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戦闘開始











─────愛機と共に宇宙空間へと飛び出した俺は、慣性制御で弱められたGを感じながら機体をcruise形態に変形させ、先に出ていた部下達と合流を目指す。




そして部隊と合流すると真っ先にツルギ2から通信が入り、状況を伝えてきた。




『隊長、敵部隊は3隊に分裂し、内2隊は我々、もう1隊はハクバ隊に向かったようです』




「分かった。司令部、分裂した3部隊の編成を送ってくれ」




本格的な艦載戦闘部隊を擁するのは〈かこ〉のみなので、敵の大規模艦載部隊をツルギ隊とハクバ隊だけで抑えなければならない。そのためには、全機が効率的に敵と交戦する必要があることを認識しての通信だ。





『了解、お前達に向かっている2部隊はspitfireとswordfishで構成されている。ハクバ隊に向かったのはtempestだけだ。これがまずいことは、お前にも分かるな?』




「…あぁ」




ハクバ隊を構成する98式支援攻撃機タンチョウは、後方支援能力と隠密能力に秀でているが近距離戦闘になると脆弱で、本来は別の機体群(この場合は俺達)がカバーする必要がある。




今回は機数でこちらが圧倒的に不利なため、俺達が正面から敵を受け止めているところにその隠密能力を活かして回り込んだ後、側面から支援攻撃を行う予定だった。が、敵が従来の縦方向ではなく横方向に分裂した上、捕捉されてしまった。さらにハクバ隊に向かったのは機動力と近接戦闘能力に優れるHVF、tempestだ。




タンチョウの長距離砲撃で幾分か数は減らせるだろうが、奴らの攻撃可能範囲に入ったら最後。数機でも残せば24機しかいないハクバ隊は全滅するだろう。




かと言って、こちらがspitfireとswordfishを放置してハクバ隊に向えば今度は艦隊が危険に晒される。




ならどうするべきか




(現状こちらの戦力はヤブサメ改が26機、タンチョウが24機、艦隊はNelson級からの攻撃を受け続けていて長距離支援はほぼ不可能か。せめてハクバ隊の前衛を務められる部隊がいればtempestを抑えられるんだがこの数では…分断もやむを得ないか)




僅かな思考の後、俺は部下達に命令を出す。




「全員聞け、これからこの部隊を二つに分ける」




「ツルギ8までは俺に着いてきて、ハクバ隊の前衛を務めるぞ。ツルギ9以降は艦隊防空兵器の射程範囲に敵2部隊を誘い込みつつ迎え撃て。戦力差は圧倒的だが、絶望ばかりじゃやってけないからな、希望を言おう、この迎撃戦は味方の艦隊がたどり着くまで生き残れば俺達の勝ちだ。司令部!『味方救援艦隊到着まで、あと8分だ』…聞こえたな?あと8分生き残ればいいんだ。各員の奮闘を期待する」





『『『『了解』』』』





部下達の勇ましい返事を聞いた後、俺は司令部にも通信を入れる。すると、通信を担当する管制から珍しい言葉が飛び出した。





「司令部、ここに残してく奴らのお守りは任せた」




『了解した。…すまないな』




「?急にどうした。お前が謝るなんてらしくないぞ、〘ソウルキーパー〙」




『いや、アカデミーを卒業して1年も経っていないお前に任せる作戦じゃないと思ってな。俺達にもっと航空作戦のノウハウがあれば良かったんだが…』




「その事なら仕方ないさ。どこぞのエースに影響されて多少改善されつつあるとは言え、連邦軍は絶賛人手不足だ。それこそ10代の兵士が全体の3割近くを占めるほどにな。それを考えたら、ちゃんとアカデミーを修了した20の俺が部隊長を務めるのも、この作戦を立案し実行するのもそこまで不思議なことじゃない」




『そういうことではないんだが…まぁいい。今は敵を撃退するのが先だ。俺達もベストを尽くす。そちらは任せたぞ』




「あぁ、任された」





そう言って俺は通信を切った。




(まさか冷徹と名高いソウルキーパーがあんなことを言うなんてな…)




もちろん驚きはあるが、それよりもあそこまで言われてはと奮起する気持ちが湧き上がってくる。




そしてそれは部下達も同じのようだ。




『隊長。ツルギ2以下全機、戦闘準備完了です』




「分かった…では始めようか」





そう俺は告げると、スラスターの出力を一気に上げてハクバ隊の居る方向へ向かった。もちろん部下達も離れることなく俺に追従し、一切編隊を崩すことなく加速を続ける。




ハクバ隊は無線封鎖を行いつつ事前の配置に着こうとしているため、tempest部隊が自分達に近づいていることに気づいていない。さらに俺達が接敵するのとtempest部隊がハクバ隊に到達するのはほとんど同時刻になると予想されており、ハクバ隊と合流し情報を共有する暇は恐らく無いだろう。ならば一直線にtempest部隊に向かった方が多少はマシなはずだ。




そして速度が40km/sに達した頃、敵tempest隊をヤブサメ改のメイン射撃兵装である09式粒子砲の射程圏内に捕捉した。




(ハクバ隊までまだ距離がある。彼らから出来るだけから遠くで交戦するには、今撃つしか無い)




ここで撃つべき否か、俺は即座に判断を下し、トリガーに指を掛けて部下達へ命令する。




「目標を射程圏内に捕捉、ツルギ1より各機、射撃開始。ターゲットロック、撃て!」




次の瞬間、8つの砲口から光が迸り、tempest部隊に突き刺さった。




俺の放った粒子砲は、敵が密集していたこともあり3機を貫通して破壊、もう1機に着弾し中破相当の損傷を負わせ、部下達の放ったものも、各々が複数機を巻き込んで破壊する。




そしてそれらの破壊が行われる間に俺達は急速に距離を詰め、すでに目視距離まで接近していた。




「各機編隊を解除、自由戦闘開始!機数で不利なんだ、決して足を止めるな!」




『『『『了解!』』』』




俺の指示で編隊を解除した部下達は、突然の襲撃に混乱している敵部隊に突っ込み交戦を開始する。




もちろん俺も敵のど真ん中に突っ込み、せっかく得た運動エネルギーがもったいないとは思いつつ

cruise形態を解除、ビームソードを抜刀し機体に構えさせた。




「さて、俺も始めさせてもらうぞ!」




























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