表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/56

助けて…もう、逃げられない。(ユリシーズ)

ちょっと病んでいるような展開です。注意。

痛いっ…


痛いよ…


もう、許して… 


頼むから助けて…




ディオン皇太子がセシリアと共に、眠りについた雪の夜。

ユリシーズは、フォルダン公爵に招待を受けて、アイリーン、フローラ、ローゼン、クロード、グリザスと共に食事をした。

食事をした時に、フォルダン公爵に、


「ユリシーズ、私はリリアの為にも、君をしっかりと面倒みるつもりだ。縁あって私の息子にもなってくれるのだからね。クロードと違い、君は真っ白で、黒い所がない。だから、貴族社会や、魔界の魔族界でも、苦労をするだろう。

私や、フォバッツア公爵、アイリーンが出来るだけフォローするが、覚悟をしておいてもらいたい。」


と言われた。


共にした食事の本格的な料理に、マナーが解らなくて苦労した。

何だか、一気に自信がなくなってしまった。


自分は平民育ちだ。貴族社会や魔族界で、やっていけるんだろうか?


その後、居間でお茶をしていた時に泣いてしまった。


共に居た人達は気遣ってくれたけど…


アイリーンも、無理は押し付けないって言ってくれたけど。


雪がやまない夜。



その日はフォルダン公爵家で泊めて貰う事になり、アイリーンと添い寝をする事になったのだが。


客間でユリシーズが寝る支度をしていたら、アイリーンが夜着で部屋に入ってきた。


ユリシーズの目の前に立つと、はらりと夜着をアイリーンは脱いで、全裸になる。


癖のある長い黒髪に、白い肌。


ユリシーズは恥ずかしくなって、目を覆ってしまった。


まともに見れない。


アイリーンはユリシーズに向かって。


「今夜、貴方の物になりたいの…。お願い。ユリシーズ。私を抱いて。」


アイリーンが近づいて来る気配がする。


だけど…俺は…そこまでまだ覚悟がないんだ。


怖くなった。怖くて怖くて。


「ごめん。アイリーン。」


その部屋からユリシーズは飛び出した。


外は大雪だ。


かまわない。


バンと扉を開けて、玄関の外へ出る。


寒い…、でも逃げないと。たまらない恐怖が襲ってくる。


雪に足を取られてユリシーズは転んだ。


寝間着が雪だらけになる。


背後から声がした。


「あら…。こんな雪にまみれて、可愛そうに…どこへ行くの?ユリシーズ。」


後ろから首筋を撫でられる。


もう、逃げられない…。


ユリシーズは覚悟した。





その夜…ユリシーズは泣きながら許しを請うた。


ベットの上で男として言えないような責め苦を受けた。


痛み…そして、尽きる事の無い快楽。


アイリーンは、満足げに赤い唇を舐めながら。


「貴方の魂ってとても綺麗。クロードとまた、違った美しさがあるわ。

隷属…魅了なんてつまらない。私に逆らえないように、隷属を使ってあげようかしら。

苦しみながら、私の為に王配になるの。楽しいと思わない。」


アイリーンが再び、のしかかってくる。


激しさの増す痛みと、快楽の中、ユリシーズの意識は飛んだ。



翌日の朝、アイリーンがにこやかに。


「おはよう。ユリシーズ。昨夜は素敵だったわ。」


逃げたい…。でも…身体が動かない。


そして、耳元で囁いた。


「望むなら、もっとお仕置きしてあげてもいいのよ。」


ユリシーズは泣きたかった。


「俺…俺…。嫌だ。こんなの…嫌だ。」


「お仕置きが足りないようね。貴方の魂をぐちゃぐちゃにして、そして、綺麗な青に戻すの…。美しい青に…。痛いわよ…もの凄く。」


「怖い…許して…。ひいっ…」


身体の奥底を黒い爪でかき混ぜられる、そんな痛み…。


痛いよ…痛い…。助けて…。


「ほら…もう少しで。綺麗な青になるわ。素敵な私のユリシーズ…」


「ハァ…ハァ。酷いよ。だけど…何だか気分が良くなってきた。」


「うふふ。そうでしょ…。貴方が壊れるたびに掻き混ぜて、綺麗な青に戻してあげるわ。

何度でも。貴方の精神が持つ限り。これが隷属の恐ろしくて楽しい所よ。」


心も身体も痛くて痛くて。でも…俺は勇者だから。アイリーンの為にも、頑張らなければいけないんだ。


「ごはん食べたくなってきたな。一緒に朝食にしようよ。アイリーン。」


アイリーンに抱き着く。


アイリーンは優しくユリシーズの髪を撫でて。


「ええ。朝食にしましょう。好きよ。ユリシーズ。」


もう、自分に自由はないのだろう。


だけど、働かなくては…。王配として、勇者として、アイリーンの婚約者として、素晴らしい人間になるために。


ベットからフラフラ立ち上がる。


助けてと泣く…心の奥底の自分をユリシーズは封じ込めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ