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北の森へすむ魔女に会いに行く馬車の中での会話(ディオン皇太子)

BLネタが入ります。注意。

とある日の事である。フローラ達、聖剣を持っている7人は馬車に乗って、北の森に住む魔女の元へ向かっていた。


前に進む馬車に乗るのはディオン皇太子とミリオン、ユリシーズ。

その後ろに進む馬車に乗るのは、フローラ、ローゼン、クロード、アイリーンである。


一応、8人の近衛騎士が護衛として前後に馬で付き従っていた。


ユリシーズは、目の前に座るディオン皇太子とミリオンとどう対応していいか解らず、

ここはひたすら、王宮の料理人が作ってくれたお弁当を楽しむ事にした。

自分は田舎育ちで、アマルゼ王国で復興に携わったりして、昔は良い物をあまり食べれなかった。

さすが、王宮の料理人が作る弁当である。中に入っている物は、感動する程、美味しい。

ディオン皇太子はミリオンと共に、何だか大人の話をしている。


ディオン皇太子が隣のミリオンに、

「この間、ジュエル帝国の大使が来てな…」

「ジュエル帝国ってどこにあるんだ?でかい国なのか?」

ミリオンは魔族なので、あまり人間の国には詳しくない。


ディオン皇太子は説明する。

「ジュエル帝国はアマルゼ王国の隣にある大国だ。ま…我が国は最果ての北の国だから、アマルゼ王国さえ、気を使っておけばいいんだが…まったく付き合いをしないわけにもいかない。3年も外遊して、ある程度の国の王族とは顔繋ぎをしてきたがね…」


ミリオンはにやりと笑って。

「なんだ。遊んでいたわけじゃねーんだ。」

「各国の町や村も出来るだけ寄って、色々見て来たから、遊んでいたのもあるがね。セシリアはよく付き合ってくれたよ。俺の我儘な外遊に。」

「よく出来た皇太子妃様だよな。」


ディオン皇太子は珍しくため息をつく。

「その事で…な。側室を迎えろと周りが煩い。7年たって子が出来ない…」

「そりゃ大変だ…。やる事はやっているんだろう?どっちが原因だ?」

「さぁ…どっちがと言われても、あの有名なツルハ医師にも相談に乗って貰っているが…王家の医者より優秀だからな…。こればかりは…だが、俺は側室を取るつもりはない。」


ミリオンはディオン皇太子の肩をポンと叩いて。

「皇太子って大変だな…その点、自由人は気楽だ。そういえば、ジュエル帝国の大使は何しに来たんだ?」

「ジュエル帝国の麦を買わないかって話だ。アマルゼ王国と魔国以外、そういう取引は我が国はしていないが…その要件で来て、断ったんだが、それはともかく接待をしろとうるさくてな。」

「接待って…美人の夜の接待でも望んできたのか?」


ミリオンが興味深々で尋ねる。

ディオン皇太子はニンマリ笑って。

「夜の接待で女性を求めるなら、それなりの高級娼館に頼んで口の堅い女性達を派遣して貰う。それくらいの接待ならやらない事もない。困った事に、国一番の美姫を夜伽に呼べと言ってきた。」

「マディニア王国って美人で有名な女なんていたか??確かにまぁまぁの美人なら大勢いるが。」


「俺もそれを聞いたんだが、誰の事を言っているか。大使はこういったんだ。

国一番の美姫がいるでしょう。ほら、そちらの騎士団長さん。是非、夜伽にお願いしますよってな…」


ディオン皇太子の言葉にミリオンは、うわっと呟いて。

「確かに、ローゼン騎士団長って凄い美男だとは思うけど、その大使、そっちかよ。」

「勿論、ローゼンを差し出すわけにはいかないだろう。フォバッツア公爵家は、凄い王家への忠義が固い家でな。大事な息子を差し出して反乱とか、他の国へ行っちまったらどうするんだ。そこで…だ。」


何やら楽しげなディオン皇太子に、ミリオンだけでなく、思わずユリシーズも聞き耳を立てる。


「夜…大使の部屋に俺が行ったよ。皇太子自ら、相手をしてやるんだ。感謝しろってね。足と足を絡めて、そりゃもうお熱く相手をしてやったぜ。」


ミリオンとユリシーズは驚いた。

ミリオンが思わず。

「お前。そっちだったのか??セシリア皇太子妃がかわいそうだぞ。」


ディオン皇太子が笑いながら。

「違う違う。外遊した時に寝技?みたいのを教わったんだ。そこで、足と足を向かい合って絡めて、ぎゅううううううっと捻ってやったら、凄い悲鳴をあげていた。余程。嬉しかったんだろう。」

「大使の機嫌損ねていいのかよ。」

「どうせ、麦の買い付けも断った。あちらの王家とは顔つなぎをしている。皇太子はかしこい男だ。我がマディニア王国と戦をしようと思わないだろう。もし、戦になるとしても、アマルゼ王国を通らないと、我が国には攻め込めない。海から攻めるのは潮の流れからしても得策ではない。翌日は普通に接待して送り出してやったよ。」


ミリオンは呆れて。

「お前、絶対に人が悪いな。」

ディオン皇太子は前髪を掻き上げながら。

「今更、知ったのか?」


ユリシーズは、再び弁当を食べ始めた。

やはり、何だか…ついていけない。


ディオン皇太子がユリシーズに向かって。

「ところで、ユリシーズ、お前、マディニア王国の民にならないか?」

「え??」

突然の申し出に驚く。

ディオン皇太子は言葉を続ける。


「アマルゼ王国の出だと聞いた。お前の両親も探させているが…。

我が王国は、勇者ユリシーズを歓迎するぞ。アマルゼ王国に戻ったって、邪魔者扱いされて、下手したら殺されるかもしれないぜ。」


「何で、俺が殺されなくてはならないんだ?」


「お前にアマルゼ王国は、爵位とか何か褒美をやらないとならないだろう?あちらの王国の方がお前は英雄だからな。貴族達からしてみれば、邪魔者扱いになる。結構、頭が固い国だからな…。


30年前の戦だって、我が国は魔国と手を組んでいて、黒龍の魔王や魔物の被害を防げた。だが、アマルゼ王国は魔国と組むのを否定していたんだ。


お前は何の褒美が欲しい?

お前の望む生き方を俺は与える事が出来る。


勇者ユリシーズとして、人々の希望になって欲しい。

ユリシーズに憧れる子供達が多いのを知っているか?

ユリシーズの名は年寄から子供まで知っている。この隣国のマディニア王国でもな。


この国中を回って、人々に会って、交流する事がお前のこれからの生き方ではないのか?」


ユリシーズは昔の事を思い出した。


確か、アマルゼ王国の王族は、シュリアーゼを除いて、国を捨てて逃げたんだっけ。


本当はアマルゼ王国に戻って、民の為に尽くしたかったけど…


きっとそこはもう、自分が戻る国じゃない気がした。


ユリシーズは頷いて。


「俺の両親が生きていたら、この国に呼び寄せてくれますか?ディオン皇太子殿下。

俺はこの国で、人々に希望を与える存在になりたい。」


ディオン皇太子は、ユリシーズの手を握り締めて。


「爵位は必要か?何なら、貴族の令嬢でも嫁に捜してやるぞ。って…たぶん、必要はないっていいそうだな。」


ユリシーズは頷いて。


「爵位も令嬢も必要ないかな…結婚はしたいけど、相手は自分で探してみるよ。

有難うございます。ディオン皇太子殿下。俺は貴方に忠誠を誓います。」


ミリオンはそんな二人の様子を見て。

「ディオンは…本当に凄いな…。俺も連れていってくれよ。お前の進む道に。」


ディオン皇太子は頷いて。


「ミリオンもユリシーズもついてこい。俺を見失うんじゃないぞ。」



明るい日差しの中、馬車は北の魔女の森へと、進むのであった。





太陽の光のような、ディオン皇太子にぐんぐんと皆を引っ張っていって貰いたいです。

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