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俺の為の異世界救出  作者: 優しい鼠
大海原の神々編 
8/25

幕間 海神の悲劇

一章突入はこの後です

 我はポセイドン、神々の中で二番目の力を持つ者!!

 だったのじゃが……事の始まりは150年前、あれはクララの11歳の誕生日じゃった。


 儂はもう物心も付き始めたクララにたいしてとても過保護であった。

 周りの家臣達からはもうちょっと見守れと言われておるし、自分が多少過保護なのも自覚はしていた。

 だが、考えれば考える程儂は余計過保護になってたのじゃな。

 そして11歳の誕生日が来て、家臣達は言って来た。


「たまには皆のクララ様として、何も言わず、静かに見守っては如何でしょうか?」

「クララ様もいつかは自律しなくてはなりません、今の内に離れられるようにしましょう」


 この世界では戦争は頻繁……ではないが、しばしば行われてしまう。

 その為、この世界の王族達は小さい頃から成る可く親の手を借りずに生活させられる事となる事が多いのだそうだ。

 儂は神で、寿命は無いが、死なない訳でもない。

 一応、儂程の者が誰かにやられたりはしないと反論は出来そうだが、意味は無さそうじゃな……傲慢な者は嫌いじゃったし。

 結局、クララは儂から少し離されて会を行った。

 はぁ〜、と溜め息ばかり付いて、早くクララの元へ行きたいとしか考えて無かった。

 しかし、あろう事か、儂は調子に乗ってしまった。


 会が始まって一時間後、友人であり弟の神であるゼウスがやっと来て、いつものように喧嘩した……といっても口喧嘩の討論みたいな感じじゃがな。

 ゼウスも、お互い本気で遣り合ったらこの世界にカオスが生まれてしまうことは分かってるからな。

 しかし、儂もゼウスもこの時は大分……いや結構酒は回ってしまっていた。

 激しく言い合った後に、自分達がダメなら部下を使って戦おうという事にした。

 ゼウスは部下の中でも二番目の力を持つ天使を召喚し、儂はというと……。

 部下達は激しく首を横に振った。

 確かに、あの天使が放ってたオーラは半端無かったが、儂からすれば皆臆病者に見えた。

 なら仕方ないかと、儂は己の空回りした脳をフル回転させ、一つの結論に行き着いた。

(そうだ、悪魔を召喚して、聖魔決戦とでも行こうではないか)

 儂は自分の魔力を碌に制限も掛けずに解放し、その場に悪魔を召喚した。

 出て来た悪魔は、高身長をローブに包み、鼻から上にはには鬼のような仮面を付けていた。


「おや?この私を召喚できたとは……おぉ、これはポセイドン殿では無いですか!さて、御命令とそれに見合う報酬をご用意下さいませ……あぁっと、挨拶を忘れておりました!私は、サタン。最強の悪魔です。

あと、報酬は前払いでお願いします……」


 その流暢で不気味な登場と、その名乗りに騒いでいた会場は一瞬にして静まった。

 あの、伝説に言い伝えられて来た大悪魔サタンが今この場に現れたのだ。

 しかし、その時の儂にはそんな事思い出せず、サタンに命令した。

 

「あぁん?誰だっていいが、今はその悪魔を倒すのじゃ!!早く〜!!」

「では、報酬は?」

「そんな物は無い!悪魔ならさっさと働け!!」


 儂の言葉に会場はさらに凍り付いたようなる。

 正直言って、悪魔とはこの世で神に次ぎ二番目に強いと言われる種族、そして、その中でもサタンは頭一つの差が出る程最強と言われてる。

 その為、神にまで匹敵するのではないかとも疑われていた。

 しかし、この時の儂は完全に一人浮いて騒いでいた。

 そんな中、儂の言葉にサタンはニヤリと微笑む。

 

「分かりました、貴方は契約者として間違っていた訳ですね?」

「何を言っておる?さっさと……」


 次の瞬間、サタンは儂の娘、つまりクララに急接近し抱き上げた。

 

「お、お前!何をする!?悪魔と言えど……」


 そう言って儂は悪魔に襲いかかろうとしたが、どうやらさっきの召喚で儂の魔力は枯渇状態となってしまったせいか、もしくはサタンの術のせいか、儂は床に倒れる。

 その後儂は何にも抗えず、無力ながらもそのままサタンを睨みつけていた。

 

「あの神ポセイドンと言えども、そんな状態ではもはや成す術無しですね。……では、報酬すら無い神には悪魔が『傷跡』を残してやりましょう」


 サタンはそう言いながら、クララを抱く手に不穏な魔力を貯めていく。


「き、貴様!?何をする!!」


 ゼウスも正気に戻り、サタンに向かって飛び込む……この時の儂にはコイツしか希望は無かった。

 ゼウスが儂の横を通り際、儂に視線を送って来た。

 ああぁ、弟にも力で負ける兄で、さらに神とは……何という屈辱。

 儂はサタンに怨念をとにかくぶつけた。サタンがそれに気付いたか気付かなかったか、また不気味な笑みを浮かべる。

 ちなみにゼウスは飛び込んだ瞬間厚い結界によって吹き飛ばされた。

 サタンはそれを見てゼウスと儂に強い力の固まりをぶつけ、我々は簡単に吹き飛ばされる。

 サタンはそれを見届け、ちゃんと聞こえるようにか大きく叫ぶ。


「何、殺しはしませんよ……さて、この子に付けるのは……ふっ、これですね」


 サタンは詠唱のようなものを数秒唱えてる。

 そして、そのままクララを元居た場所へと戻し、転移魔法で消えていった。

 完全に消えた……かと思ったら、どこからか声が聞こえる。


「その子に掛けた呪いは『人間』に嫌われる呪いですが……まあ、それだけですよ……一つだけ感謝するならば、私をこの世界に解き放ってくれた事ですかね?では……」


 そう言い残し、会場はざわつき始める。

 クララは泣き出し、家臣達はクララを宥める為に抱き上げている。

 本当なら儂が行きたいが、今の儂にはそんな力も、資格もないのだ。


 あれから150年後、儂はクララへの責任をずっと感じながら生きて来た。

 クララの呪いはその効果を見せ、貿易などの時に儂と一緒にいると、相手に怖がられていた。

 とても不快だったが、儂は我慢せざるを得なかった……全てはサタンのせい。

 自分の責任から逃れようと何度かそう考えてしまったが。

 結局全ては儂のせい、と逃げる事は自らが許そうとはしなかった。

 少し経ち、ある日ゼウスが訪ねて来て、『私の特級解析師を貸てやろう』と言って訪ねて来た。

 解析師とは、様々な呪いや結界、魔法の効果を知る者であり、その名の通り、対象を解析すれば自分の知ってる範囲でそれについて教えてくれるのだそうだ。

 神と言えど、知識だけは才能や生まれでは補えないもの、人間に頼るしか無かった。

 ちなみに特級とは、解析師の中でも知識量、解析力共に最高ランクの実力を持つ者らしく、その者が言うに、クララに掛けられた呪いは長くても三ヶ月後、短くても一ヶ月後、間を取って二ヶ月後にはその効果を全ての生き物にまで及ぼすようになるのだとか……。

 確かに前々から国民にすら怖がられてるような素振りを見たときがあったが、事態は儂の思ってるよりも急過ぎたみたいだ。


 それから数日後、クララが普段はあまり見せないクラーケンの姿で慌てて儂の所に来た。

 何があったのか、正直最悪な事を想定していたが、善は急げ、素早く儂とクララはクララの部屋に入った。

 そこには人間の少年が居た。

 何でこんな所に?儂はクララの部屋に勝手に入った事に怒りを覚えたが、そんな事よりもその者はとても青ざめていた。

 意識はあるのだろうか、目を開いて唸っていたが、そこにクララが駆け寄る。

 儂はクララの前に割り込み、呼びかける。


「おぉい、大丈夫か?お前さん」


 唸ってしか返事は無い。

 まさかこんなところに、何の準備も無しに来る筈が無いと思ってたが、そのまさかだった。

 儂は水中耐性の付く魔法を使うためにクララに槍を持って来させ、魔法を掛ける。

 すると、その少年はひょいっと起き上がり、「ありがとうございました」と礼をしてくる。

 儂は目が飛び出そうになった、何故ならば、儂がさっき掛けた魔法は慣れるのに一日程掛かるがこの少年はまるで一瞬にして立ち上がり、何の苦労もせずに今こうしている。

 それだけだけでは無い、さっきまで何故気付かなかったのか、この少年には『海王の力』が見えた。

 本当に凄い事なのだが、余計に怪しくなる。





 ーーーーーーーーーーーーーーー





「これが儂とカナタが初めて出会うまでの経緯じゃな」

「ちょっと、何で最後怪しいで終わらせるんですか!?まるで今も怪しんでるみたいじゃないですか!?」

「はっ!!さてどうじゃかのう〜」


 俺は潜水艦の中でポセイドンと話しながら、俺と過去話をしていた。

 全く、ポセイドンはなんだかんだ言って、結局は心を読む事が難しく感じる。

 にしても、そんなポセイドンの責任を任された俺は結構重役なんじゃないか?

 船は進む、さぁ、後少しで『カイン・ブリッツ』だ!!

悲しい過去ですね……。

ちなみに、カナタは学校の制服を着ています。

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