時にとても長い1日 後編
車に揺られること20分。ついに目的地へと到着した。辺り一面畑であり、ぱっと見、どこからどこまでが伯父さんの畑なのかわからなかったが、植えられている作物がそもそも違うので見分けがついた。目前に広がっているトウモロコシは2、3メートルはあるだろうか、“ボク”の背丈の2倍近くはあった。
「今日は一部分だけ収穫しよう。自分の届く範囲だけ取ればいいよ。それより上の部分は俺たちでとるから。よろしくな!ー」
「それと、日射病になるといけないから、コレかぶってね」
伯母さんは麦わら帽子を被らせてくれた。
「よく似合っているじゃない。それはね、皓が被っていたものなんだ。なんならもらってもいいわよ」
「うん、ありがと伯母ちゃん。ぼくこれ使うよ」
と私がいうと伯母さんは満足そうに頷いた。
トウモロコシの収穫なんてやったことがなかったため、最初は伯母さんにレクチャーしてもらった。なるほど幾分かコツがいるらしい。しばらくやっていくと慣れてきて楽しくなってきた。
低い姿勢になってみると土の香りを感じた。どこか懐かしく、そして生きているってことを強く実感したような、そんな感じがした。
1時間ほど経って本日の収穫は終わった。丁度正午を過ぎた頃でもあり、お腹が鳴ってしまった。
グ〜…
「ハッハッハッ、お疲れ様。そしてお腹が空いたみたいだね」
ちょっと顔を赤くしてコクっと頷いた。
「はい、じゃー頑張ったご褒美に今食べていいよ。」
そうして伯父さんは生のトウモロコシを私に差し出してきた。
「品種にもよるんだが、とれたてのものは生のまま食べれるんだぞ。うちのは上手いから食べてみな!
私は恐る恐る一口かじってみた。すると口の中いっぱいにトウモロコシの甘みが広がった。
「お、おいし〜」
「だろー、茹でたりするのも美味しいが生の方が栄養もあるんだぜ」
初めて生のトウモロコシを食べたが、その美味しさときたら言葉で表現できないほどであった。それはきっと自分も収穫に手伝ったことも関係してるのかもしれないが。
(その後調子に乗ってもう一本生で食べてしまった)
家に着く頃には、柚月も学校から帰ってきていた。服を借りたことを一番に謝った。だけども、彼女は全然気にしていなかった。そのことにちょっと安心した。その後2人で秘密基地へと向かい、みんなで遊んだ。
「ねぇ、ねぇ、ボクくん。聞きたいことがあるんだけどさ、いい?」
不意に翔太に尋ねられた。
「なに?」
「まだ田舎に来て少ししか経ってないけどさ、田舎と都会どっちがいい?」
私は焦った。この時代の都会とはどの程度都会であるのか。そしてその中でも“ボク”はどの程度の都会に住んでいるのか、それを知らなかったからだ。とりあえず私の基準でどちらが良いか考えてみた。
「うーん、ぼくはここの方が好きかな。なんとなく」
理由は言わずにそう答えてみた。
「そうか、そうなんだ。俺さちょっと都会に憧れていたんだ。でも、都会住んでいる子がそういうんだからそうなんだろうね。じゃー、もっとボクくんに楽しんでもらえるように俺も頑張るよ」
「ねー、翔太。なんでそんなこと聞いたの?」
「いや、なんでもないよ」
彼は少し焦ったようにはぐらかした。なぜそんなことを聞いたのだろうか。その後もなんだか彼の表情はパッとしないまま遊びの時間は終わってしまった。
絶賛推敲中




