義務と真実の愛
「新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。在校生の皆様もご進級おめでとうございます」
壇上で挨拶をしてるのは生徒会会長の義務。
本当に面倒ですわ
学年主席、公爵令嬢の私、イライザは穏やかに祝辞を述べています。
「……以上を生徒会からの祝辞とさせていただきます。」
壇上で優雅に礼をし、にっこり微笑み拍手を受けます。
「さて、ここからはわたくし事で申し訳ないのですが、貴族の義務についてお話しさせていただきます。」
周囲がざわつきます。
「私、イライザは第一王子、この国の王太子であるルーク様と政略的婚約者です。」
あ、王子が嫌な顔してる。その隣の男爵令嬢も睨んでますね。
ここはとある恋愛小説の世界と似た世界。
私は小説では悪役令嬢。男爵令嬢はヒロインで卒業式に王子と結ばれ、私は嫉妬でいじめた悪女として国外追放されるそうです。
小説ではね
「王子様が校内におられるので、あわよくば玉の輿を狙うかたがたくさんいらっしゃるようです。先に現実をお話しします。」
私が手を二回叩くと、壇上に大量の本が乗ったリヤカーを引いた男が入って来た。
「これは王妃教育として今までに読まされた、この国や他国の歴史書、言語、文化やマナーの本の一部です。」
私はもう一度、手を叩いた。また、リヤカーの男が入って来る。先ほどよりは少な目だが、かなりの量がある。
「そして、これから読む経済、地質学、帝王学、他あらゆる学問の本に各貴族の領地の特色等の本や毎年更新される貴族名鑑です。」
量の多さに皆様も言葉を失ってます。
「これから王太子妃を目指すかたはこれを2年で読破しなければなりません。王太子様はご卒業後、1年でご結婚されますから、それまでに終わらせていただきます。もちろん、学生として、ここの授業を受けながらです。」
周囲を見回します。そして自称ヒロインをみてにっこり微笑みました。王妃を目指すのなら頑張って読んでねと心の中で呟きます。あら?青ざめてますわ。先ほどより王子から少し離れてますし…
「昨年、私に対する評判がかなりひどくなりました。誰かの私物を盗んだ、破いた、悪口を言った、転ばせた、階段から突き落としたなど、身に覚えのないことばかりでした。」
私は悲しそうな表情をしました。ざわつきが酷くなりました。何被害者面してる、お前がやっただろうとか聞こえます。私にはそんな暇ないのに…
「王家に嫁ぐ私には王家から監視がつきます。そして、それは私だけではなく王子に侍る者にもつきます。四六時中つくのでプライバシーはありません。すべて、陛下と王妃様に報告がいきます。」
あ、かなりの人が青ざめてますわ。
「私の無実は陛下達がご存知ですし、私に濡れ衣を着せたかたはかなり、王妃様の心証が悪くなっております。自分で物を隠したり、壊したり階段から落ちていく方の様子も動画で証拠として保存されてます。」
王子が何故か不信を浮かべてヒロインをみてます。
「ただ、陛下は学生でもあるので卒業までに流した嘘を自ら話した人に取り消せば、水に流し家をどうこうするつもりはないと、言われております。立場をわきまえない次期王太子妃への無礼は家を取り潰すこともあるそうです。」
かなりの人が対象です。あちこちでふらついている令嬢がいますわね。恐怖で卒倒したのですね。
「このようにかなりきびしい立場ですが、これも公爵令嬢の義務です。王太子にも義務があり、ここまで育てた令嬢との婚約を自己都合で破棄した場合、次期王太子妃教育に耐えられる方を選んでいたらお咎めはありませんが、それ以外は廃嫡となります。そして私は次の王太子の妃になります。」
あら?王子は知らなかったみたいですわね。真っ青ですもの。ヒロインさんの学力では廃嫡確定ですし。
「話が長くなりましたが、私もこのように大変忙しい立場です。別に王子に義務以上の感情もありません。代わっていただけるなら、代わっていただきたいです。」
満面の笑みで周囲を見回します。場内は水を打ったようにしずかです。
「王太子妃に立候補する方がいましたら、喜んでサポートいたしますし、真実の愛があればきっと耐えられますわ。どなたかいかがですか?」
なんか書いてみたかったから初投稿しました。
ざまあされる前に平和に婚約破棄されたいご令嬢のつもりです。




