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波乱は収まらない…(ディオン皇太子)

ディオン皇太子殿下は、10日間の謹慎生活に入った。

ただし、来週の魔王討伐の訓練のみ、参加することがマディニア国王によって許された。


その間、公務は休んで部屋に籠る事になっているのだが、何故か母である王妃に広間に呼び出された。


マディニア王妃はディオン皇太子に向かって、連れている二人の女性を紹介する。


「レティ・クリアミン伯爵令嬢と、ミリー・アルバイン伯爵令嬢です。この度、貴方の側室に私が決定しました。」


レティ・クリアミン伯爵令嬢は黒髪が豊かな、肉感的な美人である。派手な赤のドレスを着て、色白でキツイ顔をしていた。

もう一人のミリー・アルバイン伯爵令嬢は金髪で、楚々とした美人で、薄緑色のドレスを着ている。おとなしそうな女性だ。


ディオン皇太子は、王妃を睨みつけながら。


「お断りしたはずです。母上。」


「丁度、貴方は謹慎しているのです。二人の側室と仲を深めたらどうです?」


「だから。お断りしたはずです。俺はセシリアと部屋で籠ります。」


ディオン皇太子は王妃と二人の女性達を置いて、部屋に戻って行った。


部屋に戻ると、セシリア皇太子妃が心配そうに。


「どういたしました?ディオン様。」


「どうもこうもない。母上が側室を…二人も用意してきた。お前も母上のいう事など聞くな。いいな。」


その時、魔法陣が展開して、ミリオンとスーティリアが現れた。


ミリオンが声をかける。


「どうした?不機嫌そうだな。」


スーティリアもにこにこして。


「遊びに来たよーーー。ディオン皇太子殿下。セシリア様。」


ディオン皇太子は二人を見て、嬉しそうに。


「よく来たな。ゆっくりできるんだろうな。ミリオン。スーティリア。」


ミリオンがディオン皇太子の顔を覗き込んで。


「何だ。お前…大丈夫か?ストレス溜めまくっている顔しているな。」


ディオン皇太子は、ハハハと笑って。


「解るか。母上が側室を連れて来た。俺にはセシリアしか必要ない。それに…最近の出来事の心労で、髪が…ほら、見て見ろ。」


ディオン皇太子は豊かな黒髪を後ろに流したような髪型をしているが、髪を掻き分ければ、

ちょっと10円玉位の禿げが出来ていた。


ミリオンがガシっとディオン皇太子の肩に手を置いて。


「苦労してるな…お前。」


セシリアが、心配そうに近づいて。


「宮廷のお医者様に見て貰うように言ったのですが、ディオン様が嫌がって。」


ディオン皇太子はソファに座ると。


「なぁに。心労的な物だ。色々忙しかったからな。」


ミリオンもソファに腰かけ。

「確かに。そういえば、ユリシーズはどうした?」


「王宮で静養している。魂を無理やり弄られたせいで、ダメージが酷いと、フォルダン公爵が言っていた。」


スーティリアもソファに腰かけて。


「魂の世界は奥が深いからねーーー。ユリシーズ。大丈夫かな?フォルダン公爵に見落としがないといいんだけどーー。」


セシリアが侍女に紅茶と焼き菓子を持ってくるように頼んでから、ソファに腰かける。


ディオン皇太子はスーティリアの言葉に眉を潜めて。


「見落とし?まさか…。おいっ。誰か。」


部屋の隅で控えている使用人に声をかける。


「ユリシーズを連れて来てくれ。急いでだ。」


「かしこまりました。」


戻って来た使用人は。


「ユリシーズ様はいません。」


「何だって??」


ミリオンがスーティリアと共に。


「第二魔国の魔王城に行く。アイリーンがまだ操っているのかもしれない。」


アイリーンはフォルダン公爵によって、第二魔国、魔王城の牢に入っているはずだ。


ディオン皇太子は聖剣を持ち、展開された魔法陣の中に入り。


「俺も行こう。」


「ええええええっーーーーー?」


ミリオンとスーティリアは驚く。そりゃそうだ。ディオン皇太子が、人間の王族が魔国に来るなんて前代未聞。いままで無かったことである。マリアンヌ嬢は、第三魔国で花嫁修業の為に通っているらしいが。それすら、珍しい事だった。


魔法陣が発動して、三人は第二魔国の魔王城に飛んだ。


広間に現れれば、第二魔国の城の兵たちが一斉に集まってくる。


侵入者が城に現れたのだ。当然だろう。


ディオン皇太子が叫ぶ。


「俺はマディニア王国、皇太子ディオンだ。この城の責任者を出して貰いたい。」


皆、口々に。


「おおおおっ。あの破天荒の勇者っ。」

「手に聖剣を持っているぞ。」

「破天荒の勇者なら、有名な痣があるだろう??」

「見たいっ。あの有名な痣、見せないと本物と認めませんぞ。」


胸と背中に大きな黒百合の痣があるのは、魔界でも知られているらしい。しかし…


脱げというのかっ。


ディオン皇太子が服を脱ごうとした時、ミリオンが。


「宰相のレスティアス様にお目通りを頼む。」


ミリオンと顔見知りらしく、兵達は。


「ミリオン様、了解しました。取り次ぎます。」

「残念だ。見たかった。」

「ほんに、俺も見たかった。」


だの、聞こえるのは、気のせいではないようだ。


レスティアス、アイリーンの従兄で、宰相をしていた男だ。

本来なら彼が第二魔国魔王になるはずだったのだが、彼の父親が早死にし、実権をフォルダン公爵に握られた為に、アイリーンの元、第二魔国の宰相を務めていた男である。

黒髪長髪の切れ者の美男という印象だが、25歳と若い。ちなみに妻子のいる既婚者だ。


レスティアスは、ディオン皇太子を一瞥して。


「わざわざ破天荒の勇者が、我が魔国へどういう用件で来た?新しく私が魔王になった祝いでも言いに来たのか?」


鋭い目で睨みつけられる。


ディオン皇太子は、相手に近づいて。


「この度は、新しき魔王就任、おめでとう。アイリーンが王位を追われたのが昨日なのでな…。もう第二魔国、魔王が就任されているとは思わなかった。まだ、祝いの品を用意してはおらん。近々、正式に用意して祝いの品をお持ちしよう。」


ディオン皇太子はそう言うと、相手に右手を差し出す。


レスティアスはそれを無視して。


「で、何の用だ。早く用件を言え。」


ディオン皇太子は自らの髪をかき上げながら。


「アイリーンは牢から逃げていないか?ユリシーズが、姿を消した。」


「何だと?すぐに確認を。」


兵に命じて、アイリーンが牢にいるか確認してきてもらう。

兵が戻ってきて叫んだ。


「た、大変です。もぬけの殻です。いません。」


「何だって?」


全員、驚く。


レスティアスは皆に向かって。


「牢は逃げられないように、魔法で封じてあったはずだ。」


スーティリアが叫ぶ。


「聖剣を使ってなら、牢の鉄格子を斬れるわ。」


全員思った。最悪な事態だ。


アイリーンは凄い恨みを持っている。クロードに、フローラに。そしてディオン皇太子に。


ディオン皇太子は、ミリオンとスーティリアに。


「戻るぞ。フローラとクロードが危ない。」


そして、レスティアスに。


「改めて挨拶に来る。失礼する。」


転移魔法で王宮に3人は戻ってくる。


戻ってきたら、フローラが青い顔で、王宮の部屋で待っていた。


「大変ですわ。皇太子殿下。クロードとグリザス様が、大けがを負いました。」


ローゼン騎士団長も来ていたようで。


「アイリーンとユリシーズを取り逃がした模様です。フォルダン公爵が、二人を王立病院へ転送しました。命には別条ないとの事。」


ディオン皇太子はミリオンに向かって。


「お前はクロード達を守れ。俺は…これから来るであろうアイリーンとユリシーズを退治する。フローラ、ローゼン。お前達は俺の傍にいろ。スーティリア。セシリアを連れて、隣室へ。」


ミリオンが了解と頷いて、急いで、王立病院へ転移した。行った事があるのだろう。


セシリアが青い顔をして。


「ディオン様。」


「お前には危害は加えないと思うが、スーティリア、頼んだぞ。」


「はーい。隣の部屋に逃げてまーす。」


ディオン皇太子はフローラに向かって。


「とんでもない事になったな。アイリーンとユリシーズは必ず、俺とフローラを狙ってくる。

俺とローゼンが必ず守る。安心してくれ。」


フローラは両手を組んでディオン皇太子に懇願した。


「あああ…なんで。なんでこうなったのかしら。お願いです。ディオン様。どうか、お姉様とユリシーズを殺さないで。殺さないで捕まえる方法を。」


ピコンと頭に電球が灯ったような、


ディオン皇太子はローゼンと顔を見合わせた。


そう、自分たちの聖剣は、捕獲に適している。


何とか捕まえる事は出来ないものか。


その時、魔法陣が展開して、アイリーンとユリシーズが現れた。


どうなるのであろうか?



破天荒の勇者は、心労だらけで苦労しております(汗)お疲れ様です。


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