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天羽さんが結構あれな人だということは彼女の隣の席になってから五分もかからないうちに気付いた。
進級して早々知りたいようなことでは全くなかったし、出来ることなら一生知りたくもなかったが知ってしまったものは仕方ない。
「俺は人の心の声が聞こえる。だから、いま天羽さんがどうやって俺からの告白を断ろうか考えていることも新学期初日から告ってんじゃねーようぜぇなって思ってることも知ってる」
新学期初日、その放課後に俺は天羽さんを空き教室に呼び出してそう言った。
これが最善だと思った。
少なくとも、隣席であるがゆえに気を遣って彼女に話しかけられてその都度腹の中でぼろかすに言われるよりはよほどましだと思った。
お互いに関わらない、不干渉の関係を築くことが出来ると思った。
「(……へぇ。じゃあ、隠す必要もないってわけだ)」
「……え」
想定外だったのは、天羽天音という少女が俺の想像の何倍も優秀かつ強かで残忍で冷酷でそれから頭のネジが外れていたこと。
「(あんた相手なら、好きなだけストレスの捌け口にしたって証拠は残らないってことよね? ……もし逃げたらあることないこと言いふらすから)」
彼女の理屈では証拠さえ残らなければ人を暴言のサンドバッグにしてもいいらしい。
よくねーよ。倫理観どこいった。




