17
かくして、天羽学習塾の夏期講習(お兄ちゃんもいるよ。解放して)が始まった。
なんかとりあえず今日、明日と泊まり込みで勉強を見てそこからは週に三、四日くらいの頻度で教えに来てくれるらしい。
さすがにそこまでのことをしてもらうのに無報酬なんて訳にはいかないのでお金を払うと言ったのだけどきっぱりと断られてしまった。
そんな天羽さんの姿に遥は申し訳なさ半分、尊敬半分といった様子だったがお兄ちゃん的には恐怖100%って感じだ。
だってあの人断りながら「お金はいらないの。お金は」とか腹のなかで言ってたんだぜ?なに要求するつもりだよ。こええよ。
ともあれ、始まってしまったものはしょうがない。
そもそも、妹の進路がかかっているのでこの話が進んだ時点で俺に止めることなどできるはずもない。
あとで何を要求されるか分からない恐怖にさえ目を瞑れば、学年首席の超分かりやすい受験対策講座を受けられるのだ。
背に腹は代えられない。
「お兄ちゃん、天音さんってほんとに凄いね!」
「あー、うん。まぁ、そうね……」
実際、今日の様子を見ていてもその選択に間違いないはなかったと確信を持てる。
ところで、なんか俺に教える時と遥に教える時で殺意に差がありませんかね?
そもそも勉強教えるのに殺意って必要ですかね?
ちょっと夏休みの課題を全部紐で縛って古紙回収に出そうとしただけじゃん。
別に心のなかで滅多刺しにするほどのことじゃないじゃん。




