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ディオン皇太子殿下の想いは。。。(ディオン皇太子)

酷い恰好で転移してくるミリオン達を書きたかったのと、風呂に入るディオン皇太子をのぞき見したかった下心があって書きました。ディオン皇太子とセシリア皇太子妃のカップル、大好きです。もっと書きたいな。

ディオン皇太子は部屋に戻ると、ソファに疲れたように座った。


転生者惨殺事件のあった夜の事である。


事件があったが、元々企画されていた王宮のパーティは中止する事もなく執り行われた。


ディオン皇太子は意に添わぬ王妃主催のパーティで、さんざん、側室候補の令嬢達とダンスを踊る羽目になったのだ。


何も恐れない破天荒の勇者の弱点、それは自分の母親だった。


最初の一曲は皇太子妃、セシリアと踊り、その後は次から次へと貴族の娘、伯爵令嬢や、子爵令嬢等とダンスを踊る。


このディオン皇太子。ガサツに見えて、生まれながらの王族である。

ダンスは誰から見ても素晴らしい腕前であった。


白に金をあしらった煌びやかな衣装をまとい、力強いリードで、相手の令嬢とダンスを踊る。

その力強さの中にも、繊細な気遣いがあり、踊った令嬢達は男らしいディオン皇太子を見上げてうっとりとするのであった。


マディニア王妃は、ディオン皇太子に向かって。


「今日、踊った令嬢の中から選びなさい。ディオン。側室を2人。いえ、3人でもよい。これは王妃命令よ。」


ディオン皇太子は母であるマディニア王妃に向かって。


「俺は側室なんていりません。パーティには出てお相手はしました。母上の顔を潰さぬように。これ以上、煩わしい事を増やさないでもらいたい。俺は、魔王復活やアマルゼの呪いの対処で忙しいので。失礼。」


パーティ会場から部屋に戻り、ソファでくつろいでいれば、セシリアが美しい淡い桃色のドレス姿で、部屋に入ってきて、ディオン皇太子を気遣うように。


「お疲れ様ですわ。ディオン様。すぐお茶を持つよう申し付けますので。」


「有難う。セシリア。茶は後だ。風呂に入ってくる。君も着替えてゆっくりしてくれ。」


ディオン皇太子は立ち上がると、風呂に向かう。

風呂は広めに作ってあり、大理石でゆったりと湯につかれる作りになっていた。


服を脱ぐと、鍛え抜かれた見事な身体がさらけ出される。


胸と背に黒百合の痣がデカデカとあるのは、神、イルグの仕業だ。


イルグに消して欲しいと頼もうかと思ったが、頼む前に「無理」の一言で返された。


勇者の印らしいが、それが黒百合かよって思えるディオン皇太子である。


ちなみに、ユリシーズは痣の一つもない。どういう事だ??


湯が沸かしてあり、身体をかけ湯で清めてから、湯に入る。


セシリアに一緒に入らないか?と一度誘った事があったが。


「いやですわーー。ディオン様ったら。すべて知らない方が、よい事もありますわよ。」


と、あっさりと拒否された。


セシリアなら、全てを知りたいし、俺もさらけ出したいんだがな…


湯に入りながら、淫らな妄想をしているディオン皇太子であったが、ふと、窓の外に目をやれば、また、雪が降ってきたようで。


明後日は隣国、アマルゼ王国に行き、アマルゼの呪いをおさめる鎮魂祭を共に主催する約束を取り付けねばならぬ。


春先には鎮魂祭をやり、その後に魔王討伐の流れになるだろう。


鎮魂祭は冬の間に、準備する事もある。

魔王討伐にしたって、ぶっつけ本番とはいかないだろう。聖剣を持つ7人で、どう戦うか、週に1度、訓練をした方がよいか…


だなんて思っていたが、ふと、肝心な事を忘れていたと、湯船から上がり、濡れた身体のまま、ガウンを羽織ると、部屋に戻る。


セシリアは着替えの為なのか、部屋に姿が見えない。


部屋にいた侍女が慌てたように。


「どうなさいました?皇太子殿下。」


ディオン皇太子は、引き出しから丸い宝石の通信機器を取り出して、


「ミリオン、すぐ来てくれ。格好なんてどうでもいいから。出来ればスーティリアも連れて来い。」


返事はなかったが、この言葉は伝言として残るはずだ。


割とすぐにミリオンがスーティリアと共に魔法陣を展開して現れた。


「何だよ。風呂入っていたんだが…。いきなり呼び出すなよ。」


長い赤毛をバスタオルで巻いて、ガウンを着て、不機嫌なミリオン。


その隣には金髪がふわふわな、スーティリアが、ピンクのパジャマを着て、顔を真っ白にぬったくり、ほっぺにレモンを張り付けて現れた。髪が金髪になったのは、マディニア王国ではピンクは転生者の髪色だというので、間違われると怖いといって変えたらしい。


「何よーーー。もう…寝る所だったんだから。乙女の肌に寝不足は天敵よ。」


そして、お互いの姿を見て、皆で笑った。


ディオン皇太子が笑いながら。


「何だ。お前ら。酷いな。」


ミリオンもディオン皇太子に向かって。


「人の事いえるか。お前も風呂だったのか。ディオン。」


「まぁな…。スーティリアもすまん。」


スーティリアは膨れて。


「皇太子殿下の頼みですから。ちょっとパック外しますね。顔洗ってこないと。」


3人でソファに座り、ディオンは侍女に紅茶を持ってくるよう命じる。


ディオン皇太子は二人に向かって。


「明日、そして明後日、アマルゼ王国の王宮の入り口に行って欲しい。そうだな。お前達二人だけでは門前払いだ。ローゼンか、聖女リーゼティリアあたりを行かせよう。明日は一人、明後日は大人数になる。転移してほしい。」


ミリオンが頷いて。


「雪だな…。この大雪だ。山越えは出来ないからな…。俺は護衛か…ついて行ってやるよ。」


スーティリアも。


「このスーティリアにお任せよ。私なら、行ったことのない場所でも転移出来るからー。大人数でもOKよ。」


ディオン皇太子は二人に向かって。


「助かる。勿論。報酬は払う。ただ働きさせるわけにはいかないからな。」


ミリオンもスーティリアも喜んで。


「まぁ報酬で食っているからな。」


「私もおこずかいもらえるの嬉しいですー。」


金額の交渉をしてから、ディオン皇太子は。


「この雪じゃ、春までアマルゼ王国側は、こちらの訪問がないと思われるだろう。

明日行かせる使いには、明後日は必ずアマルゼ王国に俺が行くことを伝えてもらうつもりだ。明後日は俺と、セシリア、ユリシーズ、リーゼティリア、クロード、グリザス、フィーネも同行する。リーゼティリアとグリザスはアマルゼの呪いに関係ある。ユリシーズは今のアマルゼ王国を見たいとの事だ。」


セシリアが夜着にガウンを羽織った姿で、焼き菓子を盆に乗せて、持ってきた。


「いらっしゃい。明日の使いは私が行きますわ。お兄様がまさか、妹の顔を見間違える事はありませんでしょう。」


ディオン皇太子は慌てて。


「皇太子妃が使いをか??」


「ええ。私もこの国の為にお役に立ちたいと思います。明日はミリオン様、スーティリア様、よろしくお願いしますね。」


ミリオンは自分の胸を軽く叩き。


「まかしてくれ。もし、俺だけで守りが不安ならもっと増やせばいい。」


スーティリアも。


「そうですねーー。じゃ、もう一人。誰かついて行って貰いましょうかー。」


結局、ローゼン騎士団長についてもらう事にした。朝一で本人が騎士団事務所に来た所を捕まえる事にする。


彼は多忙だが仕方がない。その代わり、明後日の本交渉の時は連れていかない事にする。

アマルゼの皇太子妃カロリーヌは、ローゼンの最初の婚約者だ。お互い顔見知りで、気まずい所もあるかもしれぬが、それも仕方がない。


ゆっくりミリオン達と話をしたかったが、明日もあるので、二人には帰ってもらった。


ディオン皇太子はベットに入ると、セシリア皇太子妃を引き寄せて。


「セシリア、明日は頼む。俺は他にも色々あって動けない。リーゼティリアに、最終的に鎮魂祭の責任者になって貰うつもりだ。聖女だ。適任だろう。」


セシリアはディオン皇太子の逞しい胸元の黒百合の痣に指を這わせて。


「解りましたわ。私も貴方のお役に立ちたい。だから…。お役に立てて嬉しいです。

あのね…ディオン様…私。貴方のこの痣、好きですわ。貴方らしくて…大きくて大胆な…。もし、側室を迎えても、貴方の一番は私であってほしい。私を忘れないで…ディオン様。」


セシリアは愛し気にその痣がある胸元へ唇を落とす。


ディオン皇太子は優しくセシリアの髪を撫でて。


「俺にはお前しかいない…。セシリア…。いつまでも傍にいて俺を支えてくれ。お前がいないと俺は走る事が出来ない。」


雪が激しさを増したようだった。


そんな中、なんともいえぬ愛しさを感じて…


ディオン皇太子は愛しい、妻、セシリアの身体を優しく抱きしめるのであった。


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