01 転生したら吸血鬼。
ハロハロハロ!!!
また男装幼女です。好きみたいです。
そして愛してやまない吸血鬼です。
成長する物語が描けたらいいなぁと思うのです。
20181115
沈む。
沈む。
沈む。
ブクブクブク。
水音が聞こえる。
だから私は水の中に沈んでいるのだろう。
沈む。
沈む。
沈む。
ブクブクブク。
きっと私は死んだのだと思った。
沈む。
沈む。
沈む。
ブクブクブクーーーー。
どこか虚しい人生だった。家族もいる、友だちもいた。でも何故か孤独が付きまとう。寂しさも感じる人生だったのだ。
家にいるのに「帰りたい」と感じる。
どこかに帰る場所があるような気がした。
友だちに囲まれていても「独りだ」と感じる。
どこかに心から繋がる誰かがいるようなそんな気がした。
だから、求めていた。強く欲していた。
本物の絆が欲しい。
心繋がる誰かが欲しい。
そう思い続けた人生だった。
結局、その誰かは見付けられなかった。
世界は広いのだから仕方ない。そう思っていたこともある。
でも実際はあまりにも広すぎた。
だって世界は一つではなかったのだ。
生まれ変わった世界は、地球とは違う星だった。
例え運命の人が本当にいたとしても、同じ星に生まれる確率ってどのくらいなのだろうか。そして出逢える確率とは。
考えても、神のみぞ知る。いや知らないのかもしれない。
生まれ変わった時に、神に会わなかった。いるのかも疑わしい。
いたとしたら、文句が言いたいものだ。
どうして孤独に苦しんだ人生だったのにーーーーさらなる孤独に苦しむ人生を与えたのか。理由があるなら言ってみろ、と。胸ぐらを掴んで問いただしたい。
私は両親に捨てられて孤児となり、三歳から孤児院にいた。
この孤独院に来た時のことを覚えている。
なんせ院長が恐ろしかったからだ。
フランケンシュタイン博士が生み出した怪物そのものだった。
縫い合わされた蒼白の顔。彫りの深すぎて影が出来ているのにギョロッとした目。何故か頭を貫いているネジ。二メートル越えの大男。
片腕だけで持ち上げられた私は声も出せず、放心し見上げることしか出来なかった。
「……泣かないとは、強い子だ」
地を這うような低い声も、恐ろしいものだ。
いや普通泣く。子どもなら普通に泣くから。
そう心の中でツッコミを入れる。
どうして孤児院の院長がフランケンなのかと言うと。
「皆、新しい子が来たぞ。仲良くしてやってくれ」
フランケン院長が告げる子ども達は、大半が人間ではなかったのだ。
半人半馬のケンタウロスの男の子。一つ目のサイクロプスの男の子。赤いとんがり帽子の小人族ノームの双子の女の子。腕が鳥の翼をしたセイレンの女の子。悪魔のような姿のガーゴイルの男の子。とんがり耳の美しい白金髪のエルフの男の子。そして狼の姿の獣人の男の子。
人間の国の外れにある孤児院は、人間も魔物も妖精もいる。
そして、私の種族名はーーーー吸血鬼。
「名前は……ヴェルミだ。吸血鬼のヴェルミ」
ヴェルミという名の吸血鬼。
それが今世の私だった。