表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/56

魔国の魔王達に会いに行きましたわ。クロードを巻き込んで。

フローラは強い決意をした。

今一バラバラな魔王達へ本心を聞きに行こうと。

勿論、仲のいいクロードを巻き込むことにした。


サルダーニャは気心が知れているわ。シルバはこの間、色々とお話をした。

でも、第二魔国の元宰相で現在魔王のレスティアス。彼の事は知らない訳じゃないけれど、ディオン皇太子殿下やお父様に反感を持っているようだった。

本心を確かめたい。


それから第四魔国魔王、ティムゼールアウグストスは10歳くらいの子供なんだけど、いくら魔王の魔族同士は顔見知りとはいえ、第四魔国はあまり付き合いがなく、幼くて知らなかったわ。彼とも話がしてみたい。


第五魔国魔王ロッド。

ロッドの結婚式にはお姉様とクロードは行ったけれど、私はお祝いだけ送って行けなかったわ。確か、騎士団のゴイル副団長の妹のナターシャと婚姻したのよね。

会ってお話してみたいわ。


クロードが困ったように。


「いいの?俺と行動して…。俺、グリザスさんが心配なんだよね。この間、ちょっと事件があったから。」


フローラがクロードに手を合わせて。


「お願いクロード。貴方優しいわよね。グリザス様の事は貴方が留守の間は完璧な警護をつけるから心配しないで。」


「完璧な警護って…??」


「今日一日、ローゼン様のお屋敷で過ごすように、手配したから。」


「ええええ?なんの罰ゲーム??グリザスさんが気の毒だよ。絶対に会話はないだろうし、

居心地悪いと思うよ。」


と言ったものの、クロードは仕方無いという風に。


「解ったよ。必要な事だし…」


「有難う。クロード。」





二人はまず転移鏡で第二魔国魔王城の前へ移動した。


魔王レスティアスに面会を求める。


広間に通されれば、レスティアスが二人をチラリと見やり。


「何用で来た?」


フローラがレスティアスに。


「貴方、どうしてディオン皇太子とお父様を敵対しているの?」


「私は魔王になった。何者にも指図されたくはない。それだけだ。」


「恨んでいるのね。お姉様がお父様の力で魔王になっていたから。本来なら貴方が魔王になるはずだったから。」


クロードもレスティアスに。


「恨む気持ちは解るけど、そこは大人になろうよ。魔王討伐に気持ちよく協力してあげようよ。」


レスティアスはクロードを睨みつけ。


「私がどれだけ宰相として苦労してきたか解っているのか?妻子を養わなければならぬ。

アイリーン様の下は胃の痛くなるような労働環境だったのだ。一つの失敗も許されぬ。

やっと私が魔王になれた。もう、フォルダン公爵のいう事など聞きたくはない。フォルダン家の者にも関わりたくない。フローラ、お前の顔等二度と見たくない。」


フローラは頭を下げて。


「ごめんなさい。貴方がそんなに苦労をしていたなんて知らなかったの。でも、お願い。

魔王討伐だけは気持ちよく参加してほしいの。ディオン皇太子殿下は立派な方よ。それに魔王が復活すればこの第二魔国も困る事になるわ。どうかお願いよ。」


レスティアスは頷いて。


「勿論、協力はしよう。だが、第二魔国を二度とフォルダン公爵家の好きにさせない。」


クロードがレスティアスに。


「そんな事言っていいのかな。フォルダン公爵の恐ろしさは解っているよねー。君があまり反抗的な態度を取ると、この城をたたき出されちゃうんじゃないかな。」


レスティアスは言葉に詰まる。


クロードがレスティアスに顔を近づけて。


「どこまで、この城にフォルダン公爵家の手の者がいるのか…。君の代わりは公爵の事だから、用意していると思うよ。今のうちに謝った方がいいんじゃない?」


フローラもにっこり笑って。


「貴方の態度次第って事ですわね。」


レスティアスは真っ青になり、


「フォルダン公爵に会ってくる。お前達の用件は解った。魔王討伐は気持ちよく協力をしよう。」


そういうと魔法陣を展開し、姿を消した。


フローラとクロードはハイタッチをする。


フローラは拳を握り締め。


「次は第四魔国へ行くわよ。」


クロードも頷いて。


「早く済ませて帰らないとね。グリザスさんを迎えに行かないと。」



第四魔国は小さな魔国だ。


畑が多く、天井の地上側に出来た岩の隙間から光が差し込んで、とても綺麗である。


魔王城も城というより、小さな屋敷で。


そこの家の前に転移すれば、あたりは田園風景が広がっていた。


フローラが目をキラキラさせて。


「初めてきたけど、綺麗ね。」


「各、魔王城の前に行ける特別な転移鏡は便利だよ。さてと会いに行こうか。」


第四魔国魔王ティムは、ご飯中だった。


モグモグと焼き立てのパンやジャガイモを食べ、スープを飲みながら、


二人が来たというと慌てて、立ち上がって傍に駆け寄り。


「二人がお客さんなんて珍しい。客間で応対するからちょっと待ってて。」


客間に通されれば、焼き立てのマフィンと紅茶が出される。


マフィンはとても美味しく紅茶も香り高い。


フローラが家の中を見渡して。


「お城じゃないわ。家ね…」


クロードも紅茶を飲みながら。


「そうだね…貴族の家って感じだ。」


ティムが駆け寄って、二人の前のソファに座る。


「いらっしゃーい。遊びに来たの?」


フローラがティムに向かって。


「この間はディオン皇太子の肩を持ってくれて有難う。魔王討伐、協力よろしくお願いしますわ。」


ティムはニコニコして。


「まかしておいてよ。ルディーンがね。声をかけてくれたんだ。他の魔王達は俺の事を馬鹿にして無視するから。」


クロードが首を傾げて。


「最初の段階では第四魔国は入っていなかったよね。ルディーンに力を見せた?」


「うん。ルディーンが遊びに来たから、力を見せたんだ。」


「それなら安心かな。」


「訓練の時に俺の力を見せるから、楽しみにしててーー。」


フローラが優しく微笑んで。


「楽しみにしていますわ。」


第四魔国魔王は信頼できそうだ。




そして今度は第五魔国魔王ロッドを訪ねる事にした。


魔王城の前へ転移する。


用件を伝えれば、広間に通されて、第五魔王ロッドが現れた。


黒髪長髪の美男である。


「何用で来たのだ?」


フローラが頭を下げて。


「この間は、ディオン皇太子殿下の肩を持って下さり有難うございます。どうか魔王討伐の協力も気持ちよく、よろしくお願いしますわ。」


ロッドは目を細めて。


「何を今更。お前に言われなくても、ディオン皇太子に言われて了解している。心配せぬともよい。」


クロードがロッドに。


「そういえば、お嫁さんと上手くいっているの?ナターシャだったよね。」



すると薄茶色の背の低い女性が、黒のドレス姿でこちらにやってきた。


「いらっしゃい。まぁクロード様、お久しぶりですわ。婚姻式の時は有難うございます。

兄を連れてきて頂いて、本当に幸せでしたわ。それからそちらはフローラ様。お祝いの品有難うございます。」


ナターシャはゴイル副団長の妹である。ロッドと駆け落ちをしたのだが、婚姻式でゴイル副団長と再会したのだ。


ロッドはナターシャの手を取り。


「君は大事な身体なのだから、無理をしてはいけない。」


「有難うございます。ロッド様。」


よく見ればお腹の辺りがちょっとふっくらとしているようだ。


フローラが目をキラキラさせて。


「おめでとうございます。赤ちゃんですね?」


クロードも嬉しそうに。


「良かった。おめでとう。新しい命の誕生だ。」


ナターシャは頬を染めて。


「春には産まれますわ。兄に手紙で知らせたら喜んでくれて。」


ロッドは愛し気にナターシャの肩を抱いて。


「男、女どちらでもよい。無事で産まれてくれれば。」


フローラはナターシャの手を両手で握り締めて。


「どうか、可愛い赤ちゃんを無事に産んで下さいね。応援していますわ。」


クロードもロッドに。


「お前もお父さんになるのか…。凄いな…」


ロッドはクロードに向かって。


「そういえば、シルバから聞いた。死霊の黒騎士と幸せにしているそうだな。」


「そうだよ。グリザスさんとても可愛いんだ。俺の将来のお嫁さんだよ。」


ロッドはクロードの幸せそうな様子に。


「俺はお前が幸せなら何も言わないが…。赤ん坊が産まれたら見に来てくれ。」


「勿論。見に行くよ。」




フローラとクロードは3人の魔王に会って、目的を終えてマディニアの王宮に帰ってきた。


フローラはクロードに向かって。


「今日は有難う。さすがクロード。頼りになるわ。」


クロードは首を振って。


「君の方が凄いよ。そうだ。一緒にローゼン騎士団長の屋敷に行こうよ。グリザスさんを迎えに行かないと。」


「そうね。行きましょう。」



とりあえず、無事終わり安心したフローラ。


冬の日差しが二人を明るく照らしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ