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夢
あれからどれくらいの時間が過ぎたのか
私はあなたの屍にうずくまり
絶望と失意の中で
瞬きすることすら忘れ
ただただ
あなたの傷だらけで冷たくなった手を
握りしめていた
夢を見た
あなたと共に暮らす夢を
争いのない平和な世界で
2人で建てた家に住んでいる夢を
三角の青い屋根
小さな畑と作業小屋
少し離れたところには
川があって
あなたが魚を釣って帰ってくる
「君が作る飯は最高だな!」
あなたはいつもそう言って
私の頭をくしゃくしゃとなでる
とても幸せで
幸せで
夢なのか現実かもわからなくなって
景色が滲む
遠くから誰かの声が聞こえるような気がした
でももう何もわからない
自分が生きているのか
死んでいるのかさえ
わからない
増援部隊が到着したのは
あなたを失ってから3日後だった
衛生兵が微かに息のある私を見つけ
医療施設へ運ぼうとしたらしいが
私は屍にぴたりと寄り添い
離れようとしなかったらしい
私が目を覚ましたのは
それから2週間後だった