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正直、寝るつもりだった。
ミュージカルとか興味ないし、薄暗くて寝るにはちょうど良さそうだと思っていた。
しかし、いざ舞台の幕があがると思いがけず引き込まれて結局最後までかぶりつきで見てしまった。
……超面白かった。
「面白かったね、天音」
「うん! 最高だった!」
「おー、なんかテンション高いね天音! めっちゃ楽しんでるじゃん!」
「たしかに。ちょっと珍しいかも」
「え、そ、そうかな……? なんか……恥ずかしい、かも……」
「え、なになに、照れてんの!? ちょっ、可愛すぎでしょ!? ずるっ!!」
「いや、別にずるくはないでしょ。……でも、たしかに他の奴に見せるのは惜しいかも」
「ちょっ、やめて、二人とも。……恥ずかしい」
幕がおり、長時間座っていたせいでふらつく足で外に出ると前方からそんな会話が聞こえた。
なにやら天羽さんが可愛いって話で盛り上がっているようだ。心はまあまあ醜いのにね。
まぁ、なんにせよ楽しめたのであればそれに越したことはない。
よかったよかった。
◇◆◇◆◇
……いや待てよくない。
これは非常によくない。
たしかに言っていた。
諸々の仕込みのせいで寝不足だとは言っていた。
「(……は? ……どういうつもりだ? 音無?)」
「(……ほーん、いい度胸じゃん。覚悟はできてんだろうなぁ音無ぃ)」
「(オデ、コロス、オトナシ)」
でも、だからといって俺の肩を枕にするのはさすがにまずい。
さっきまで楽しそうに話してたじゃん!
帰るまでが校外学習だとか言って延々とミュージカルの感想聞かせてきてたじゃん!
なんなら感想のカツアゲまでしてきてたじゃん!!
なんで急に寝るの??
というか人の肩を枕にするタイプじゃないでしょ???
俺のこと殺したいの???
「…………んふ(楽しかった……)」
よかったね!くそが!




