カキナオシ症候群
※この物語はフィクションです。実際の団体、名称など存在しません。
皆さんはカキナオシ症候群という恐ろしい病を知っていますか?
これはウイルス性の急性感染症で、季節性はなく、A型、B型とどんどん種類が増えていっているのです。日本全国で発生し、流行しているのです。
これに感染してしまうと、長編物語の中盤だろうと、終盤だろうと、急にぜんぶ最初から書き直したくなってしまう恐ろしい病なのです。
感染経路の詳しいことは分かっていませんが、少なくとも、くしゃみや、肉体的接触でおこるようなことではないです。主に感染されるであろうと予想された経路は、ゲンコウだとかパソコンだとか、スマホだという場所だそうです。もしかしたら、大規模なショウセツトウコウサービスが潜伏先になっているのではないかと噂されています。
A型は主に、オモシロイカ・ズットフアンと悩む方に感染しやすいです。
こうしたい。ああしたい、こういう方が面白くなったのではないか、と思ったら最後です。追加要素を足したくて仕方なくなります。そして、一部に追加してしまったら…………その物語全体の整合性を保つために、なんと、最初からカキナオシを始めてしまうのです。なんと恐ろしいのでしょう。こうなったら止められません。矛盾をなるべく許せない、几帳面な人ほど重症化してしまうのです。
B型は主に、ドクシャイナイと悩む方に感染しやすいです。
特に顕著なのが、渾身の作品だと思ったのに、ぜんぜん目に見える形で結果が増えないというときに起こりやすいです。ただ、これにはケセラセラと流してしまうことが出来れば発症を阻止することが出来るそうです。
B型の発症者に起こりやすいのは、目に見える形で結果が現われないのは自分のせいだと、自分を責め続けてしまうことです。これはなかなかに根が深い問題で、カキナオシが発症してしまっても、これではダメだと、序盤から永遠に何度も何度もカキナオシを続けてしまうという、負のループに陥りやすいのです。
物事を気にしすぎてしまう繊細な人間ほど重症化しやすいと考えられています。
また、逆に、自分に自信のある、意思の強い人間も同じように重症化しやすいと考えられています。
PV阻害薬系、経口薬キニシナイを摂取することで症状が緩和する場合もあります。
他にも亜種として、ヒハンを受け、自分の話は実はダメなのではないかと思ったりしても感染するそうです。
文章がこなれてきて、長期連載になるほど、最初の部分をカキナオシしたくなるという報告もあります。しかし、これは限定的で一時的な場合が多いです。
まだまだ種類は増え続けているそうですが、主な症状は同じです。物語をカキナオシしたくなるとうことです。
ただし、これが深刻化し、変異してしまうと、こんどはサクジョとかに変わってしまいます。これを止めるすべは今の我々にはありません。とても恐ろしいです。
現在、予防方法は確立されていません。
気を強く持つことが、唯一の予防方法だと発表されていますが、それもあまり効果がないのではと疑問視されています。
このカキナオシ症候群は、いかなる状態、状況でも起こりうる、とても恐ろしい病なのです。
これを防ぐ方法は、先程の経口薬キニシナイを摂取する方法がありますが、他にも、効果の高いものとして注射薬ブックマー、ヒョウカー、吸入薬カンソー、レビュアーなど、かなりの確立でカキナオシが緩和されるという事例が確認されています。
あれ、なんだかもの凄くカキナオシしたくなってきたような……。