終わりの始まり
すいません、またもやミスって公開してしまいました。
というのも昨年の年末から私生活が忙しくなり、更新速度がとても遅くなってしまいました。すいません。
元号とか個人的にはどうでもイイのですが、出来れば平成のうちに完結したかったです。
この後、この話を更新します。
また過去の話も大幅に手直しする予定なので、よかったらチェックしてみてください!
色塗りを始めてだいぶ時間が経ち、気づけば夕方になっていた。6時を知らせるチャイムが家の中まで響き渡る。
作業中にも何度か下書きに修正を加えたためか、全部分の色を塗ることはできなかった。このまま勢いで塗り終わることは容易だと思われるが、周りを見てそれをやめる。この決断には誰もが納得するだろう。
「よし、暗くなってきたしそろそろ切り上げましょうか?」
先ほどまで台所で夕飯の支度をしていた伯母さんがエプロンをたたみながらこちらにきた。
「この感じだと明日には完成できるね!なかなか良くない?!」
「うん、すごくいいと思う!」
私と涼は興奮気味でそう言い合った。
事実として絵の出来栄えは良いものだった。書き直しを何回も行ったおかげか全体のバランスも整い、色合いもよかった。みんなの手には様々な色の絵の具が付いていた。よく見ると、涼は鼻頭にも絵の具をつけてしまっている。
「ちょっとみんなみてよ、涼の鼻」
珠美が気付いてそういい、柚月も含めみんなが涼の鼻を見て笑った。
「ふはー・・・」
湯船につかるとそんな情けのない声が漏れてしまった。少しだけ開けた窓からは風と共に、虫の音が浴室に入り込んできた。鼻がつからないギリギリのところまで体を沈め、瞳を閉じ、考えた。ここに来てからのこと、そしてこの先のこと。
ガラガラ・・・
風呂場の引き戸が開き現実に引き戻される。
「一緒に入ってもいいかな?」
「いいよー」
皓はかけ湯をして、ドボンと湯船につかる。ちょうど私と対面する形になった。湯船から勢いよく湯があふれ出す。
「今日は少し早いんだね」
皓は普段であるならば、こんな早い時間に帰ってくることはない。まだ7時も回っていない。
「今日はね模試だったんだ。だからいつもより終わるのが早かったんだ。あ、模試って言ってもわかんないよね?テストみたいなもんだよ。来年から大学入試制度が変わるんだ。だからそのためのね。疲れたよー」
そういえばこの時代には、センター試験はあったのだろうか?そんなことをふと考えながらねぎらいの言葉を彼にかけた。
「ありがとう。そういえば、もうすぐ君はいなくなっちゃうんだね」
彼はお湯を顔にかけながらそう言った。言われたことで改めて思い出す。自分のこの体は借り物であり、もうすぐ“ボク”はこの地を去るということ。
そして、それまでに私自身も答えを見つけなければならないということ。




