺もさすがに赤点の心配はしなくてもいいのになー。
「(…………分かったわよ)」
しばらくの無言のあと、諦めたような声色が届いた。
暴君にも案外泣き落としは通じるらしい。これからは何か言われる度にアホみたいに大泣きしよう。
何はともあれこれでそこそこの成績は保たれそうだ。
勝ったな、風呂入ってくる。
「(しょうがないから私が勉強教えてあげる。放課後、時間よこしなさい。言っとくけど逃げたら社会的に殺すから)」




