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鎮魂祭前日の交流(ディオン皇太子)

鎮魂祭の聖女様達が使う、細かな装飾を施した台もユリシーズ達大工によって完成した。

聖女様の紋章の花も、付近の木々に飾り付けが終わった。


後は明日、鎮魂祭を執り行う事になったのであるが…

王宮の広間で、


フローラはディオン皇太子に頼み込んで、


「私も明日、立ち会いますわ。」


フォルダン公爵もディオン皇太子に向かって。


「私も立ち会いますかな…」


ディオン皇太子は満足そうに頷いて。


「それなら、グリザスの方が危険が高い。そちらへ回って欲しい。」


「それならば、フローラはディオン皇太子殿下の元へ、私はグリザスの傍に守りでいよう。それでよろしいですかな?」


「ああ、それでよろしく頼む。」


フォルダン公爵は凄腕だと、クロード達から聞いている。非常に助かる…

しかし、鎮魂祭、無事に済むだろうか…ディオン皇太子は不安だった。


こちらは勇者が3人いる分、あちらは魔族を多く配置した。

自分の身は自分で守る。セシリアの身に何かないようにセシリアも自分が守るつもりでいるが…聖女リーゼティリアが自分やグリザス同様に危険なのだ。後、アマルゼの死霊たちが他の関係者にも何をしてくるか解らない。


客人、ニゲル帝国の暴虐の勇者ネリウスが近づいて来て、


「お前が暗い顔をしてどうする?ドンと構えて、ガンと引っ張って行け。破天荒の勇者だろうが。」


「暴虐の勇者に言われたくないが…。」


その時、ニゲル帝国のリーナ皇女が近づいて来て、


「ディオン様、我がニゲルの騎士団員二人が協力したいと、申し出てくれましたわ。

近衛騎士のロイエール・マルシャンと、ルーティス・オルフマルクです。」


ロイエールは金髪碧眼、ルーティスは黒髪の、銀色の鎧を着た若い騎士達だ。


ネリウスがおやっ?という顔をして。


「お前ら、来てくれたのか。」


ロイエールは手を胸の前に当て、頭を軽く下げて。


「その節はお世話になりました。ネリウス様とレオンハルト元騎士団長が黒竜魔王討伐に協力なさると聞いて、駆けつけてまいりました。その前に鎮魂祭があるとお聞きし、先にこちらに協力したいと…。」


ルーティスも頭を下げ。


「リーナ様もご協力なさるとか。是非とも我らも協力させて下さい。」


ディオン皇太子は喜んで。


「ニゲル帝国の近衛騎士達が協力してくれるとは、頼もしい限りだ。

そういえば、お前達、俺が外遊した時に手合わせしてくれたな…凄腕だった。期待しているぞ。」


二人は頭を下げ。


「ご期待に添うよう働きます。」


「頑張らせて頂きます。」


色々な国の人達から協力が得られて、非常に助かると思ったディオン皇太子である。


ふと、壁に寄りかかってファルナードと共にいるミリオンに目が行った。

声をかけてみる。


「グリザスやクロードに会わなくていいのか?」


ミリオンはニンマリ笑って。


「二人で愛を確かめ合いたいだろうよ。明日は決戦だからな。あの二人は大事な友人だ。

必ず守って見せるから、ディオン。お前達も頑張ってくれ。」


「ああ、害をなす輩が現れたら、聖剣にかけて追い払ってみせよう。」


ミリオンとがっちり握手するディオン。


ミリオンはディオン皇太子に取って、最も親愛なる友人だ。

ミリオンに取って、どうか解らないが…


ディオン皇太子はミリオンの顔を見ながら。


「俺はお前を友人だと思っている。いや親友以上だ。お前はどうなんだ?」


「へ?お前の相棒は俺しかいないだろう?勿論。剣の相棒だ。そして、俺もお前を親友だと思っていたが…。」


「その割には冷たいじゃないか。もっと会いに来いよ。」


ミリオンはファルナードを抱き寄せて。


「せっかく恋人が出来たっていうのに…俺はイチャイチャで忙しいんだ。」


ファルナードは赤くなりながら。


「すまないな。ディオン。」


「いや…恋人には負けるからな…」


ミリオンはディオン皇太子の肩をポンと叩いて。


「ま…ファルナードと二人、伺わせて貰うぜ。あああっーーー。スーティリアに何で声をかけねぇんだよ。」


すると魔法陣が展開して、スーティリアが現れた。


「はぁい。呼んだ?今回は戦いがメインなのでー。転移魔法も他の魔族達で手が足りているし…私はお休みーーなんですーー。」


ディオン皇太子はスーティリアに。


「お前だって今まで、色々関わってきただろう?アマルゼ王国交渉だって共に行ったではないか?しっかりと見届けろ。」


「はーい。解りましたーー。鎮魂祭、私も出席しまーす。」


「よろしく頼むぞ。」



ふと目を向けて見れば、セシリア皇太子妃とルディーンが話をしていた。

そっと二人の背後から近づいて柱の陰から耳を傾けてみる。


ルディーンが頷いて。


「おっしゃりたい事は解りました。俺は別にディオン皇太子殿下と共に歩みたいだなんて思ってもいませんし、あの人の世を見たいと思っている一人なんで…ご心配なく。連れて逃げたりしませんよ。」


「それならばいいのですけれど。」


セシリアは不安そうだ。


ルディーンはセシリアに向かって。


「明日の事を成功させるように、気を配られた方が…俺も冠の再調整に入りたいんで、失礼。」


セシリアは不安そうな面持ちで奥殿の方へ歩いて行ってしまった。


その場を去ろうとしたルディーンをとっ捕まえる。


「セシリアがすまんな。」


「いえ…気にしていませんから…。」


そして、耳元で囁かれた。


「魔族って魂に触る事が出来るんですよ。今の貴方はペンダントをしているんで、無理ですがね…。貴方が亡くなったら身体はあの人に差し上げましょう。

でも、魂は俺に下さいよ。ね?皇太子殿下…。約束ですよ…。」


耳をペロリと舐められて、ゾクリとするディオン皇太子…。


ルディーンはそのままリーゼティリアを探しに、姿を消してしまった。


ああ…俺はどちらも苦しめている…。胸が苦しかった。


窓に近づき、空を見上げる。

明日は鎮魂祭…春の風を何とも言えぬ気持ちで感じるディオン皇太子殿下であった。


ニゲル帝国の近衛騎士ロイエールは、○○歳以上のネリウスのお話で、立ち直った騎士です。その後をちょっと触れたかったので。

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