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風見鶏邸のハリー  作者: 日南田 ウヲ
デュラハンへの祷り
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その4

(4)



 ホテルのドアが開く音がして、ダンは顔を上げた。ドアの閉まる音がして数秒、視界にハリーの姿が見えた。その姿は戦闘の後の疲れだけでなく、何か酷く精神的に衰弱じみた感じがした。だから思わずダンは彼に向かって言った。

「…おい、ハリー…」

 ハリーはダンの言葉に眦を上げると直ぐに長ソファに身体を横たえた。

 実はハリーもまた自分の躰に起きた異変、それは非常な疲れを感じている。あの造魔との戦いの後、虚脱するような精神の疲れのようなものが身体の節々に段々と広がってきているのだ。それはまるで未知のウィルスに身体の中を蝕まれている、そんな強い脱力感だった。

 だからこそそれを感じている彼がダンに言ったのはその疲れから回復させるための方法、―-つまり

「…ダン、悪いがトラベラーズマントを貸してくれ」

 と言って精神刀剣を抱く様にして、ダンから放り投げられたマントに身を包むと長ソファに横になった。

 トラベラーズマントは荒野で狩人達が防寒用として纏うマントだが特殊繊維で織られていて、防寒だけでなく身体の疲労を取ってくれるマントだった。それを纏って寝れば、例え荒野で疲労に見舞われてもそれを身に纏い眠ることで、疲労を回復できる。 それをハリーはダンに要求して今眠りについた。だが眠りにつく前に一言、彼はダンに言った。

「もし目覚めれば、あの教授に聞きたいことがある…」

 そしてハリーは深い眠りについた。それは木々から垂れ下がるミノムシがやがて冬眠から目覚める時を待ち望む様に。



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