告白 後編
すいません、また手違いで更新されてしまいました。
この後手を加えて行くのでよろしくお願いします。
加筆完了しました!
次回を見据えて少し短めです。
翔太もまた、柚月が皓と同じ質問をしたことに苦笑しつつ、同じ返答をした。柚月は納得のいってない顔をしていた。
「そんな、そんなこといきなり言われたって信じられないよ。じゃー、翔太だけこっちに残ることは?それはできないの?」
柚月はまた質問した。
「そうしたいけど、そうはできないんだ。おれの力ではどうにかできることじゃないんだ、ごめん…」
「そんな、そんな謝らないでよ…」
涼は力なく訴えた。
みんなそれぞれに困惑しているようだった。それも無理はないことだろう。何年も一緒に遊んできた友達が突然に引っ越すことになり、尚且つそれはもうすぐ迫ってきているのだから。
「でもさちゃんとみんなに言いたかったんだ、おれの気持ちを。みんなとはずーっと友達でいたいんだ。ここでいっぱい遊んだこと。学校で話しをしたりしたこと。みんなで悪巧みをしたこと。どれもこれも忘れられない思い出だ。本当にありがとう。でもこれは永遠の別れなんかじゃない。だからこれからもよろしくね。でも今はさようなら」
翔太は手で顔を隠しながらそういった。きっと涙を見せないようにしていたのかもしれない。
暫く沈黙が流れる。皆様々な思いを胸の内に抱いているのだろう。しかし、それを言葉にすることは難しい。そして言葉を用いる以外、感情を表す方法をほとんど持ち合わせていないということを痛感しているのだろう。でもそれは大人でも、子どもでもそれは同じだと思う。逆にすらすらと言葉を並べることができたなら、その感情は本物ではないのだろうか。
「ねぇ、明日はさ最後の確認があるから昼は来れないかもしれないんだ。だから、夜ここで花火をしようよ」
この沈黙を破ったのは意外にも翔太自身であった。みんなまだ心の整理ができておらず、ただ頷いただけだった。
その後、ぼんやりした空気のまま帰宅の時間となった。互いにぎこちなく「じゃあね」と交わして家路へと向かった。
家に帰ってきても、柚月はどこかぼんやりとしていて箸で掴んだおかずを落としてしまうほどだった。翔太の母親からでも聞いたのだろうか、伯母さんは全てを知っているかのように、ただ優しく見守るだけだった。
夕食後、丁度時計の針が9時を指す頃に皓は帰ってきた。
二階に行き荷物を降ろした後、縁側で夜風に当たっていた私の横に彼は腰掛けた。
「どうやら翔太のやつみんなに言ったみたいだね。」
「うん…やっぱりわかる?」
「そりゃわかるさ。伊達に柚月の兄を10年勤めてないからね。」
それから彼は天を仰ぎ、寝っ転がった。
「別れがあるから出会いがあるんだよ。その度に人は強くなれる。だけどもやっぱり寂しいよね。」
「うん。」
「なんか気の利いたこと言おうと思ったんだけど、思い浮かばないや。そもそも俺には本当の友達がいないからかなー…」
上に伸ばしていた手を目の上に乗せてからは続けた。
「なんでこんな風にしてきちゃったのかな…でも悔やんでも仕方ないね。変えられるのは今と未来だけ。わかってるはずなのに時々忘れてしまうよ。なんでだろ、まだ子どもだからかな。」
そんな彼の姿と今日の出来事を自分の中に反芻させる。夜風がなんだか身にしみた。




