表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/56

真実の愛って? お姉様が婚約破棄されてしまいましたわ。

とある日の夜の事である。


フローラは慌てて、サラに命じて支度をしていた。


黒のドレスに、イヤリングを付けて。


父親のフォルダン公爵も、黒一色の服装を着て、イライラしているようだった。


フローラは支度が出来ると、転移鏡を大きく展開し。


「お父様。支度が出来ました。参りましょう。」


「ああ…まさか…こんな事になるとは…。」


転移鏡は第一魔国の王宮の客間に繋がっている。


そのテーブルには既に、アイリーンが座り、対面には第一魔国の魔王、サルダーニャと、クロードが魔族姿で、黒い服装で座っていた。


魔族の正式な服装は黒一色である。


アイリーンはクロードを睨みつけていて。


アイリーンの左隣にフォルダン公爵が、右隣にフローラが腰かける。


サルダーニャの召使たちが、皆の前に紅茶を置いて行き。


まずサルダーニャが口を開いた。


「要件はあらかじめ伝えておいた通りじゃ…。我が弟、クロードと、第二魔国の魔王、アイリーンとの婚約破棄をお願いしたい。」


アイリーンが怒りまくる。


「何故、何故なの?私がクロードに魅了を使ったから、いけないというの?」


サルダーニャは首を振って。


「魔族に、魅了を使う事は禁止されておらぬ。魅了にかかる魔族は未熟者なだけだ。」


「それなら理由を言ってちょうだい。納得できないわ。」


アイリーンがクロードに、凄い形相で理由を問えば。


クロードが、


「俺は真実の愛を見つけたんだ。」


フローラが飲んでいた紅茶を思わず、吹き出しそうになった。


アイリーンがフローラを睨んで。


「何よ。フローラ。みっともない。」


フローラはコホンと咳ばらいをして。


「公爵令嬢にあるまじきマナー違反、申し訳ありません。

最近、流行りの読み物を思い出してしまったものですから。

真実の愛を見つけたって男性が女性に婚約破棄するのですけれど、破棄した後に、自分の身分とか、大事な物を失って、ざまぁされるのですわ。

ねぇ…クロード。貴方は失うものが出てくると思うけれども。その覚悟はあるのかしら?」


フォルダン公爵も言葉を添える。


「今まで、君の騎士団入団の為に、我が公爵家は推薦人になった。推薦を取り消したいと思うが…どうなんだ?」


サルダーニャも。


「弟を我が第一魔国の王族から抜けて貰おうと思っているのじゃ…。今回の落とし前はつけて貰わねばならぬからのう。」


クロードはきっぱりと。


「騎士団を退団するのは嫌だなぁ…。ディオン皇太子殿下に頼んでみようか…。

もし、騎士団を退団になるというのなら…フォルダン公爵、貴方の悲願の復活する魔王退治の協力を俺、やめてもいいと思っている。王族を抜けるのは構わない。俺、今まで姉さんに甘えすぎていたし…。いい加減に独り立ちしないと…」


フローラが立ち上がって。


「協力してくれないと困るわ。世界が滅びてしまうのよ。」


クロードはまっすぐフローラを見つめ。


「最低の奴とののしってくれてもいいよ…。俺としても、ディオン皇太子殿下の世を見たかったけどね…」


アイリーンが、憎悪に燃える目で。


「貴方の心を奪ったその女、殺してやる…。どこの女よ…」


クロードは頭を下げて。


「君にはすまないと思っている。でも、全力でその人を守るよ。俺は…」


フローラがアイリーンに宥めるように。


「婚約者がいる方を取る女って、平民か男爵令嬢で、髪もピンクでふわふわした胸のある女性なのですわ。クロードと親しくしている、そのような女性を探して、殺すのではなく、諦めさせたらどうかしら?」


フォルダン公爵も頷いて。


「その女を探して、金か…何かで、クロードを諦めさせるよう仕向けるしかない。今回の婚約破棄、受け入れるつもりはない。我がフォルダン公爵家、いや、第二魔国の方針だ。」


サルダーニャは立ち上がり。


「こちらは申し入れたぞ。わらわとて、第二魔国との仲を悪くしたい訳ではない。アイリーンもフローラも可愛い妹みたいなものじゃ。」


アイリーンもフローラも、サルダーニャの傍に行き。


アイリーンがサルダーニャに抱き着いて。


「サルダーニャ様…私…貴方の妹になるのが夢でしたのに…。」


フローラもサルダーニャに抱き着いて。


「サルダーニャ様…フローラも、サルダーニャ様と親戚付き合いしとうございました。」


クロードは立ち上がると、フォルダン公爵に近づいて頭を下げる。


「フォルダン公爵にはよくして頂いたのに、このような結果となり、本当に申し訳ありません。」


フォルダン公爵は寂しそうに。


「君が息子になってくれる日を楽しみにしていたのに…残念だよ。」


フローラはサルダーニャから離れると、クロードに近づいて、そっと耳打ちする。


「明日の朝、騎士団長室にいらして。お話があります。」


クロードは頷いて。


「了解した。」


フローラは話し合いが終わると、急いで屋敷に戻った。


転移鏡を使って、ローゼンの王都のフォバッツア公爵家の居間に転移する。


鏡を置かせてもらっているが、王都のフォバッツア公爵家には二度位しか行った事がなかった。


ローゼンは部屋にいるのか、居間にはいなかった。


部屋の扉をノックする。


「フローラです。ローゼン様、入ってよろしいでしょうか?」


中から声がする。


「フローラ??開いている。どうぞ。」


ローゼンがガウンを着て、ソファに腰かけていたが、フローラを見て立ち上がり。


「こんな時間に何かあったのか?」


魔族の角を生やし、黒のドレス姿のフローラを見つめ尋ねれば、フローラはローゼンに近づいて。


「お願いがあります。クロードが姉、アイリーンと婚約破棄致しました。フォルダン公爵家の騎士団推薦は無かった事になります。騎士団に残れないと、魔王討伐をやめると言っているの…。どうかクロードを騎士団に残してあげて。」


ローゼンは顎に手をやり思い出すように首を傾げ。


「何だってクロードは、アイリーンと婚約破棄をしたのだ?この間の北の魔女に会いに行く時だって仲がよさそうではなかったのか?」


「真実の愛ですわ。」


「真実の愛?」


「他に好きな人が出来たって言っていましたわ。」


ローゼンはフローラの言葉に眉を寄せて。


「困った事になったな…クロードは騎士団退団にはならない。聖剣を持っている事と、剣技が優れているこの2点で、貴族の推薦が無くても特別枠で残れるだろう。だが…何故、今なんだ?魔王討伐の訓練を7人が集まってしなければならぬというのに…。このようなトラブルを抱えて出来るのだろうか。」


「姉はクロードの好きな女性を殺そうとしますわ。確実に…。父は相手の女性と話し合って、お金で解決しようとするでしょうけど。でも…私…クロードの好きな方って見当ついていますの…。」


「それは誰なんだ?婚約者のいる男性に近づいて、たぶらかすとは…」


とローゼンは言ってから慌てて。


「いや、その…私は君が婚約者になって、心から嬉しいと思っているが…」


フローラも赤くなって。


「ありがとうございます。ローゼン様。私も婚約者のいる男性を奪った女ですから…」


そして、フローラは慌てて…。


「明日、クロードに騎士団長室に来るように言いました。騎士団に残れることを伝えて差し上げて。」


「ああ…そうさせて貰う。」


「クロードの好きな方を教えますわ…絶対に他言無用ですのよ。」


フローラは部屋に入ってすぐに結界を張っておいている。今までのやりとりを聞かれたくなかったから。


もし、誰かに聞かれたら、クロードの想い人の命が危なくなる。


ローゼンの耳にそっと耳打ちする。


ローゼンは驚いたように。


「信じられん。」


「私は、解りましたわ。お願いします。ローゼン様もどうか…クロードとその人の事を守って差し上げて。お姉様には悪いですけど…私、応援して差し上げたいと思います。クロードも大事なお友達ですから。」


フローラは思った。


クロードは今まで、自由は無かった。


騎士団に入団した事で、本当に幸せそうに見えた。


だから応援してあげたい。


大事な幼馴染だから…


― だってあの人、可愛いですもの…クロードが惹かれる訳が解るわ。ああ…でもばれたら

大変ね… ―


魔王討伐も控えているのだ。


何ともいえず不安になったフローラはローゼンにぎゅっと抱き着く。


ローゼンは優しくフローラを抱きしめ返してくれて、凄く幸せを感じるのであった。


クロードの想い人は、黒騎士のお話で分かります( ;∀;) そっちはBl確定で注意。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ