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隣の天使様が今日も心の中で信じられないくらい毒吐いてて怖い  作者: 日暮キルハ


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 腰まで伸びた艶やかな黒髪に陶器のように白い肌、ぱっちり開いた大きな瞳に薄ピンクの形の良い唇。

 隣の席の女子は人並外れて美人だ。

 そのうえ1年次のすべての試験で当たり前のように満点をとって学年首位を未だにキープし続ける頭脳とピンチヒッターとして呼ばれたすべての部活動の試合で大活躍して勝利に貢献する抜群の運動神経までをも持っている。


 今どきマンガの世界でも見ないほどの現実離れした天才という言葉の擬人化。

 それが天羽天音あもうあまねという少女だ。


 クラスメイトは、というか世間様は彼女を手放しで敬愛する。

 顔が良く、頭もよく、運動もできて、あげく落ち着いた鈴の音のような声で囁かれる優しく理知的な言葉はたしかな知性と大和撫子を思わせる。

 そんな姿と彼女の名前からいつの間にか彼女は「天使様」とまるでとても同じ人間とは思えないような崇められ方をしていた。


 実際は彼女はありえないくらいに美人だし、俺では逆立ちしたって勝てないくらいに頭も運動神経もいい。

 だがしかし、天使様というのはさすがに言いすぎだと思う。


「(あー、もう最悪。勝手にカラオケ行くことになったし。ほんとだるい)」


「……」


「(ほんっとにだるい。うざい。イライラする……っ)」


「……」


「(……おい、イライラするって言ってるんだけど? 無視すんな。学校生活がどうなってもいいの?)」


 少なくとも俺は淑やかに笑みを浮かべながらテレパシー越しに圧をかけてくる奴のことを天使とは認めない。

 悪魔とか悪党とか悪霊とかの方がよっぽどお似合いだろう。


「(……ふーん)」


 嘘です。天使です。やめてください。許してください。

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